実際にデータセンターを比較検討する間違いだらけのデータセンター選択(9)(1/3 ページ)

データセンターを賢く選択し、上手に利用するためのポイントについて解説してきた連載も今回が最終回。これまで紹介してきたポイントに基づいて、実際のデータセンターの設備やサービスを比較する。

» 2007年03月14日 12時00分 公開
[近藤 邦昭,まほろば工房]

 これまで、データセンターが行うサービスや選択・利用におけるポイントを多数紹介してきました。今回は本連載の最終回として、これらのポイントを整理し、実際のデータセンターの比較検討をしたいと思います。

 比較検討を行うには、対象となるデータセンターが必要です。そこで今回は、東京都内にある3つのデータセンターにご協力いただき、今回の連載で述べたデータセンター選択のポイントを中心に、それぞれを見学しながらヒアリングをしました。

 見学したデータセンターは、ビットアイルの第一から第三データセンター(以下ビットアイル)、インターネットマルチフィード(以下MF)、そして、ソフトバンクIDCの東京新宿データセンター(以下SBIDC)の3カ所です(順不同)。

各データセンターの特徴

 まず、各データセンターの特徴を私なりの視点で整理してみたいと思います。

 ビットアイルは、東京の郊外にある都市郊外型データセンターです。倉庫業を営む寺田倉庫を親会社として持ち、この倉庫業で培った経験をデータセンター造りに生かし、独自にデータセンターを建設・運用しています。このため、機器を設置する各フロアの床耐荷重が最高レベルであり、センター内に機器を運ぶ搬入用エレベーターが巨大であるなど、倉庫業の経験が各所に生かされています。また、第一から第三データセンターへと増設の過程でデータセンター業務への経験も積んでおり、セキュリティ、電源設備などもほかのデータセンターと比較して十分競争力のある仕上がりとなっていました。

 MFは、日本のインターネット中心地ともいわれる大手町に位置するデータセンターで、日本にまだ「インターネットデータセンター」(iDC)という言葉がない時代に、インターネットにデータをフィードするというコンセプト(これが「マルチフィード」という社名の由来)でつくられた会社であり、日本におけるインターネットデータセンターの草分け的存在といっても過言ではありません。このため、ネットワークに関する技術力が高いことで知られています。同社はJPNAPというIXサービスも営んでおり、インターネットの中核に近いデータセンターといえるでしょう。

 SBIDCは、ソフトバンクグループのデータセンター運営会社で、今回紹介する東京新宿データセンターのほかに、日本全国に多数のデータセンターを運営する大変規模の大きい企業です。これらSBIDCのデータセンターの中でも東京新宿データセンターは最新のものであり、ファシリティ面において相当のこだわりがあるだけでなく、データセンター事業の経験も長いため、機器設置スペースの構造にも非常にユニークなアイデアが取り入れられています。

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