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連載
上司のためのストレージ・ネットワーキング (2)


ストレージ・ネットワークの技術

辻 哲也
ブロケードコミュニケーションズシステムズ

2006/6/24

前のページ1 2 3第3回

ファイバチャネルSANの進化

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 SANで使用されるプロトコルで、現在主流となっているのが「ファイバチャネル」である。ファイバチャネルはANSI(米国規格協会:American National Standard Institute)のT11委員会で、1988年に規格化が開始された。当初からギガビット/秒クラスのデータ通信を想定しており、高速でかつ信頼性の高いデータ伝送に適した設計になっている。ファイバチャネルプロトコルはFC-0からFC-4までの5階層から構成されているが(表1)、これらはすべてハードウェアによって処理され、サーバCPUへの負荷は低い。

FCレイヤ 役割

対応する技術要素(主なもの)

FC-4 上位プロトコルとのマッピング
FCP(Fibre Channel Protocol)
FC-ATM
FICON(FIbre CONnection)
FC-3 共通サービス
 
FC-2 フロー制御
フレーム/シーケンス/エクスチェンジ
CoS(Class of Service)
FC-1 符号化・復号化
8B/10B
64B/66B
FC-0 物理的なインターフェイス
1/2/4Gbps FC
10Gbps FC
SC、LC、DB9
表1 ファイバチャネルのプロトコル階層

 ファイバチャネルのインターフェイス速度は、1Gbps、2Gbpsを経て、現在は4Gbpsが主流であり、HBA(Host Bus Adapter:コンピュータに装着するファイバチャネル通信のためのインターフェイス)やファイバチャネル・スイッチ、ストレージ装置のインターフェイスが続々と4Gbpsに対応している。

 ファイバチャネルには10Gbpsのインターフェイス規格も存在する。ただ1/2/4Gbpsと10Gbpsのファイバチャネル規格の間には下位層のレベルで互換性がなく、両者の間では物理的なポートを共有することができない。このためコスト面で不利となる10Gbpsファイバチャネルは現在、一部のFCスイッチでスイッチ間の接続に使用される程度で、広くは普及していない。

 ファイバチャネルでは「フレーム」という単位でデータを伝送する。またファイバチャネルはFC-4層でさまざまな上位プロトコルとの対応付け(マッピング)を可能としており、SCSI-3をFCにマッピングするFCP(Fibre Channel Protocol)やIPをFC上で通信するIPFC(IP over Fibre Channel)、メインフレーム通信用のFICON(FIbre CONnection)などが規定されている。

 ファイバチャネルでは24ビットのアドレス体系が採用され(ファブリックトポロジーの場合)、接続するデバイスへ自動的にアドレスが付与される。ファブリックトポロジーではネームサービス等の各種機能も自動化され、システム管理者がそれらを意識する必要はない。

IPでSANを実現するFCIPとiSCSI

 IP-SANに関連する技術として、ここでは「FCIP」(Fibre Channel over IP)と「iSCSI」(Internet SCSI)を紹介する。

 FCIPはRFC 3281で規定され、ファイバチャネルフレームをIPパケットでカプセル化する(包み込む)技術である。FC-SAN同士をIPベースのWAN回線で結び、ディザスターリカバリ(災害復旧)サイトを構築する際などに利用される(図7)。ここでIPは「トンネル」としての役割のみを果たしており、IPネットワーク越しにファイバチャネルをそのまま利用することができる。FCIPはファイバチャネルをIPで補完する技術という位置付けである。

図7 FCIPではファイバチャネルフレームをIPにカプセル化する

 一方、iSCSIはRFC 3385などで規定され、TCP/IPプロトコル上で直接SCSIブロックを伝送する技術である。TCP/IPをベースにしているためにファイバチャネル対応のHBAやスイッチが不要で、FC-SANを置き換える技術といえる(図8)。iSCSIではOSベンダなどが提供するイニシエータにより、ソフトウェアでプロトコル処理を行うことが可能だ。しかし、データI/O処理をソフトウェアで行うとサーバCPUの負荷が大きくなるので、これをハードウェア処理で回避するTOE(TCP/IP Offload Engine)が提供されている。

図8 iSCSIはTCP/IP上でSCSIブロックを直接伝送する

 iSCSIによるIP-SANは、FC-SANに比べてコストが安いといわれている。確かにFC-SANに比べるとHBAやFCスイッチなどのハードウェア投資が抑えられるためコストは安くなるが、近年はFC製品の価格下落も激しく、両者のコスト差は小さくなってきている。またiSCSIにはTCP/IPを使用することによるオーバーヘッドも存在するため、パフォーマンスとコストを総合的に判断したうえで、用途に応じてファイバチャネルとiSCSIを使い分けるというのが賢明な判断だろう。

 次回は「ストレージ・ネットワークの導入」と題して、ストレージ・ネットワーク導入に際して前提となる事柄や、ストレージ・ネットワークをより上手に活用するために導入前に検討しておくべき事項などを紹介する。次回もお付き合いいただければ幸いである。

■要約
今回はストレージ・ネットワークに関連した技術を紹介する。DAS、SAN、NAS、そしてSANで利用される通信プロトコルを解説する。

DASでは単一のサーバを単一または複数のストレージに接続する。これは無駄が大きく、拡張性に乏しいという欠点がある。これに対してSANは、コンピュータとストレージの間のブロックレベルの通信を仲介するネットワーク技術である。またNASは、ストレージをネットワークに接続し、ファイル単位でのアクセスを提供する手法である。SANとNASは、補完し合う技術だといえる。

SANではファイバチャネルプロトコルを使うのが主流である。しかし、FCIP、iSCSIといった、IPでSANを実現する方法もある。

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ストレージ・ネットワークの技術
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DAS、SAN、NASの違い
  DAS
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  SAN
  NAS
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ファイバチャネルSANの進化
IPでSANを実現するFCIPとiSCSI


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