[CA] 時代が包括的なストレージ管理を求めているストレージ関連ベンダ それぞれの戦略(6)(1/2 ページ)

CAは過去数年にわたり、ストレージおよびデータ管理のあらゆる局面をカバーする包括的な製品群を構築してきた。その背景と今後の戦略を聞いた

» 2006年10月14日 12時00分 公開
[三木 泉,@IT]

 IT管理で幅広いソリューションを展開するCAも、ストレージ/データ管理ではバックアップ・ソフトウェア「ARCserve」の印象が強かった。しかし同社は過去約2年をかけ、この分野で包括的な製品群を構築してきた。米CA ストレージ・マネジメント担当シニア・バイス・プレジデント兼ジェネラル・マネージャのロバート・デイビス(Robert Davis)氏に、CAのストレージ/データ管理製品戦略を聞いた。

──ストレージ関連ソフトウェアの世界では、1社で幅広い製品分野をカバーしようという動きが強まっていますが、CAとしての考えを聞かせてください。

ALT 米CAのロバート・デイビス氏

 当社としてもそうした考えを持っています。以前は「ARCserve」のバックアップがメインでしたが、最近ではストレージリソースの管理も求められていますし、どこで何がどうアクセスされているかを管理できる製品も求められるようになってきました。

 データの保護というニーズに絞って考えても、顧客は複数のソリューションを要するようになってきました。リアルタイムなアプリケーションのフェイルオーバーやデータ複製を求めているのです。

 さらに、従来は簡単なツールを使ってシンプルなストレージのティアリング(階層化)をすれば良かったのですが、今ではデータを分類し、どれがビジネスに不可欠ですぐに復旧できなければならないか、どれが重要であってもすぐに回復しなくていいのか、といったことを管理したいというニーズが高まってきました。

 こうした顧客の要望に直接応えるため、当社は2つの主要分野で新たな製品ラインを構築してきました。1つはインフォメーション・マネジメント。これはデータを分類し、それぞれの業務上の重要性を把握するとともに、コンプライアンスに備えるというものです。2つ目の重要な要素はリカバリ・マネジメントの進化です。これにはARCserveだけでなくXOsoftの買収によって獲得した重要な機能があります。XOsoftの持つデータ・レプリケーションやアプリケーションのフェイルオーバー、CDP(継続的データ保護)の各製品によって顧客のさまざまな要求に応えたデータリカバリが可能になりました。

 当社では約2年前にインフォメーション・マネジメントとリカバリ・マネジメント、そしてこれらに加えてリソース・マネジメントを3つの柱とする戦略を策定しました。これは、インフォメーション・マネジメントで各種の情報のビジネスにおける重要性を把握し、それぞれに必要とされるRTO(目標復旧時間)とRPO(目標復旧ポイント)を判断し、リカバリ・マネジメントにおいて、データの重要性に応じて様々な保護手法を適用しようというものです。そしてリソース・マネジメントはこれらのベースになるストレージの管理に貢献します。この戦略に基づいて過去12カ月の間に3社を買収し、足りないところを埋めてきました。

 XOsoft以外で買収した企業にはiLuminがあります。同社の製品は、2つの問題を解決する電子メールアーカイブ製品です。まずストレージ容量を節約する形で電子メールアーカイブを保存します。さらにコンプライアンス・ニーズに対応し、電子メールの内容を完全にインデックス化する機能があります。これにより、添付ファイルを含めてメールの重要度が分かります。

 買収したもう1社はMDYで、これはレコード・マネジメント製品の開発企業です。レコード・マネジメントはEMCの「Documentum」に代表されるようなドキュメント・マネジメントとは異なります。ドキュメント・マネジメント製品は既存のさまざまなリポジトリを捨てることなく、これらの上にまたがって適用でき、単一のポイントからの管理を実現できます。各種の情報の性質を把握できるため、データの重要性に応じて異なる保護方法を適用するのに役立ちます。

情報の性質に応じて保護や復旧の手法を適用する

──レコード・マネジメント製品と、バックアップ・ソフトウェアや階層型ストレージマネジメント(HSM)製品との連携は、どのように実現できるのでしょう。

 レコード・マネジメントはビジネスプロセスに関連します。各種のデータについて、どれくらいの期間保持すべきものなのか、誰がアクセスするべきものなのか、重要性はどれくらいなのかといった情報を取得できます。これに従って適切なリカバリの製品や手法を使うことになります。この点で、リカバリ・マネジメント製品はレコード・マネジメントと非常に密接に関わります。

 例えばレコード・マネジメントを活用してExchangeなどのメールの情報が、ビジネスに絶対欠かせないデータだと判断したとします。小さい会社なら、(レコード・マネジメント製品を使わずに)単に電子メールがビジネスに欠かせないという価値判断を人が行います。これに基づきリカバリ製品によって、リアルタイムでのレプリケーションを行い、バックアップ・ウィンドウ(バックアップ間の隙間)をなくすことができます。これに対して、人事情報については、重要ではあっても即座にデータを復旧しなければならない必要性はないので、単純にバックアップを適用することができます。

 企業が大きくなってきてサーバが増加していくと、重要なデータは自動的にレプリケーションするなど、情報を識別して適切に管理するという作業を、ポリシーに基づいて自動化したくなってきます。つまり情報を特定できれば、適切な保護方法を適用することが楽に行えるようになります。これを当社では「インフォメーション・ドリブン・プロテクション」(情報主導型の保護)と呼んでいます。

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