知的財産保護もセキュリティの重要な目標特別企画 知的財産とセキュリティ(1/2 ページ)

現在は企業内にデジタル化された知的財産が増えている。これらのデータを効率よく守るには、どうすればいいかを解説する。

» 2009年07月02日 12時00分 公開
[Michael Wolfe(マイケル・ウルフ),@IT]

知的財産の保護

本稿は、米シマンテックが米国で発表した記事「Protecting the Crown Jewels――Using DLP to Safeguard Intellectual Property」をアイティメディアが同社の許諾を得て、翻訳記事として転載するものです。


 知的財産とは、組織の独自の創作物であり、企業の競争力を確保したり、主要な差別化要因として機能したりする資産です。業界に関係なく、すべての組織には何らかの知的財産があります。企業が競争力を維持するためには、製品設計、取引モデル、ソースコードなど、すべての知的財産を保護する必要があります。

 しかし、この知的財産の保護は容易ではありません。悪意のない従業員の行為に起因する情報漏えいも増えているため、企業では、故意によるものかどうかに関係なく知的財産を漏えいから保護するための対策を取る必要があります。

 そのためには、組織に存在する知的財産の所在、移動先、データの責任者、漏えいの防止方法を把握する必要があります。情報漏えい防止(DLP)ソリューションを使うと、組織で知的財産の所在を突き止めて、保存される場所や使用される場所に関係なく、不正な開示から自動的に保護できるようになります。

機密データの特定

 知的財産は企業の生命線です。あらゆる業界のあらゆる企業にあるもので、商業的価値を持つあらゆる知的創作物として定義することができます。製品設計、薬物の構造式、取引モデル、ソースコード、顧客リスト、価格設定やプロモーションの計画など、すべての知的財産は貴重な資産であり、企業は競争力を維持するために細心の注意を払って管理および保護する必要があります。知的財産の漏えいは、すべての企業にとって真の脅威となります。

知的財産に対する最大の脅威

 脆弱性の定義は企業によってさまざまですが、知的財産が悪用されることを望む組織はありません。知的財産はほかのどの資産よりも貴重な資産ですが、現在はほとんどがデジタル化されているために簡単に共有でき、業務のプロセスで過剰に共有されていることもよくあります。

 知的財産に対する脅威は、顧客データや企業データなどのそのほかの機密データに対する脅威と変わりません。知的財産の漏えいは、関係者によって引き起こされる場合もあれば、部外者によって引き起こされる場合もあります。ハッカー、悪質な関係者、従業員の不注意な行為などのいずれもが、知的財産に対する脅威です。知的財産が競合他社の手に渡れば企業にとって死活問題となるため、知的財産を狙う悪質な関係者は特に問題になります。

 ネットワーク化が進んでいる現在の世界では、インスタントメッセージや企業のエクストラネットなどを経由する一見無害なコミュニケーションが、知的財産に対する最大の脅威となることもあります。インスタントメッセージによる単純な会話でも、従業員と部外者が新製品について話し合うときには、脅威になる可能性があります。また、企業がどの程度の情報をエクストラネットに公開するかは難しい問題です。公開することで情報がよい方向で利用されるように、と考える組織は多いようですが、情報が誤ってエクストラネットに流出するリスクを認識する必要もあります。

知的財産漏えいの問題の規模

 国際商工会議所によると、世界中の企業の知的財産盗難の被害額は年間6000億ドル以上に上ります。

【関連リンク記事】
国際商工会議所の年次レポート(PDF)

 官公庁も民間企業も、業界に関係なく、知的財産のセキュリティ確保という課題に直面していますが、ハイテク産業や製造業に属する企業では、従業員の悪質な行為、著作権侵害、不慮の漏えいなどから保護する必要のある知的財産が、ほかの業界に比べ多いのが一般的です。

 世界でネットワーク化が進むにつれて、知的財産盗難のリスクも高まっています。誰もが情報を無制限に共有したり、アクセスしたり、ばらまいたりすることができ、また従業員がどこからでもアクセスできるような、職場のユビキタス化が進んでいるため、あらゆる場所が「オフィス」となりえます。もちろん、逆に外部からのアクセスに厳しい制約を設ける企業も増えていますが……。

 こうしたオープン性のすべてが、知的財産を含む機密データの不慮の漏えいや意図的な漏えいのリスクを高めています。実際、TheInfoProによると、情報漏えいはfortune1000企業の間で最も一般的な課題となっています。

【関連リンク】
TheInfoProの資料(資料を参照するにはユーザー登録をする必要あり)

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