BCP目的のテレワークは失敗する特別告知 ITmedia Virtual EXPO 見所紹介

東日本大震災以降、BCPの観点からテレワークに乗り出す企業が大幅に増えた。その後も「節電対策の一環として」多くの企業が関心を寄せている。だが成功事例はあまり聞こえてこない。なぜテレワークを上手く活用できないのか? 2011年9月13日〜30日まで開催しているITmedia Virtual EXPO 復興・事業継続ゾーンで登壇するテレワークマネジメントの田澤由利氏が、セミナーでその理由を詳細に解説する。ここでは、その見所を簡単に紹介しよう。

» 2011年09月13日 12時00分 公開
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BCPの一環として注目を集めるテレワーク

 東日本大震災以降、多くの企業がテレワークに関心を寄せている。特に現在、企業が注目しているのは、従業員のクライアントPCをVPNで自社システムやクラウドサービスと接続することで「自宅でもオフィスと同様に業務を遂行可能になる」という点だ。そうした環境を整えておけば、万一の災害時、社員が出社困難に陥っても業務を継続できる。特にクラウドサービスなら、そもそも自社にシステムを保有しているわけではない。たとえ自社が被災しても、システムにアクセスするネットワークさえ担保できれば平時と同じように事業を継続できるというわけだ。

 従って、以前から関心を集めていた「在宅勤務」と大きく異なるのはその目的にある。在宅勤務はワークライフバランスの考え方に基づき、1人1人の社員が働きやすくなるよう、業務効率を維持・向上させつつ働き方の多様性を担保するためのものだったが、テレワークはBCPの一環として注目を集めているのだ。

 むろん、多くの災害担当者はそのようなことは百も承知だろう。だが、テレワークのそうした捉え方にこそ、実は落とし穴があるのだという。

 「テレワークを単なるBCPの延長としかとらえていない場合、その導入はたいてい失敗に終わる」――このように指摘するのは、2011年9月13日―30日まで開催するITmedia Virtual EXPO「復興/事業継続ゾーン」に登壇する、テレワークマネジメント 代表取締役の田澤由利氏だ。

 氏は「まずテレワークとは“生産性を向上させるもの”という認識を持つべき。そしてテレワークで実現したい目標を明確にすることが大切」と語る。つまり、BCPをテレワーク導入のきっかけとするのは大切なことだが、導入する以上、生産性向上のための長期的な視点が不可欠だ」というわけである。

 事実、3月の東日本大震災を受けて、即座にテレワーク導入に乗り出した企業のその後の状況を見ても、せっかくツールを導入していながら、業務プロセスや職場の文化などの問題により、在宅勤務が日常に定着していないケースが多いという。また、5?6月ごろからBCPに続いて「節電」を目的にしたテレワーク導入の波もあったが、その取り組み結果もやはり芳しくないケースが多いそうだ。

 では、なぜ“慌てて導入したテレワーク”はうまくいかないのか???その理由はテレワーク導入に当たり、考慮すべきテーマが不足しているためだという。

 「例えば経営層・管理層にとっては、社員がきちんと規定通りに働いているのか、業務プロセスはきちんと遂行されているのか、“見えない”という不安がある。そして『見えない以上、管理も難しい』として、テレワーク活用におのずと消極的な姿勢になってしまう。一方で、管理される従業員側にも悩みが生じやすい。まず、サボっていると思われるのではないかという不安が大きいし、その不安から長時間労働になりがちという問題もある。加えて、必ずしも全社員が自宅で効率良く仕事できるわけではない。プライベートの時間とのけじめをどう付けるか、この点をストレスに感じる人も少なくない」

 田澤氏は以上のような問題を挙げ、「ITツールを導入してテレワークが可能な環境を整備できたとしても、即座に在宅勤務をスムーズに遂行できるわけではない。在宅勤務に伴う業務上のあらゆる課題、悩みを解決しながら取り組む姿勢が必要だ」という。

「BCPのため」と考えるとテレワークはうまくいかない

 では具体的に、そうした悩みの解決のためには、どのような取り組みが必要なのだろうか。そのポイントして田澤氏が紹介するのが、「人材の有効活用(常時在宅でもしっかりと仕事ができる有能な人材を確保し、雇用を継続する)」「業務効率向上(今までより仕事の効率が良くなるよう、業務の整理・分割・見える化を行う)」「有事の危機管理(社員全員がいつでも在宅勤務可能な環境を整え、事業継続を狙う)」という3つの観点だ。

 特に田澤氏が強調するのは、「BCPは平時から取り組んでいなければ、いざというときに機能しない」という点だ。「災害は、ある日突然やってくる。そうした際、いざというときの対策方法などを文書化しておくだけでは、まずその通りに行動することはできない。BCPとは日ごろから取り組んでいて初めて効果を発揮できる」

 つまり、テレワークをBCPに活用するためには、おのずと日ごろからテレワークを利用した業務遂行が求められるのである。それだけに、「BCPの一環として“いざというときの手段”と考えるとテレワークはうまくいかないし、平時からの活用が求められる以上、BCPを目的にするだけではもったいない。より良い人材の確保、業務効率向上もセットで考えれば、BCPとしての有効性を担保しながら、生産性向上に役立てられ、テレワークならではの多くのメリットが引き出せる」というわけだ。

 では、「生産性向上を目的としたテレワークを、長期視点で考え実現する」ためには、具体的に何を道標とし、どう実現していけば良いのだろうか??そのポイントを、ITmedia Virtual EXPO 2011 復興・事業継続ゾーンでの講演「在宅ワーク導入に向けて企業が注意する3つのポイント」で田澤氏が詳細に解説する。

 「春や夏に始めて秋に終わるテレワークでは意味がない。取り組む以上は、テレワークで実現する目標をしっかりと定めることが大切。また、震災直後から取り組み、好ましい結果が得られなかった場合も、ここで諦めてしまう企業と、原因を考えて成功に向けて継続する企業とでは大きな差が出てくる」??すでにテレワーク導入に取り組んでいる、あるいは検討中の場合も、ぜひ本セミナーを聴講してみてはいかがだろうか。

編集部からのお知らせ

2011年9月13日?30日まで開催するITmedia Virtual EXPO「復興/事業継続ゾーン」でテレワークマネジメントの田澤由利氏が「在宅ワーク導入に向けて企業が注意する3つのポイント」と題して講演します。参加には来場登録(無料)が必要ですので、下記ページよりぜひご登録ください。


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