クラウド時代のIT資産管理リポート IT資産管理イベント(1/3 ページ)

2011年3月2日、東京・秋葉原の富士ソフト アキバホールにて、@IT情報マネジメント編集部主催のセミナー「第12回 @IT情報マネジメントカンファレンス ビジネスのスピード、コスト、セキュリティの問題を解決、 クラウド時代のIT資産管理」が開催された。当日は、IDCジャパンのアナリスト、赤城知子氏による基調講演と、オリンパスのIT統括本部 本部長 北村正仁氏による特別講演のほか、ベンダによる自社ソリューションの紹介を行うセッションが行われた。

» 2011年04月20日 12時00分 公開
[唐沢正和,@IT]

 仮想化技術やクラウドサービスの浸透に伴い、企業がITを有効活用するための環境はますます整いつつある。しかし一方で、そのIT基盤は複雑化の一途をたどっており、コンプライアンスやセキュリティ面でのリスクも高まっている。本カンファレンスでは、そうした現状に基づき、IT資産管理の重要性と実践のノウハウが、あらゆる角度から詳しく紹介された。以下ではその概要をレポートする。

多様化するIT資産を統合的に管理しよう

 基調講演には、IDC Japan ソフトウェア&セキュリティ グループマネージャの赤城知子氏が登壇し、IT資産管理の現状と課題、クラウド時代に向けたアプローチについて講演を行った。

 まず赤城氏は、企業のITインフラがメインフレームからクライアント・サーバシステム、さらには仮想環境、クラウドへと変遷していく流れを説明。その上で、「今後、クラウド時代に向けて、サーバ仮想化に加え、クライアント仮想化が急速に普及していくと見ている。今後は情報端末の多様化が進み、2011年にはスマートフォンがノートPCの出荷台数を上回るだろう。これはクラウドやソーシャルメディアに対するスマートフォンの親和性が非常に高いためだ」と解説した。

 そして、こうしたITインフラのパラダイムシフトとともに、「IT資産管理の重要性もさらに高まりつつある」という。

IDC Japan ソフトウェア&セキュリティ グループマネージャの赤城知子氏 IDC Japan ソフトウェア&セキュリティ グループマネージャの赤城知子氏

 赤城氏はその背景として、「スマートフォンなど情報端末の多様化に伴うIT資産の拡大」「仮想化されたシステムインフラの構成情報を把握することの重要性」「仮想化環境でのソフトウェアライセンス管理の複雑化」「クラウドサービスの利用で高まるセキュリティリスク」という4つの要因があると指摘する。また、クラウド時代に向けてITインフラがますます複雑化する中で、「IT管理者に求められるスキルレベルも高度化してくる」と指摘した。

 「いままでのように、PCやサーバの台数を管理するだけでは対応できない。クラウド時代では、クラウドから提供されるITサービスも含めて管理し、適切な状態でユーザーに提供していく必要がある。つまり、これからのIT管理者は、ITシステム管理者/ITサービス管理者/ITサービスプロバイダという3つの役割を担っていくことになる」

 では、クラウド時代、IT管理者はどのようなアプローチでIT資産を管理していけば良いのか。

 これについて、赤城氏は、多様化するIT資産を統合的に管理する/クラウド環境では常にIT資産の状況が変化するため、リアルタイムにIT資産の把握と分析を行う/人手での管理ではなく、ツールを徹底的に活用して管理を自動化する??以上3つが重要であると述べた。

 また、IT資産管理の実施に当たっては、中長期的なITグランドデザインを描く/運用プロセスを標準化する/資産管理で対象とする範囲を明確化する/自社の資産管理レベルに最適な機能を有したIT資産管理ツールを選定する、という4点を検討すべきと提言した。

「資産管理ツールを使いこなせない」ことも重要な問題の一つ

 ベンダによるセッションでは、まずハンモックの製品開発部 次長 小川智史氏が登壇し、PC運用アウトソーシングサービス「APOS(AssetView PC operation Outsourcing Service)」について紹介した。

 IT資産管理ツールを導入したものの、思うように活用できていない企業は多い。小川氏によると、特に「ツールを導入したまま設定変更されていない、見直し時に作成したレポートが運用に生かされていないなど、IT資産管理のPDCAサイクルが負の循環に陥っているケースが多い」という。

ハンモック 製品開発部 次長 小川智史氏 ハンモック 製品開発部 次長 小川智史氏

 こうした現状について、同社ではPC運用アウトソーシングサービス「APOS」を提案しているという。これは、IT統合管理ソフトウェア「AssetView PLATINUM」を月額料金で提供し、3カ月に1度の定期的な訪問サポートによって、その運用を支援するというサービスだ。

 「AssetView PLATINUM」は、クライアントPCを取り巻く環境を一元的に管理するための各種機能を用意し、モジュールごとに選択導入できる製品。訪問サポートでは、システムの運用結果である資産管理の各種レポートを提出するほか、状況をヒアリングし、ツールの運用改善提案や設定変更なども行うという。

 小川氏は、「その重要性を認識していながら、ツールを使いこなせないことが、IT資産管理のハードルとなっている例が多い。その点、IT資産管理ツールの各種機能を、自社の状況に合わせて月額で柔軟に利用できることと、定期的な訪問サポートを活用すれば、“IT資産管理の負のPDCAサイクル”をすべて解消できる」と指摘。

 加えて、「最適なIT統制環境を維持しながら、IT資産管理の工数削減も図れる」とも強調し、“自社の状況に合わせた現実的な方策”を検討することが、IT資産管理を実践する第一歩となることを示唆した。

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