日本企業にお勧めなのはハノイ、ホーチミンどっち?世界のオフショア事情(5)(1/3 ページ)

ベトナムには「ハノイ」と「ホーチミン」という2大都市があり、それぞれ文化がかなり違う。今回はそれぞれの都市の特徴とオフショア開発のポイントを紹介する。

» 2008年11月11日 12時00分 公開
[霜田寛之(オフショア大學 講師),Global Net One株式会社]

 2008年は日越外交関係樹立35周年を記念して、日本・ベトナムの両国でさまざまなイベントが開催されています。

 2008年9月に赤坂のホテルで開催された「日本・ベトナムビジネスフォーラム」では、ベトナムソフトウェア協会の会長であるチュオン・ザー・ビン(Truong Gia Binh)氏も参加し、ベトナムIT産業の「モノづくり」へのこだわりを強調しました。この言葉に込められた思いを、ベトナムにおける産業全体でどのように共有し、実現させていけるかが今後の大きな課題です。

 さて、前回はベトナムベンダとのオフショア開発におけるコミュニケーションについて解説しました。今回は、ベトナム国内における地域ごとの特性を見ていきたいと思います。

 ベトナムと一口でいっても、地域ごとの違いが非常にあります。日本よりも少し小さい国土ながら、大きな違いがあることを理解することで、日本人がいかに均質化されているのかを実感するとともに、地域ごとの特性をとらえて、どのようにパートナー開拓していくのか、開発を進めていくのか、また、ビジネスを展開していくかのヒントにしていただければと思います。

ざっくり分けると北と南

 このように書いてしまうと、ベトナム中部の人に怒られるかもしれませんが……。ここでは簡単に北、つまりハノイの人と、南、つまりホーチミンの人の2つに分けて比較します。

 政治の中心・ハノイに対して、経済の中心・ホーチミン。ほとんどのIT企業はこの2都市に集中しています。

ALT 逆走する車を器用に避けてるバイクたち

 中国での拠点や委託先を選ぶ際には、北京、上海、大連。少し内陸に行くと重慶、成都など、さまざまな選択肢があり、大前研一氏が著書『チャイナ・インパクト』(講談社刊)で述べているように、国土の広い国らしくそれぞれの地域に特徴があります。それに対してベトナムは狭い国土にもかかわらず、北と南で明確な違いがあります。これは気候、文化、歴史、政治で違った道をたどってきたハノイとホーチミンだからこそ見られる違いです。

 「北の人は南の人を管理できるが、その逆は難しい」ともいわれており、現地に進出する際にはもちろん、委託ベースでも、相手ベンダのメンバー構成や開発を実施する拠点について議論するのに、これらの地域特性が役に立つことがあるかもしれません。

 また気候もかなり違います。先日もその差を説明しただけで、進出先地域の優先順位を決めてしまった社長の方がいるくらいです。その方は「行きたい所に仕事を作っていく。いままでもそれで大きな間違いはなかった」といいます。

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