
中国人の日本型開発アプローチに対する本音は?
2006/3/16
出来上がってきたものを見てから修正する……。「日本人の設計は甘い!」といわざるを得ません。昨年、筆者が主催した上海オフショア開発交流会で、次のような会話を耳にしました。
多くの中国人技術者は、「出来上がってきたものを見てから修正する」という日本人のやり方に対して、以下のような否定的な見解を持つといいます。
- 日本人は、本来設計に掛けるべき時間と労力を省いている
- 日本人は、想像力や検討する力が欠けている
- 日本では、能力の低い技術者が設計している
今回は、日本と中国それぞれで熱く議論されている「日本式開発アプローチの甘さ」について一緒に考えてみましょう。
中国側の日本式開発アプローチに対する本音を知る手掛かり
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| 中国オフショア開発交流会の様子 |
○経営陣
会社の創業者・社長や役員。会社の存続と持続的成長に執着します。日本での就業経験を持つ者も多く、いわゆる「商売上手」だと評判を受ける人たちです。○プロジェクトマネージャ層
日本向けオフショア開発の経験を持ち、日本語検定2級以上の語学力を持つ高級人材。20代後半から30代が中心。自分が担当するプロジェクトの完遂に強くこだわります。○担当者
そして、オフショア開発プロジェクトの大半を占めるのが、20代前半から中盤を中心とする若手プログラマです。日本語検定3級以下で日本向け開発の経験が少なく、日本的な商慣習をほとんど理解していません。自分が作ったプログラムが日本の客先でどのように利用されるのかをまったく知りません。こういった現場の技術者は、技術習得や実務経験の蓄積に最大の関心を持っています。
このように会社の経営陣、プロジェクトマネージャ、そして担当技術者は、それぞれ職務上こだわりを持つ領域が異なります。ここでは、私たち1人1人が持つ、このような「こだわり」や「執着」のことを「コミットメント」といいます。この場合のコミットメントとは、他人との約束や与えられた目標よりも、より主体的で強力なパワーを持っているのが特徴です。よく知られるように従業員のコミットメントは仕事の生産性を大きく左右します。洋の東西を問わず、ソフトウェア開発会社で働く従業員は次の特徴を持っています。
- 経営陣は、会社の存続と持続的成長にコミットする
- プロジェクトマネージャは、プロジェクトの完遂にコミットする
- 現場の技術者は、技術習得や実務経験の蓄積にコミットする
従って、同じ中国企業の中でも、日本に対する態度や認識が異なります。こうした背景を知ることは、私たちが中国側の「日本式開発アプローチ」に対する本音を理解するのに欠かすことができません。以下では、在日中国人技術者へのインタビューを交えながら、さらに中国オフショアベンダ側の本音を探っていきたいと思います。
「お客さまは神様です」という日本文化を中国スタッフは知らない
日本のソフトウェア業界では、「お客さまは神様です」という観念が根強く残っています。さらに、大半の日本人技術者は、社内で先輩から「ソフトウェア開発はサービス業である」と教えられてきました。従来、このような考え方が日本の経済発展を支えるうえで大きな役割を果たしてきたことには、疑いの余地がありません。
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日本的商慣習の背景はどうあれ、中国に仕事を依頼する際には、平気で「出来上がったものを見てから気に入らない個所を修正する」といったやり方がまかり通ります。良くも悪くも、これが日本式開発アプローチの特徴です。
[日本的環境下でよくある発言]
- システム開発で修正が入るのは当たり前、やむを得ない
- 顧客が直したいと望んでいるのだから、直すべき
- 修正要望に臨機応変に対応するのも、ソフト会社の力量の1つ
日本国内では、発注元に対して積極的に提案を行う下請けソフトウェア会社が、急速に力を付けています。業務を知り、ときにはSE的な動きをするワンランク上のプログラマも明らかに増えています。そうしないと、日本のソフトウェア会社は生き残れない時代なのかもしれません。このような背景もあり、中国オフショア開発への期待値が以前と比べて格段に上がっているような気がします。
例えば、金融や流通分野を得意とする沖縄オフショア開発では、東京のベンダも顔負けの業務エンジニアをずらりとそろえています。しかも、沖縄現地でのオフショア作業だと人件費は格段に安いのです。さらに、沖縄に限らず日本の地方ベンダは、「ここまでやるか!?」と驚くような低価格の提案書を持参してきます。中国に住む現地スタッフの多くは、このような日本の事情をほとんど知る機会がないのです。
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ホワイトペーパー(TechTargetジャパン)
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