5分 − 工事進行基準の導入をチャンスに

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 ここまで読み進めて、工事進行基準への対応は大変だとの印象を持ったかもしれません。しかし、工事進行基準の導入にはメリットもあります。

 工事進行基準への対応でまず大きな負荷が生じるのは、営業現場でしょう。従来の商習慣を打破して、何を作ったらいくらになるか、仕様変更したらいくらかなどについて顧客の理解と納得を得なければなりません。しかし、それによって仕様があいまいなままソフトウェア開発がスタートし、後々お互いの認識違いによるトラブルが発生するケースが減ることが予想されます。また、顧客からの安易な仕様追加や仕様変更の要求が減る可能性があります。

営業現場への負荷とメリット
負荷
仕様に関して、顧客の合意を得る
納品物や作業の対価を明確にし、顧客の合意を得る
顧客に適切な説明
メリット
あいまいな契約、一式契約によるトラブルの減少
顧客からの仕様追加、仕様変更要求の減少

 開発プロジェクトの現場では要求定義の厳密化や無理な仕様追加・仕様変更が減ることにより、作業の手戻りや納期遅れが減少することが予想されます。これにより、デスマーチや不要な残業が減り、3K(きつい、厳しい、帰れない)といわれている職場環境の改善のきっかけになる可能性があります。

開発プロジェクト現場への負荷とメリット
負荷
詳細なコストの見積もり
正確なコストの実績把握
正確な進ちょく率の把握
仕様追加、仕様変更への対応(コストの再見積もりと進ちょく度の再計算)
予定コストを超過する可能性が高くなった時点での超過額の把握
メリット
手戻りによる納期遅れの減少
デスマーチや残業の低減、職場環境(3K)の改善

 経営のレベルでは、プロジェクト進ちょく中もコスト管理を行うわけですから、赤字プロジェクトが減ることが期待できます。実際にこれまでのソフトウェア受託開発では、あいまいな契約とずさんなプロジェクトマネジメントが相まって、「終わってみれば赤字」という案件が数多くありました。

会社全体への負荷とメリット
負荷
業務プロセス全体の見直し
会計システムの改修、対応
メリット
赤字プロジェクトの把握、減少

 いま「メリット」と書きましたが、これらはすべて「本来、行うべきこと」です。これまでの悪しき慣習を一新し、健全なIT業界を築くチャンスだといえるでしょう。主体的に取り組む価値は十分あるといえるのではないでしょうか。

 なお現時点で、工事進行基準には制度的にあいまいな点が残っており、これから詳細が明らかになる部分もあります。顧客からの要請、元請けソフトウェア開発会社からの要請、監査法人からの要請などを冷静に判断し、工事進行基準への対応を検討されることをお勧めします。

 

 Index 
 5分で絶対に分かる工事進行基準
  工事進行基準導入でIT業界が変わる!?
  1分 − 工事進行基準とはちょっとずつ「売上計上」すること
  2分 − 工事進行基準は世の中からの要請
  3分 − ソフトウェア・コスト見積もりの問題点
  4分 − プロジェクト進ちょく率の把握も難題
5分 − 工事進行基準の導入をチャンスに

5分で絶対に分かるシリーズ
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 ・5分で絶対に分かるプロジェクト管理
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 ・5分で絶対に分かる工事進行基準
 ・5分で絶対に分かるSOX法と内部統制の違い
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