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IFRSのイロハ(2)

今なら聞いても遅くない!
IFRSにまつわる16の疑問(Q9〜Q16)

ダイヤモンド社
2010/7/15

会計をめぐる世界の標準争いの渦中にあるIFRS。今後、世界、そして日本での適用も増えると予測される。理解を助けるために、今なら聞いても遅くないIFRSに関する16の基本的な疑問に答える(Q1〜Q8まではこちら。週刊ダイヤモンド臨時増刊 2009年10月30日号から転載)

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Q9 財務諸表も変わってしまうって本当?

A) ちょっと大げさにいえば、これまで慣れ親しんできた貸借対照表(B/S)と損益計算書(P/L)はすでになくなってしまった。

 正確には呼び名が、それぞれ財政状態計算書、包括利益計算書という名前に変わった。まだ議論が進んでおり正式に決まってはいないが、名前だけでなく中身もがらっと変わるため、これまでの財務諸表を見なれている投資家は、大いに戸惑うはずだ。

Q10 B/Sはどう表示されるの?

A) 大きく分けて「事業」「財務」「廃止事業」「法人所得税」「所有者持ち分」に分けられることになる。事業はさらに「営業」と「投資」の2つに分かれて表記される。これまでは、流動資産、固定資産の順で一緒くたに表示されていたが、外から見ると細かく分析しやすくなる。

 その反面、これまで、資産は左側、負債は右側とたたき込まれてきた人は、違和感を覚えるのは否めないはずだ。

 廃止事業を別にするというのも従来と大きく違う点だ。事業の廃止に伴って処分する資産や負債は別表記にしなければならず、しかも過去にさかのぼらねばならないため、作業の煩雑さは想像を絶する。

 余談だがキャッシュフロー計算書にもこの廃止事業を別立てで表記しなければならない。

Q11 じゃあ、P/Lはどうなるの?

A) これも、やはり「事業」「財務」などと分けられ、事業のなかで「営業」「投資」に区分される。それぞれでどれだけ利益が出ているか、あるいは損しているのか一目瞭然となるため、投資する側から見れば、ずいぶん透明性が増す。

 ただ、大きく混乱しそうなのが、利益(損益)のところだ。

 日本でよく使われる経常利益はなくなり、リストラや資産売却に伴う特別損失、特別利益も表示なし。当期利益も、おなじみの最後の行を探しても見当たらず小計で表示される。最後のほうの行に表記されているのは包括利益だ。

 先述のように、これが包括利益重視の下で作成された財務諸表ならではのつくりといえる。さらにいえば、当期利益自体も、定義が変わっていることに注意してほしい。現行は、連結財務諸表を提出している会社以外が子会社株を保有している場合は、持ち分に応じて差し引いたものを当期利益としているが、IFRSで表示される当期利益はこれも含まれている。

 そのため、過去の当期利益と比較したいなら、「支配持ち分」という表記があれば、そこを見なければならなくなる。もっとも会計基準自体が違うので会社がさかのぼって出したものでない限り、単純比較できないことは言うまでもないだろう。

Q12 IFRSの適用はいつから?どんな企業が対象になるの?

A) 2010年3月期から任意適用が認められるようになり、日本電波工業が任意適用の第1号となった。今後、実際に早期適用に名乗りを上げそうな具体的な企業は、当初はEUや米国でも上場しているグローバル企業などビッグネームが中心となりそうだ。

 2015年か2016年にも考えられる強制適用については、上場企業が対象になっている。その数は約4000社にも上るが、規模や体力の格差があるだけに、一斉に適用できるかどうか、疑問視する声はある。

 このため一斉か段階かを含めて、強制適用の可否を決断する12年に決まることになる。1年前に同じく可否を決める米国の動きを意識してのことだが、今の世界の流れを見る限り、適用する可能性が濃厚だ。

 また、上場していなくても、親会社がグローバル企業である場合や、近い将来上場を計画している場合などは、IFRSでの財務諸表作成が必要になってくるかもしれない。今後の検討材料になりそうだ。

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