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IFRSのイロハ(2)

今なら聞いても遅くない!
IFRSにまつわる16の疑問(Q9〜Q16)

ダイヤモンド社
2010/7/15

会計をめぐる世界の標準争いの渦中にあるIFRS。今後、世界、そして日本での適用も増えると予測される。理解を助けるために、今なら聞いても遅くないIFRSに関する16の基本的な疑問に答える(Q1〜Q8まではこちら。週刊ダイヤモンド臨時増刊 2009年10月30日号から転載)

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Q13 連結決算だけでいいっていうのは本当?

A) 今のところは連結決算が対象と考えてもらっていい。単体決算は、会社法上の配当可能利益の計算や、法人税法上の課税所得の計算などに利用されているため、このあたりの調整ができない限り、すぐに変えるというわけにはいかないのだろう。

 確かに上場企業にIFRS適用を義務づけているEUでも、対象は連結決算。単体決算は国によって、その国の基準かIFRSかはまちまちだ。

 でも、そもそも単体決算がなければ連結決算も作成できない。つまり、いずれにしても企業は、単体であってもIFRSに準拠した数値を把握していなければならないので、日本基準、IFRS作成という二倍の労力がいると覚悟していたほうがいい。

 特に、海外子会社の場合は、事前に現地の経理担当者とのコミュニケーションをしっかり図っておく必要がある。

 ちなみに、上場企業でも連結対象の会社を保有しておらず、単体でしか財務諸表を作っていない場合は、IFRSでも作成することが求められそうだ。

Q14 IFRS適用で会計基準は一挙に変わるの?

A) じつは、05年以降、日本基準は急ピッチでIFRSに近づいている。コンバージェンス(収れん)と呼ばれているものだが、実態は日本がEUに歩み寄ったに等しい。IFRSと同等のものと認められなければ、日本企業がEU市場から締め出される危険性があったからだ。

 2008年末までの短期目標と、11年6月末までの中期目標に分かれているものの、これが達成されれば「日本基準とIFRSの差はほとんどなくなる」という声があるのは事実だ。

 だが、これは楽観論にすぎない。コンバージェンスの対象になっていないものは多々ある。また、せっかくコンバージェンスしたのに、すでに見直されたり、日本基準が甘めだったりしているため、本格的にIFRSに移行したときには、抜本的にやり替えねばならないものも少なくない。

 極めつきは、今まさにIFRSで見直し作業が進んでいる項目だ。IASB(国際会計基準審議会)がFASB(米国財務会計基準審議会)と共同で議論を進めているものもあるが、重要項目が数多く含まれており、もめそうなものも目につく。

 IFRS適用が決まったとしても、肝心の導入すべき基準が動いているのだから、企業にとってはいかに厄介かおわかりだろう。

Q15 昔、「会計ビッグバン」って言ってたけど?

A) この10年あまり日本では急激に会計基準が新設されたり、改訂されたりしてきた。先述のコンバージェンスもその原因だが、始まりが2000年以降の会計ビッグバンにあると思ってもらっていい。

 会計ビッグバンは、バブル崩壊でガタガタになった日本経済を立て直すため、市場活性化の一環として提唱されたものだ。具体的には「連結主体の開示」「キャッシュフロー計算書の導入」「税効果会計の全面適用」など続々と新たな基準が導入されたことを覚えている方もいるだろう。

 ところが、激動期を迎えたのは日本ばかりではなかった。世界でもEUの勃興が始まり、IFRSの誕生に結び付いた。先に行ってしまった“世界”との格差を埋めるためにコンバージェンスを余儀なくされてしまった。

Q16 IFRSに移行するときに大混乱にはならないの?

A) 金融庁は強制適用すると決めた場合、3年間の準備期間を設けている。諸外国の例から、これだけあれば対応できると踏んでいるからだ。

 だが、IFRS導入の影響は経理や財務以外にも営業や企画、子会社などさまざまな部署に及び、しかも、導入前後はマンパワーが必要になる。上場企業といっても、日常業務で精一杯というところは少なくない。

 実際、監査法人などは対応するための期間は4〜5年かかると想定しているが、自信がない企業は、極力早めに検討に着手しておくことをお勧めする。

 過去、適用に踏み切った欧州やオーストラリアでは開示をめぐって投資家などに混乱を招いたこともあったという。日本の企業の経理マン、あるいは監査法人の厳密さ、まじめさを考えれば、正確さを保つためにそうとうのエネルギーを注ぎ込むのは間違いない。

 皮肉なことではあるが、これがまた間違いを引き起こす遠因になりうる。

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