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連載:アプリケーションベンダが語るIFRS(1)

ディーバ「IFRSは連結の問題、我々の本丸だ」

垣内郁栄
IFRS 国際会計基準フォーラム
2009/10/19

多くの会計システムはソフトウェアベンダが開発するアプリケーションで構築されていて、ソフトウェアベンダの動向は企業の今後のIFRS対応にも影響を与える。彼らは企業をどう支援しようとしているのだろうか。当連載では主要ベンダに話を聞く。第1弾は連結会計システム「DivaSystem」を開発・販売するディーバ

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 ディーバは8月12日、企業のIFRS対応を見越して今後の製品ロードマップを発表した(発表記事)。2009年には現行の会計基準変更に対応したDivaSystemの「コンバージェンス版」を発表。その後、2010年には日本基準とIFRSの両基準の連結財務諸表作成を並行して行うことができる「トライアル版」、そして2011年にはIFRSでの会計処理に本格対応する「アドプション版」を提供する予定だ。

 コンバージェンス版と位置付けるDivaSystem 9.3は8月27日に発表。11月末に出荷開始する予定だ。2010年4月以降に開始される事業年度で対応が必要になる「セグメント情報等の開示に関する会計基準」に対応し、「マネジメント・アプローチ」に基づく情報開示を可能にすることが主な特長だ(発表記事)。

 ディーバ 代表取締役社長の森川徹治氏に今後の取り組みを聞いた。

――IFRSをどうとらえていますか?

森川氏 ERPは生産管理を行いたいなど、会社の要請で生まれてきました。対して、連結会計は会社のニーズではなく、開示への対応から生まれました。しかも連結へのニーズを加速させているのは国内ではなく、グローバルの要求です。連結決算自体は国内でも過去から行われてきましたが、連結財務諸表中心の開示が要求されることでその重要性が変わってきました。企業は、連結決算を片手間に行うのではなく、主たる業務として行う必要が出てきました。それで連結会計の仕組みが必要になってきたのです。

 また、連結会計を単純にディスクローズだけに使うのはもったいないとの意見があり、経営に生かすことを考えて、「DivaSystem」ではディスクローズと経営を融合させて使える機能を発展させてきました。IFRSは基本的には開示であり、連結の問題と捉えています。つまり、われわれにとってIFRS対応はまさに本業、本丸の部分です。きちんと対応するのが基本スタンスです。

――会計システムのIFRS対応をどう考えますか。

ディーバ 代表取締役社長の森川徹治氏

森川氏 会計システムのIFRS対応にはいくつかの方法がありますが、現実的に考えると対応方法は3通りでしょう。ポイントは単体会計の修正、会計基準の修正仕訳を誰が行うかということです。1番目は親会社がやるというパターンです。単体は日本基準で処理し、親会社の連結会計時にIFRSに切り替えます。2番目は子会社で日本基準の総勘定元帳をIFRSに修正する方法です。3番目は子会社で最初からIFRSで記帳するというパターンです。2番目と3番目の違いは、3番目は単体自体がIFRSに完全にアドプションするということです。

 規模が小さい大多数の企業は1番目を選ぶと思います。また、子会社が多い企業は2番目を選ぶでしょう。2番目を選ぶ企業は子会社でIFRSへの組替えが必要です。その場合は子会社側でIFRSの知識が必要になり、人の教育がネックになります。せっかくIFRSを適用するならグループ全体の会計基準を統一し、子会社も含めて経営管理するのが正論です。しかし、ディーバとしては、いきなり3番目を目指すだけではなく、企業の状況に応じては、1、2番目を適用できるよう支援します。

――経理の仕組み自体を一本化するシェアードサービスを検討する企業もあります。

森川氏 シェアードサービスでIFRS対応する方法もありますが、子会社から従来どおりにデータを出してもらって親会社でIFRSに修正するケースがやはり多いでしょう。現在のSEC基準の31社の多くは子会社から日本基準で財務データを挙げてもらって、親会社でSEC基準の連結に切り替えています。

 先にIFRSを導入しているオーストラリアやヨーロッパの企業に話を聞くと、子会社側でIFRSで修正してもらう形をとっているケースが多いといいます。しかし、単体の総勘定元帳は現地基準で記帳していて、親会社に報告する際にIFRSに組替えているようです。そのため単体のERP導入への影響は少なく、連結データを集めるレポートパッケージや、子会社の教育育成に手間がかかったと聞いたことがあります。

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