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IFRSで経営管理をレベルアップ(2)

連結予算をIFRSベースで編成するための第一歩

伊藤雅彦
株式会社日立コンサルティング
2010/3/17

上場企業は単なる損益中心主義から脱して、企業価値向上を志向する経営スタイルに自らを変革する必要がある。この取り組みの第一歩が、IFRSをベースにした貸借対照表とキャッシュフローの予算編成、そして業績のモニタリングだ (→記事要約<Page 3>へ)

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 前回はIFRS(国際財務報告基準、国際会計基準)の管理会計の側面からの概略とIFRSベースでの管理会計の方向性を提示した。今回はもう少し、ニーズの背景に触れ、実務的な観点からキーとなるポイントを深堀りしてみたい。

グループ最適の予算編成

 従来、日本企業において貸借対照表(BS)予算を編成する企業はあまり多くなかった。ましてや、キャッシュフロー(C/F)においては、非常に少ないだろう。しかしながら、上場企業が目指す株主への還元は、投資に対するリターンであり、株価の上昇か高配当であるといえる。いまさらリーマンショックを持ち出すまでもなく、原理主義的な市場中心資本主義の暴走はあったが、経済の潤滑油としての金融機能の重要性は変わらない。直接金融の占める割合が多くなっている今日では、上場企業は株主への経済的価値の還元を最大化するよう経営努力をすべきことはいうまでもない。

 ではBS、C/Fの予算編成を連結ベースで実施せずに、グループ最適な企業価値の向上を目指した意思決定や事業モニタリングができるかというと筆者はNoだと考える。

 損益を中心とした事業計画は、右肩上がりの経済環境下で不況がきたとしても景気循環の調整局面ととらえていればよかった時代のものである。グローバルでの経済の構造変化が生じ、日本を含む先進経済国において成熟経済が訪れた現在、損益計算書(PL)の規模拡大だけではなく、その利益がどれほどの投下資本で獲得されたかが企業価値経営の基本になってくる。このような観点で価値を極大化した経営を実践しておれば、ファンドを代表とする財務的買収者(Financial Buyer)からの買収攻勢をまったく恐れる必要なく、安定的経営を実現することができる。

 言い換えると、上場企業は単なる損益中心主義から脱して、企業価値向上を志向する経営スタイルに自らを変革する必要がある。なぜなら、増収増益を果たしたといえども、より多くの投下資本を要した結果であれば、その利益は投下資本利益率(ROA)や株主資本利益率(ROE)の観点で見た場合、評価が低くなる場合があるからである。

 この取り組みの第一歩が、BSとC/Fの予算をグループベースで編成し、それを経営指標に関連付けて分解、月次などのサイクルで行われる業績のモニタリングと、日々の意思決定を行うに当たっての価値基準を提供することである。このようにグループ最適とは利益計上のみのグループ最適のみならず、資本構成を含む財務的パフォーマンスのグループ最適を意味すると考えられる。

IFRS版連結ベース予算

 上記で述べたグループ最適な予算を編成しようとする場合、IFRS適用を視野に入れて準備、実行する必要がある。なぜならば、IFRS適用後の外部開示は実績(決算)、業績見通しなど、すべてIFRSベースになる。従って、事業計画や予算もIFRSベースで作成する必要がある。2015年にも強制適用されるといわれるIFRSでは、連結会計処理、及びグループ内各社の単体会計プロセスをIFRSでの財務諸表作成の観点から見直す必要があるが、単に実績としての連結決算数値がIFRSベースで作成できるだけではなく、予算もIFRSベースかつ、グループベースで編成されることが重要である。

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