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コーポレートガバナンス再構築(1)

調査報告書で読み解くオリンパス失敗の本質

中原國尋
株式会社レキシコム
2012/2/15

オリンパスや大王製紙の不適切な会計処理であらためてコーポレートガバナンスが注目されている。仕組みとして整えられているコーポレートガバナンスを適切に機能させ、企業経営のリスク低減を図るにはどうすればいいのか。内部統制に詳しい公認会計士が解説する。

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 最近、不適切な会計処理が行われていたり、あるいは会社のお金を私的に流用したりするなど、企業の在り方を考えさせられるような事件が相次いでいる。これらの事件の特色は、経営者が主体的にかかわっているということである。経営者は会社の業務執行に関する意思決定を行い、その意思決定に従って業務を遂行するが、ときに上記のような不適切な行為に及ぶことがある。そのような不適切な行為は、従業員はもとより、株主や債権者などに対する不利益を招く可能性があるため、会社におけるコーポレートガバナンスの体制を構築し、強化することが必要になると考えられる。

 しかしながら適切なコーポレートガバナンスの体制は、定まった定義があるわけではないため、各社試行錯誤しながら最適解を模索している。本稿では、いくつかの事例を参考に、どのような体制を敷くことが有効であるのか、日本企業の特質が何か隠れているのかなどについて検討する。なお、意見に関する部分は筆者の個人的な意見であり、筆者の所属する組織などにおける見解ではないことをあらかじめお断りしておく。

オリンパスの第三者委員会報告書

(1) コーポレートガバナンスの状況とその機能性

 それでは、オリンパス株式会社(以下、「オリンパス」とする)の第三者委員会が2011年12月6日に公表した調査報告書(以下、「報告書」とする、オリンパスサイトへのリンク)から、オリンパスにおけるコーポレートガバナンスの状況を検討してみよう。

 オリンパスでは10年以上前からに財テクの失敗を隠すために、ごく一部の経営者と外部の専門家のみでいわゆる「飛ばし」といわれる会計処理を行ってきており、それら飛ばした損失について、さまざまな組織再編を行う過程で解消を図っていた。

 報告書の前半は、今回の飛ばしのスキームに関する調査結果が記載されており、大変興味深いところではあるが、本稿のテーマとなっているコーポレートガバナンスに関する記述は後半を中心に記載されている。

 さて、オリンパスでは2001年4月に経営構造改革を行っており、そこでガバナンスの体制を大きく変更している。それまで存在していた常務会を廃し、執行役員制を導入したうえで取締役会の構成人員を10人程度と大幅に絞り、代表取締役の意思決定を補佐するために経営執行会議を設置した。執行役員は取締役会において選任されるが、執行役員は各担当部門の戦略立案および執行を任される。経営執行会議は取締役および執行役員の他、特に参加が認められた者により構成される。

 経営執行会議の位置付けとしては、取締役会決議事項とはされていないものの重要な業務執行に関する業務を審議するなど、社長を補佐することが期待されており、一方では経営執行会議において審議が行われることから社長による独断を防ぐ目的がある。多くの日本企業においては経営執行会議に類似する会議体が設置された場合、取締役会への付議事項等に関する実質的な審議機関として位置付けられる場合が多い。オリンパスのように取締役会と経営執行会議の役割が明確に定義されているのは、組織における機能設計が明確に行われているという点でそれほど多くはない事例と考えられる。それぞれの会議体における目的の重複等も無いように設計されており、大変合理的な体制ではないかと考えられる(図参照)。

オリンパス 第143期 有価証券報告書 46ページ [コーポレートガバナンス体制]を基に編集部で作成

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