
忙しい人のためのIFRS Watch(10)
2012年1月:収益認識の再公開草案が及ぼす影響
本田直誉
仰星監査法人
2012/2/10
IFRSにかかわる組織から毎月、公表される各種文書。ムービングターゲットと言われ、変化を続けているIFRSの姿を捉えるにはこれらの文書から最新情報を得る必要がある。今月は収益認識の再公開草案が実務に及ぼす影響についての考察などを取り上げる。
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IFRS Watch第10回は、2011年12月中に公表されたIFRS関連情報より注目すべきものをピックアップしている。今回は、収益認識の再公開草案が実務に及ぼす影響についての考察や、IFRS第9号の強制発効日の延期などの最新情報をお届けする。
【これまでの記事】
2011年4月:IASB、顧客との契約から生じる収益
2011年5月:IFRS第10号(連結財務諸表)他のレビュー完了
2011年6月:米国のIFRS移行方法の1つ「コンドースメント」
2011年7月:SEC、一部企業にIFRSの「オプト・アウト」を認める可能性
2011年8月:「コンドースメント」議論する公開討論
2011年9月:AICPAがIFRS任意適用を提言
2011年10月:収益認識などの基準化に関する議論
2011年11月:最新の公開草案に日本がコメント
2011年12月:米国のIFRS適用判断が「数カ月」延期
記事内の略号
ASBJ:企業会計基準委員会
FASB:米国財務会計基準審議会
IASB:国際会計基準審議会
IFRS:国際財務報告基準
MoU:IFRSと米国の会計基準との間の差異に関するコンバージェンス合意
SEC:米国証券取引委員会
・2011年12月12日 収益認識の変更が及ぼす影響についての考察(Accountancy Ageより)
KPMG International Standards GroupのパートナーであるBrian O'Donovanが、2011年11月に公表された「顧客との契約から生じる収益」の再公開草案が与える影響について考察した。以下はその概略である。
全ての会社が懸念する事項の1つは、現在の実務と比較して公開草案が収益金額または収益認識時期に影響を与えるかどうかである。例えば、会社が複合要素契約あるいは変動対価を特徴とする契約、あるいは長期契約を締結した場合には、影響を与えるかもしれない。
通信業の会社は、変更に直面する可能性がある。単一の契約の下で、顧客にスマートフォンおよび2年のデータプランを販売する場合、スマートフォンとデータプランで取引金額を配分する必要があるかもしれない。これは、収益認識の認識時期を変更することになり、公開草案を適用するために、システムが必要なデータを収集し追跡することができるかどうか考える必要があるだろう。
一方、建設業の会社では多くの場合、建設工事が進むにつれて時間の経過により収益を認識し続けることになるだろう。
公開草案のうち、ほとんど全ての会社に影響するものがある。この1つの例は、顧客の信用リスクへの新しいアプローチである。公開草案は、収益を総額で表示しさらに、顧客の信用リスクの影響を収益の控除項目として表示することを提案している。これにより、企業が財務諸表で顧客の信用リスクの影響を表示することの重要性および透明性が増加するだろう。
また、年度の財務諸表と中間財務報告での開示の増加が提案されている。会社は、システムとプロセスが重要な情報を収集できるかどうか、もう一度評価する必要があり、開示の増加は、投資者そして競合他社にも重要な情報を追加で提供することになる。
・2011年12月16日 IASBがIFRS第9号の強制発効日を2015年に延期(IASB Press Releasesより)
過去の記事でも取り上げていたIFRS第9号の強制発効日の延期の提案についてIASBは、以下のように決定した(参考記事:2011年11月:最新の公開草案に日本がコメント)。
IASBは、IFRS第9号「金融商品」の強制発効日を2013年1月1日以降開始する事業年度から2015年1月1日以降開始する事業年度へと延期する修正を公表した。この延期により、プロジェクトの全てのフェーズの強制発効日を統一できることとなる。
また、この修正には、IFRS第9号の適用による比較財務諸表の修正再表示の免除規定も折り込まれている。この免除規定は、従来2012年より前にIFRS第9号を適用することを選択した企業についてのみ認められていた。その代わり、IFRS第9号の適用開始が金融商品の分類と測定に与える影響について投資者の理解を補助する情報の追加的な開示が要求されることとなる。
この修正案においても早期適用については、引き続き認められている。
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