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業種別IFRSガイド(4)

日本の家電・ハイテクが元気を取り戻すIFRS適用

垣内郁栄
IFRS 国際会計基準フォーラム
齋藤敏彦、高橋祐一(監修)
アクセンチュア 通信・ハイテク本部 パートナー、シニア・マネジャー
2010/7/7

かつては世界最強を誇った日本の家電・ハイテクメーカーが元気を取り戻すにはどうすればいいのか。IFRSを活用した経営管理の高度化やITシステムの標準化はそのための1つの鍵だ。

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複合契約の収益認識

 その家電・ハイテクメーカーのIFRS適用では、製品と同様に過剰品質といわれることがあるサービスの取り扱いが1つのポイントになるようだ。家電・ハイテク機器では、製品とサービス、修理などが一体となった複合契約で製品が販売されているケースが多い。例えば携帯電話では、電話本体と通信サービス、サポートなどが一体で提供される。複合機でもリースと保守などを一体にして提供している。これらは家電・ハイテクメーカーのビジネスでは一般的だ。

 IFRSでは原則的に、異なるモノ、サービスごとに収益認識が必要となる。そのため契約単位=収益認識単位という会計処理は難しくなり、複合契約においても必要に応じてそれぞれのモノ、サービスごとに契約を分けて適切な価格を把握できるようにする必要が出てくるとみられる。モノ、サービスを個別に収益認識することで、その認識のタイミングがずれる可能性もある。対応するには業務プロセスの見直しやERP、売上計上システムの改修が必要になる場合もあるだろう。経理部門だけでなく、製品を販売し、納める営業部門や流通部門にもインパクトがある可能性があり、事前の影響度調査が欠かせない。

 複合契約の見直しは経理部門にとっては確かに面倒な作業になるだろう。ただ、モノ、サービスの個別の価格やコストが明確になることで、コスト構造がはっきりし、最適化できるという経営上のメリットもある。

 複合契約の収益認識以外のIFRSの影響では検収基準による収益認識、研究開発費の資産計上、固定資産の減価償却・減損などが挙げられるが、これらはほかの業種でも共通するポイントだ。検収基準による収益認識については、検収情報の入手・管理を含めた収益認識プロセスの見直しがポイントになる。研究開発費の資産計上については、現在行っているR&D活動をしっかりとモニタリングして、研究費と開発費を識別するためのフェイズ管理や工数管理が重要になるだろう。また、固定資産の減価償却・減損については、経済的耐用年数の算出や見直し、資産のグルーピングや減損の兆候判断のための社内ルールの整備などがポイントになる。

グループ経営が分かる人材の育成、登用を

 複雑化する会計処理を効率的に行うにはITシステムの統合が欠かせない。そして全体をプランするにはグループ全体の経営戦略を理解し、立案できるような経理部門の人材育成が求められる。これからIFRS適用を検討する企業では、グローバルな視野で戦略を策定、実行できるような人材の不足への懸念が大きい。社内人材の育成はもちろん、海外の現地法人にいる優秀な社員の本社への登用、外部からの人材の採用などが必要になるだろう。

 さらに決算日がグループ各社で統一されていない場合には、決算日の見直しや仮決算を行う必要に迫られ、対象となった会社では決算早期化が必須となる。会計処理、ITシステムとも属人的な仕組みでは急激な変化に対応できない。標準化や統合を急ぎ、優秀な人材が就いたときにはすぐに内容を理解できるようにする必要がある。IFRS適用を機に世代交代が可能な経理処理、業務プロセス、ITシステムの仕組みにすべきだろう。

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