現代の会計人が知るべきITインフラ技術用語【IFRS】140字で解説! 会計人のためのIT用語集【6】

あまり意識されないITインフラ技術。新規システムの導入や障害時、アプリケーションの効率的な利用にはインフラ技術の知識が不可欠になる。現代の会計人なら知っておきたいITインフラ技術用語を紹介する。

2010年11月01日 08時00分 公開
[原 幹, 渡部豊]

ITインフラ技術

 アプリケーションやサービスを利用するだけならあまり意識しないITインフラ技術。しかし、新規システムの導入や障害時にはインフラ技術の知識が不可欠になる。アプリケーションの効果的な利用や低コストな運用にもITインフラの知識が求められるだろう。現代の会計人なら知っておきたいITインフラ技術用語を紹介する。

IPv4/IPv6

インターネットで一般的に使用される通信プロトコル。IPv4は32ビットの固定長で、最大で約40億個のIPアドレスしか定義できない。IPアドレスの枯渇が懸念されおり、128ビットで、さらに広大なアドレス空間を持つIPv6が利用され始めている。

VoIP

Voice over Internet Protocolの略で、インターネットの伝送技術を用いた音声通話を用いる技術のこと。音声データをインターネットに流れるパケットに変換してリアルタイムに送受信する。インターネット電話、IP電話といったサービスに使われる。従来の電話に比べ音声品質の問題も改善されつつある。

会計の視点通信コストの軽減やインフラの簡素化につながるため徐々に普及が広がっている。

Webサーバ

クライアントやアプリケーションサーバと情報のやり取りを行うサーバ。クライアントからのリクエストに応じてHTML文書や画像などの情報を送信する役目を担う。アプリケーションサーバにソフトウェアとして搭載する場合と専用マシンを設置する場合もある。

アプリケーションサーバ

Webアプリケーションにおいて、アプリケーションプログラムを動作させるサーバ。セッション管理、データベース接続などの基本機能を提供するほか、システムの応答速度を高めるため、データベース接続の効率化や負荷分散、信頼性向上などの機能を統合しているものもある。

会計の視点Webベースの会計システムではブラウザの接続先としてアクセスされる。

オンライン監査

ITを活用した監査の実施を指すほか、通常の監査を対面で行うのに対してネットワークを通して遠隔地に対する監査を実施する方法としても使われる。オンライン監査ツールはデータ抽出や証跡のトレースなど、監査に特化した機能を持つ。

会計の視点大量のデータや遠隔地を対象とした監査の場合、必要な局面でオンライン監査ツールの活用を勧めたい。

構成管理

狭義にはソフトウェアのバージョン管理を、広義にはシステムの拡張制御全般を指す。システム運用を想定したレベルで安全に運用するためには、構成情報を適切に把握して必要なタイミングで拡張を図る必要がある。構成管理ツールはさまざまな製品・サービスが提供されている。

会計の視点 キャパシティプランニングに基づく適切な構成管理がコスト最適化には欠かせない。

ストレージ

コンピュータと接続してデータやプログラムを記憶する装置。外部記憶装置ともいう。大規模なハードディスク装置を指すことが多い。記憶容量が大きく、電源の供給なしでも記録が消えない反面、データの読み書きの動作に時間がかかるので、大容量のデータ保存に利用されることが一般的。

会計の視点会計データの保管期間を考慮した容量の見積もりが必要。

スーパーコンピュータ

天文シミュレーションや構造解析など、特殊で複雑な用途に使用されるコンピュータ。通常のコンピュータに比べて演算処理を高速・大規模に行うため専用のハードウェアやソフトウェアが必要。そのため価格も非常に高額となり、官公庁や大企業による導入が主体である。

スループット

コンピュータが単位時間当たりに処理する能力のこと。通信回線の時間当たり転送量を示す数値としても利用され、パフォーマンスの評価基準に採用されることが多い。スループットの高いインフラではより多くのデータをより高速に扱うことができるが、品質に比例して高価格となる。

会計の視点 時間当たり利益に着目したスループット会計が注目を集めつつある。

ディザスタリカバリ

自然災害など不慮の事態に対して、システムを復旧するための仕組み。いかに迅速に復旧を行い、システム停止による機会コストを最小にするかがポイントとなる。データバックアップや遠隔地への定期的なデータ転送などの方法があり、復旧に掛かるコストと復旧までの時間は反比例の関係にあることが多い。

会計の視点 逸失利益の見積もりに基づく対応コストの最適化が肝要となる。

データベース管理システム(DBMS)

コンピュータ上でデータベースを構築するために必要なデータベース運用、管理を実現するソフトウェア。SQLに代表されるデータベース操作言語やデータベースの一貫性、完全性を保証する機能だけでなくセキュリティ、可用性など近年多彩な機能が網羅されている。Oracle Databaseが代表的。

会計の視点 →≪いまや会計データを格納するソフトウェアとして必要不可欠。

トランザクション

銀行での送金処理の「引き出し」と「振り込み」のように、業務が成立するための一連のデータ処理の固まりを示す。アプリケーションとして、完了時でのデータベースへの書込みや処理中断時のデータ復旧、さらに処理中のほかのトランザクションからのデータアクセス制限など、配慮が重要。

会計の視点会計処理でもデータの信憑性、一貫性などの観点で重要。

ネットワークルータ/スイッチ

いずれも異なるネットワークを相互接続する通信機器である。スイッチは組織内での接続を中心に、ルータは組織をまたぐ接続を中心に普及してきたが、お互いが多機能化を進めてきた結果、現在では両者の違いはあまり明確ではない。価格は数千万円から数千円までさまざまである。

会計の視点機器性能によってさまざまな価格帯があるので、用途に合わせた適切な機器選定を行いたい。

ホスティングサービス

ホスティングプロバイダの持つサーバやネットワーク回線などのインフラをユーザーが占有または共有するサービス形態。レンタルサーバ会社などが提供する。インターネット接続プロバイダやASPサービスでは、自社で運用するホスティング環境にてサービスを提供していることが多く、占有サービスの方が高コストである。

会計の視点固定コストとして収支にはねかえるため、費用対効果を検討したうえで導入しよう。

ハウジングサービス

ホスティングプロバイダのインフラを利用する点では共通するが、ホスティングと異なるのは運用するマシンの所有/所有権をユーザーが持つ点だ。所有権を自己で持つことからホスティングサービスより制約が少なく自由度の高い運用が可能。ただしトラブル時のリスクはより高くなるため注意が必要。

会計の視点 自己所有に伴うコストも含めて利用可否を判断したい。

ファイルサーバ

主にオフィスソフトウェアで作成した文書を他人と共有するために設置するサーバ。セキュリティ上許可されているユーザーであれば、ファイルサーバ上にあるファイルはほかのコンピュータから読み込んだり、書き込んだりできるため、データの一括管理が可能。これを進化させたものがCMS(コンテンツ管理システム)である。

会計の視点 ファイルの最新状態の維持やセキュリティ面で配慮が必要。

フェイルオーバー

処理中のサーバやシステムに障害が発生しても、予備のシステムが自動的に処理を引き継ぎ、処理を続行することができる技術。主な実現方法としては、複数台のサーバを用意し、1台にトラブルが発生した場合はほかのサーバに処理を引き継ぐ方法などがある。遠隔地での待機系設置も注目。

会計の視点 会計システムの安全性、信頼性だけでなく事業継続面でも考慮すべき。

負荷分散

ネットワークで接続したほかのハードにも処理を分散させ、特定のハードに処理が集中しないようにすること。専用の負荷分散装置を利用するほか、ソフトウェアを使って負荷を分散するクラスタリングも活用されている。また障害時のシステム停止最小化など高可用性を確保する意味でも有効。

会計の視点グループ全体で会計システム基盤を統一する場合には考慮しておきたい。

ブレードサーバ

刃(ブレード)のような細長い基板に、CPU、メモリ、ハードディスクドライブなどコンピュータを構成する主要部品を取り付け、複数枚のブレードをラックに設置して利用するサーバのこと。スペースを有効に活用しながらシステムを容易に増設でき、データ量に応じ柔軟なシステム構成が実現できる。

会計の視点会計処理で求められる性能要件に従って拡張することが可能。

メインフレーム/オフィスコンピュータ

金融機関の基幹業務などに用いられる汎用大型コンピュータのこと。電源、CPU、記憶装置などの多重化で処理性能の向上や耐障害性への配慮、集中処理が特徴。これを中堅企業向けに小型化したのがオフィスコンピュータである。以前は企業のコンピュータの代表格であった。

会計の視点いまや会計システムで利用する企業は少ない。

筆者

  • 原 幹

公認会計士、監修・執筆、クレタ・アソシエイツ

  • 渡部 豊

執筆、日本オラクル


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