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どうなるIFRS適用問題(1)

利益とは? IFRSをめぐる議論をまとめた

乾隆一
公認会計士
2011/11/30

IFRS推進派と慎重派の議論が盛んになってきた。両者はどのようなテーマで議論しているのか。それぞれの主張を紹介、整理し、今後のIFRS適用の姿や日本の会計実務の将来を占ってみよう。

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 2010年12月、東京財団が「日本のIFRS(国際財務報告基準)対応に関する提言」(以下、「東京財団の提言」と表記、資料へのリンク)を公表し、それまで2015年または2016年にIFRSが強制適用されるという世論に警鐘を鳴らした。それ以降、IFRS慎重派とIFRS推進派が講演会やセミナー、雑誌などで主張を繰り返している。さらに2011年6月以降、金融庁の企業会計審議会総会・企画調整部会合同会議で、IFRS(国際財務報告基準、国際会計基準)の適用が議論されている。

 そこで本連載ではIFRS慎重派とIFRS推進派で議論になっている項目のうち、主なものに絞って両者の議論を確認し、整理してみる。

純利益はなくなるのか?

 利益の求め方には2つある。1つは、収益から費用を差し引くことで利益を求める方法、いわゆる「収益費用アプローチ」である。もう1つは、増資や配当がないこと前提として、期末の資産と負債の差額(期末の純資産)から期首の資産と負債の差額(期首の純資産)を差し引くことで利益を求める方法、いわゆる「資産負債アプローチ」である。

 2つのアプローチ名称は、資産・負債・資本・収益・費用の定義付けからも呼ばれることがある。すなわち、先に収益・費用を定義して利益の意味を確定させ、その後に収益・費用の定義を用いて資産・負債の定義がなされるものは「収益費用アプローチ」と呼ばれる。他方、先に資産・負債を定義して利益の意味を確定させ、その後に資産・負債の定義を用いて収益・費用の定義がなされるものは「資産負債アプローチ」と呼ばれる。

 そこで、「収益費用アプローチ」と「資産負債アプローチ」に関するIFRS慎重派とIFRS推進派の意見をまとめてみた。まずは、IFRS慎重派の意見をみてみよう。

 日本を含めて、世界の会計実務は長い間「収益費用アプローチ」をとってきた。(中略)ここで最も重視されるのは適正な期間損益計算を行うことである。そのため、収益の計上は実現主義、費用の計上は発生主義で行うことを基本とする。資産を取得した際には基本的に取得原価で貸借対照表に資産計上し、それを適切に期間配分することで資本投下とその回収を適切に利益に示すことを目指す。当期純利益とはあくまで実現した取引を基本として算定され、未実現の評価損益はその中に含めない。
(中略)
  一方、資産負債アプローチでは、資産と負債の差によって利益を算出するため、資産の評価が重視され、損益計算書はあくまでそれに従属するものとみなされている。また、未実現の評価損益も含めて包括利益として計上する。この基本的な会計観、利益観の違いが、日本基準とIFRSの規定の違いに大きく影響している。

(東京財団の提言、7ページ)

 

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