企業価値向上を支援する財務戦略メディア

連載:事例データバンク(1)

「30日以内開示を目指す」、三井化学が制管一致の連結システム刷新

垣内郁栄
IFRS 国際会計基準フォーラム
2009/10/16

決算開示の早期化と管理会計の高度化を目指し、三井化学が連結システムを刷新した。9月15日開催の「SAP IFRS CONFERENCE:東京」で公開された事例を紹介する。

1 2次のページ

PR

 「決算開示の早期化の促進が目的だ。四半期決算、年度決算とも30日以内の開示ができる態勢を目指す」。制管一致の連結管理システムを導入した三井化学のSCM室 システム企画部 システムグループリーダー 木村博氏は、新システム導入の狙いをこう語った。

グループ経営を見据える

 三井化学は連結従業員が約1万3000人、連結子会社66社(持ち分法適用会社が32社)を抱える企業。本社ではSAP ERP 6.0を採用している。また子会社、関係会社でもSAPシステムを中心に使っている。今回の新連結管理システムの導入は、「グループ経営管理を見据えたビジネス基盤の強化」(木村氏)という全社の経営方針を受けた決定だった。

 こういう経営方針を達成するうえで欠かせないと判断したのが、決算開示の早期化であり、管理会計の強化。管理会計については「事業単位、会社単位、四半期単位で損益計算、貸借対照表、キャッシュフローを把握できるROA(総資本利益率)を基軸とした業績管理」の構築を目的とした。

三井化学のSCM室 システム企画部 システムグループリーダー 木村博氏

 実は三井化学はすでにほかの制管の連結システムを使っていた。しかし、10年以上前に導入したシステムで、「改修を繰り返し、つぎはぎになっていた」(木村氏)。これまで以上の決算早期化には対応できず、柔軟な管理会計の利用も難しい。「これからの外部環境の変化に対応できないシステム」と判断し、刷新を決めた。

 同社が連結パッケージの選定を開始したのは2007年で、複数製品を検討した。管理会計に強い、日本会計基準向けのテンプレートを用意しているなどを評価し、2008年に「SAP BusinessObjects Financial Consolidation」(BOFC)の導入を決めた。

Webベースのデータ入力で早期化狙う

 導入プロジェクトは2008年7月にスタート。2009年2月には連結予算での利用が始まった。この予算システムの開発については「問題なく行えた」が、もう1つの制管一致の連結決算システムについては「結構苦労した」と木村氏は振り返った。2008年の実績データを新システム、旧システムに入力し、その出力結果を比較したところ、微妙な違いがあり、「本当に正しいのか分からなかった」のだ。

 データ入力の粒度や仕訳、四捨五入の単位など新旧システムでは細かな違いがあり、その解消に手間取った。「業務側のユーザーの不安を解消するのに苦労した。もちろん、プロジェクトでは十分テストし、問題なく動いているという自信はあったが、信用を得るのが大変だった」といい、木村氏は「こういうシステムでは早い時期から実際に使う人にも参画してもらって、一緒にやるのが重要だなと思った」と話した。

1 2次のページ

@IT Sepcial

IFRSフォーラム メールマガジン

RSSフィード

イベントカレンダーランキング

@IT イベントカレンダーへ

利用規約 | プライバシーポリシー | 広告案内 | サイトマップ | お問い合わせ
運営会社 | 採用情報 | IR情報

ITmediaITmedia NewsプロモバITmedia エンタープライズITmedia エグゼクティブTechTargetジャパン
LifeStylePC USERMobileShopping
@IT@IT MONOist@IT自分戦略研究所
Business Media 誠誠 Biz.ID