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連載:経営財務トレンド(5)

海外資金調達にIFRS財務諸表はもはや必須

三宅伸二
アビームコンサルティング株式会社
2009/10/9

IFRS適用のメリットとして挙げられるのは、海外市場における資金調達の円滑化。海外で資金調達を考える企業にとっては今後、IFRS準拠の財務諸表は必須だ。IFRS時代における資金調達の姿とは (→記事要約<Page 3>へ)

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 今年6月、IFRS(国際財務報告基準、国際会計基準)の適用に向けて、金融庁から「わが国における国際会計基準の取扱いに関する意見書 (中間報告)」が公表された(参考記事)。そこでは、2010年3月期から任意適用を開始、2012年に段階適用も含めた強制適用の意思決定、2015年または2016年に強制適用開始というロードマップが示されている。

 IFRSは、財務諸表作成の際の会計処理と開示に関する国際的なルールとして設定・普及の取り組みが続けられてきた。その主な目的は、国際的に利用可能な財務諸表の世界的な普及を通じて、資本のグローバルな流通の促進に貢献することにあり、各国でのIFRS導入のメリットとして、海外市場における資金調達の円滑化が挙げられることも多い。

 実際、EU(欧州連合)では、2005年からEU域内を本拠とするすべての上場企業に対し、IFRSに準拠した連結財務諸表の作成を義務付けたことにより、域内の資本市場の統合化と活性化が促進されている。今回は、IFRSが適用された場合の資金調達における留意点について検討してみたい。

海外の金融市場で資金調達を行う企業はIFRSが必須

 前述のとおり、EUでは2005年からすでにIFRSが強制適用されており、カナダ、インドは2011年、米国は2014年からの強制適用が予定されている(図1)。金融庁も、海外市場で上場または社債発行をしている企業から、IFRSの任意適用を認める方向である。

(図1)各国のIFRS対応スケジュール(アビーム資料から、以下同じ)

 現段階では、昨年夏以降のサブプライム・ローン問題の顕在化と、昨年9月14日のリーマン・ブラザーズの破綻に端を発した金融市場の混乱により、世界の各金融市場での資金調達は一時的に停滞している。ただし、リーマンショック直後に開催された、先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)以降、各国の政策当局による具体的な対応策の実施により、年明け以降、世界の金融市場は、やや落ち着きを取り戻しつつある(図2)。

(図2) 2007年以降の世界の主要市場時価総額月次推移


  また長期的なスパンで考えると、2001年のITバブルの崩壊など一時的な停滞はあるものの、1990年以降、世界の金融市場は拡大基調にある(図3)。

(図3) 1990年〜2007年の世界の主要市場時価総額年次推移

 一方、世界の株式市場における日本市場の相対的地位は低下傾向にあるため(図4)、金融市場の混乱が収束すれば、日本企業による海外市場での資金調達も考慮すべき有力な選択肢の1つといえる。

(図4) 世界市場に占める日本市場の割合

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