企業価値向上を支援する財務戦略メディア

連載:経営財務トレンド(8)

経理に異動したらまず読みたい 「IFRS入門の入門」

原幹
株式会社クレタ・アソシエイツ
2010/4/1

上場企業の経理部であれば今後、向き合わざるを得ないIFRSのポイントを解説。IFRSが生まれた経緯やその特徴、IFRSで変化する経理部の仕事などを分かりやすく伝える。IFRSの読み方を知っていますか?

1 2 3次のページ

PR

 年度の変わり目は人事異動の季節である。この3月〜4月に経理部門に異動になった(なる)方も多いことだろう。新しい環境やフィールドで戸惑いがあるかもしれないが、持てるポテンシャルを最大限出して新年度も頑張っていきましょう。まずはエールを送りたい。

閑話休題。

 昨今いろいろなメディアで取り上げられている「国際財務報告基準」。「国際会計基準」とか「IFRS」などとも呼ばれている。経理になじみのない方も一度は耳にしたことがあるだろう。これにまつわる皆さまの疑問はつきないと思う。そもそもこれっていったいなんなのか? やけに小難しいみたいだし、新聞やインターネットでも騒がれているようだけど、もしかしたらとても大変なことなの? そもそも『IFRS』ってなんて読むのですか? などなど。

 初めに書いておく。あなたがもし経理部門(特に上場企業の経理部門)に異動になったのであれば、今後はIFRSの動向とは無縁ではいられない。日々忙しく時間を取りづらいとは思うが、ここで少しだけ頑張ってIFRSのポイントをかいつまんで押さえておこう。そして少しでもIFRSに興味がわいたら、ちょっとだけ自分で詳しく調べてみよう。

 本記事では「IFRS入門の入門」と題して、経理部門に配属されたばかりの皆さまに向けたレクチャーを試みたい。ようこそIFRSの入口へ。

そもそも会計基準ってなんなの?

 まず、国際うんぬんの前に「会計基準」というものが何かを押さえておこう。

 「会計基準」とは、やや堅苦しく書くと

 「経済事象を会計記録に落とし込むためのルール」

のことだ。会社の活動を数字に落とし込む作業といってもよい。

 会社で行われる日々の取り引き(仕入、販売、生産など)は、一定のルールの下に会計記録(つまり数字)で表現される。そして会計期間(1年ごと、または3カ月ごと)が終わるときには、それまでの記録を集計して会社の通信簿=「決算書」にまとめる。これがずっと続くわけだ。

 「会計基準」は、この記録を行うためのルールのこと。ルールなので誰かれ構わず好き勝手というわけにはいかず、一定の決まりごとを守らなければならない。このときの決まりごととして、過去の慣習や法律などに基づいて定着してきたルールが採用される。ここで使われてきたルールのことを「一般的に公正妥当と認められた会計の原則」という(この言い回しは頭に入れておくと便利)。この「一般に公正妥当と認められた会計の原則」を明文化したのが「会計基準」なのである。

なぜIFRSが登場してきたの?

 さて、国ごとに風土や慣習や法律が違うことから、当然「会計基準」も国ごとに違いがある。日本では1949年に策定された「企業会計原則」を中心として、長年の間会計処理のルールが整備・運用されてきた(以下、このルールのことを「日本基準」と表記する)。

 会計基準も長い間使われてくれば当然内容は陳腐化してくるし、世界各国の基準との違いも出てくる。そこで日本基準は細かな改訂を重ねつつ、1999年ごろからはいわゆる「会計ビッグバン」と呼ばれる大規模な改訂を行ってきた。いまのところ、日本基準と先進国が採用している会計基準との間で、大きな違いはなくなりつつあるのが現状だ。

 一方で、企業の活動は多様化し、国をまたいでグローバルに取り引きが行われるようになった。そんな状況のなか、企業の通信簿(=決算書)は依然として各国独自の会計基準に基づいて作られていたが、決算書を利用する側(主に投資家)からすれば、会社の数字が各国の違うルールで表現されていると比較のしようがない。困る。そこで、1970年代から会計基準の国際化・調和の動き=「世界統一の会計基準を作ろう」という活動が進められてきた。この過程で作られてきたのが「国際会計基準」(International Accounting Standards, IAS)である。

 会計基準の国際化・調和が本格的に進んだのは21世紀に入ってからだ。前述のグローバル化による「決算書の国際比較の要請」に応える形で、EU諸国を中心に「世界統一の会計基準を作ろう」という機運は一気に進んだ。そして国際的な活動を行う企業の財務報告を規定するための統一したルールとして「国際財務報告基準」(International Financial Reporting Standards, IFRS)が策定された。IFRSは2005年からEU域内の上場企業に強制適用されることで、普及が加速していったのだ。現在のところ、100カ国以上でIFRSが採用されている。

 また、現在IFRSを採用せず自国の会計基準を使っている先進国でも、IFRS適用に向けた準備が進められている。米国では早くて2015年ごろに適用開始、日本でも2015〜2016年に強制適用するかどうかを、2012年ごろに判断する見通しだ。まだ日本でも適用することが確定しているわけではないので安心してよい。

1 2 3次のページ

@IT Sepcial

IFRSフォーラム メールマガジン

RSSフィード

利用規約 | プライバシーポリシー | 広告案内 | サイトマップ | お問い合わせ
運営会社 | 採用情報 | IR情報

ITmediaITmedia NewsプロモバITmedia エンタープライズITmedia エグゼクティブTechTargetジャパン
+D+D LifeStyle+D PC USER+D Mobile+D Shopping
@IT@IT情報マネジメント@IT MONOist@IT自分戦略研究所
Business Media 誠誠 Biz.IDBARKS