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■マネジメント
 
過剰管理の処方箋――自然にみんながやる気!になる
●金井 壽宏、岸良 裕司=著
●かんき出版 2009年2月
●1600円+税 978-4-7612-6579-3
「いかに上手にマネジメントするか」についてさまざまな議論がなされている。しかし、よかれと思って実施した管理手法が、現場を苦しめてしまうことも少なくない。本書では、人々がやる気を失っていく「過剰管理」を引き起こすメカニズム(心配菌)について解説し、その処方箋(せん)をまとめる。
管理という意味を辞書で引くと、決して悪いことではなく、むしろいい意味でとらえることができる。だが、次々開発され導入される管理手法は、解決策を見事に提案しているが、経営改善につながったという事例は驚くほど少ない。「プロジェクトが成功する」ためには、「ちゃんとアクションを進める」必要がある。一方でプロジェクトは何が起こるか分からないだけに、手遅れになる前に「先手管理する」のが肝心だ。
「管理する」と「現場に任せる」は対立する考え方で、アクションを進めるためには「管理する」ことだけが解決策だと思い込んでいることがある。目標に向かって進んでいる限り、現場に任せても問題がないこともある。いい換えれば、問題があるときだけ、手遅れになる前にマネジメントが現場を支援できればよいということ。現場に任すことができ、みんなの達成意欲をかきたてる目標を設定するためにも「ODSC」(目的と成果物と成功基準)を活用する。ここでは、あいまいさがなく明瞭なフィードバックが、すべて「メンバー自身の生の言葉」で目標が作られることが鍵になる、と説く。
著者の岸良氏が得意とする、プロジェクトでのバッファの集め方とその活用法も紹介しながら、みんなのやる気を出す方法へと結論付けるが、最後はやはり「ごく当たり前のことの徹底」で話は終わる。それだけ、基礎・基本の大切さは理解していても、行動に結び付いていないということか。内容はアカデミックな領域に踏み込んでいる。(ライター・生井俊)
 
実践「経営プロジェクト」講座――会社の未来づくりに、取り組む人のための実践テキスト
●鈴木 成裕=著
●プレジデント社 2008年11月
●1600円+税 978-4-8334-1896-6
 プロジェクトをどう設定し、立案をどう進めるか、問題に直面したときにどう対応したらよいのか――。本書はそういった悩みについて、実際の思索と体験に基づいた対策をまとめた、プロジェクト成功への手引きだ。
今日のプロジェクトリーダーシップは、これまで考えられてきたプロジェクトマネジメントとも、日常のラインマネジメントとも異なる。というのは、時代の移り変わりもあって、ぶつかってくる問題の強度や複雑さが異なってきているからだ。これからのプロジェクトリーダーの資質が何かといえば「牽引(けんいん)力」がある人が好ましい、という。牽引力とはいろいろな能力で構成されているもので、例えば「構想力」のような力があると、困難な決定を行うことができる。
多くの会社で問題になっている戦略の不徹底は、戦略ユニット導入を通じて、組織戦略行動力を強化することで大幅に改善される。また、組織ニーズに対応するような教育の刷新という問題は、プロジェクト型研修制度を導入し、現代のニーズに合うよう教育研修を現代化していく。どのような組織を作るにしても、そこに戦略に関心を持ち、プロジェクト推進力を持つ人がいなければ、その組織は無効だと説く。
タイトルに「講座」とあるように、プロジェクト推進にあたって課題になっている部分を拾い読みできるのも特徴。将来の会社をどう作るかを見据えながら、この本を活用すると生き生きとした改革プロジェクトが出来上がるかもしれない。(ライター・生井俊)
 
統合リスク管理入門――ERMの基礎から実践まで
●ジェームズ・ラム=著/林康史、茶野努=監訳
●ダイヤモンド社 2008年9月
●3800円+税 978-4-478-00118-9
 リスク管理に対する関心の高まりとともに、リスク管理の実務はますます発達してきている。これまで、事業リスクや信用リスク、市場リスクなど、異なる種類のリスクを「縦割り」で管理してきたが、リスク管理の専門家は「リスクは相互依存が強いこと」を認識してきている。本書では、過去の失敗例などを挙げながら、リスクを測定・管理する統合的手法として「ERM」(Enterprise Risk Management)を解説する。
ERMプログラムが成功するには、「コーポレート・ガバナンス」「業務執行部門の管理」「ポートフォリオ管理」「リスク移転」「リスク分析」「データおよびコンピューター技術資源」「利害関係者の管理」の7つの要素が必要だ。これらの要素が統合的に機能するように構築され、互いに結び付いていなければならない。なかでもコーポレート・ガバナンスは、リスクに対するトップダウンのモニタリングと管理を提供するもので、ERMでは欠かせない要素だ。
また企業の顧客をはじめ、従業員や投資家、そのほかの利害関係者の移動は激しいことから、その管理も重要だ。利害関係者というと、株式投資者や債権者のことだけ考えることが多いが、企業の存続と成功を支援し、それに関与するすべての集団と個人を利害関係者に含めるのが望ましい。主要な利害関係者の情報ニーズがより複雑になってきており、経営陣はそれらの集団に対してリスクの透明性を向上させるような対応をしていかねばならない、と説く。
ほかに、「リスク管理の応用」では、それを機能・業種という2つの側面から検証するほか、人と情報技術(IT)にかかわるリスク管理の「将来展望」をまとめている。リスク管理の「ベストプラクティス」を求めている方は、一度お目通しを。(ライター・生井俊)
 
知識デザイン企業
●紺野 登=著
●日本経済新聞出版社 2008年2月
●1900円+税 978-4-532-31386-9
 近年、創造性が「組織のイノベーションと長期的な存続のために不可欠」という認識が広まりつつある。本書では、創造経営の時代にふさわしい組織「アート・カンパニー」の概念と、方法論としての「知識デザイン」についてまとめる。
創造経営の先頭集団にいる企業やリーダーの「デザイン」とは、見た目のデザイン(色や形)や単にモノを調整して組み合わせる作業ではなく、また単なる抽象的思考法や手法でもない。それは彼らの人生をかけて、自らの身体と感情を参加させて形作る、あるいは複雑な要素を“綜合”して価値を視覚化、具現化する、リーダー自身による身体的な営みそのものなのだ。
デザインは、「媒介」(meditation)、「結合」(connection)、「形成」(formation)の3つの役割を同時に成立させるものだ。その新たな綜合的能力としてのデザインを「知識デザイン」と呼び、知識デザインの方法論を経営の中核に据え、20世紀的な品質経営から脱却するのが「アート・カンパニー」だ、と説明する。
本書の後半では、経営や戦略構築における「真・善・美」の追求する方法としてデザインの力をどう生かしていくべきかや、アート・カンパニーであるための条件を記す。事例が豊富で、イノベーションがどう生み出されてきたかを振り返るのにも役立つ。(ライター・生井俊)
 
すべての「見える化」で会社は変わる――可視化経営システムづくりのステップ
●長尾 一洋=著
●実務教育出版 2008年2月
●1800円+税 978-4-7889-0753-9
 ほとんどの経営者や管理者は、経営の「コックピット」を持っていない。これは、飛行機を操縦するのに計器も見ず、肉眼で見える景色だけを見て、経験とカンで飛んでいるようなものだ。本書では、このような危なっかしい経営から脱却し、「見える化」による経営改革を進めるための方法論を解説する。
「見える化」を進めるためには、まず「経営理念を分かりやすい言葉で言い表す」ことから始める。「顧客満足」とか「世の中の発展に寄与する」といったことから掘り下げていき、「ミッションステートメント」にしていく。次に、「20年後のビジョンをイメージし、事業ドメインを設定」し、それを「ビジョンマップ」に落とし込む。ここから、戦略の見える化の作業が始まる。
可視化経営の第一の対象は「顧客」だが、その次は「社員の頭の中」を見える化する。「IT日報」に考えたことや推察したことを書き込むことで考えが目に見えるようになり、それに対して上司や先輩からアドバイスが入ったり、激励が入る。こうした流れを「PLAN-SEE-DO-SEE(PSDS)サイクル」と呼び、「DO」の前に「SEE」を挟み込んで、アクションに移る前に可視化することで吟味し、実行の精度を上げることができる、という。
実践的な内容を平易な文章でまとめている本書。業務の進め方や仕事のノウハウなどのナレッジの蓄積、社員の思考力を日々訓練したいと考えている経営者にオススメだ。(ライター・生井俊)
 
CIA流経営価値診断・改善技法――バリューベネフィット技法で企業競争力を高める
●菅原 務=著
●日刊工業新聞社 2007年7月
●2200円+税 978-4-526-05869-1
 ウシオ電機の「創造経営」というバリュー(価値)の創造にこだわった経営手法と、米国CIAの「情報分析技法」。本書は、その2つを組み合わせ、ビジネス界のバリューの分析と創造に応用した経営技法を紹介する。
 企業がバランス良く成長していくためには、顧客の拡大、企業価値を高めるバリュー、その2つをつくり出すコアコンピタンスのバランスを取っていくことが大切だ。企業戦略としてバリューを向上していくためには、いつの時代でも変わらない企業努力が必要である。企業を成長させていくためには、「過去の世界」から脱皮し「これからの世界」へと橋を渡っていかなければならない。そのために必要な問題点を発見することが、現状を変革するために必要であり、企業を改革するために重要な要件となって、改革のプロセスをつくり出していく。
 また、国家または企業が大きく戦略を変えようというとき、その意志決定に必要なのが情報インテリジェンスだ。情報インテリジェンスとは、収集された情報を個々の経営戦略に役立つように「分析」「加工」し、「組み立て」るもので、これにさらに、「検証」を加えるとなお良い。分析結果を意志決定者に提出する際には、A4サイズの用紙1枚程度に圧縮することも重要だ。情報インテリジェンスを構築するには、組織がそのための体制作りをすることが不可欠だ、と説く。
 さまざまなプロジェクトの事例を紹介しながら、バリュー向上へのヒントや情報インテリジェンスの重要性をコンパクトにまとめている。ベネフィットバリュー技法の実践にも注力しており、競合他社との争いで優位に立つための参考になりそうだ。(ライター・生井俊)
 
統合的業績評価マネジメント──CPMによる企業価値向上
●ベリングポイント CPMコンソーシアム=著
●生産性出版 2007年4月
●3000円+税 978-4-8201-1861-9
 ビジネスの複雑さが増す中、今日の経営者は多数の経営指標を総合的に比較・評価しながら意思決定することを求められている。そうした状況に対するソリューションとして登場してきたのがCPMだ。本書は、統合経営管理手法としてのCPMを網羅的に解説する。
 本書では、CPMを「経営データと業績評価基準を用いて経営戦略に沿ったマネジメントサイクルを循環させ、企業業績の向上を図るため、方法論、業績評価基準、プロセス、情報システム等を統合した経営管理手法」と広く定義し、各種の経営手法、情報システム、CPM導入方法論、そして具体的事例までを取り上げる。特徴的なのは、SAP・オラクル・ハイペリオン・SAS・マイクロソフトなどのCPMパッケージを取り上げ、それら製品の優位性や向き不向きを具体的に論じている点だ。
 各業績管理手法や情報システムの詳細については、関連書籍などでブレークダウンする必要があるが、CPMという取り組みの全体像をつかむには適した1冊になっている。
 
MBAが会社を滅ぼす──マネジャーの正しい育て方
●ヘンリー・ミンツバーグ=著/池村千秋=訳
●日経BP社 2006年7月
●2800円+税 4-8222-4516-0
 今日の「マネジメント」教育の問題点は、それが実際には個別の業務教育と化しており、マネジメントのイメージを歪めていることだ。マネジメント教育の問題点とその改革案をまとめたのが本書だ。
 マネジメントはサイエンスだけではない。マネジメントはアートの側面が大きく、「直感」や「ビジョン」「洞察」がマネジメントの土台になる。それ以上にクラフト(=技)の側面が大きく、その土台をなすのが経験だ。要するに、考えてから行動するのではなく、行動してから考えるべきなのだ。しかし、従来型のMBA教育は、サイエンス、具体的には分析を教えることに終始する。この歪んだマネジメント感が、分析偏重の「計算型」とアーティスト気取りの「ヒーロー型」という2つのタイプのマネジメントを生みだしている。
 いま求められているのは、マネジメントスタイルだけでなく、マネジメント教育もMBAのような支配型から関与型に移行しなくてはならない。そのために、「マネジメント教育の対象は、現役マネジャーに限定すべきである」「教室では、マネジャーの経験を活用すべきである」「優れた理論は、マネジャーが自分の経験を理解するのに役立つ」など、8つの定石を踏まえた教育を提唱する。関与型マネジャーの信条は「みんなで夢を見て、みんなで行動する」というもの。つまり、人々がもともともっているポジティブなエネルギーを引きだすのが、関与型のマネジャーなのだ。
 全体は500ページを超える内容で、ここに挙げた内容もごく一部に過ぎない。MBA出身者を重視するのは米国企業の“悪癖”だが、日本企業も他山の石として参考にしてみるものよいだろう。(ライター・生井俊)
 
プロフェッショナルマネジャーになる50の技法
●前田 隆敏=著
●明日香出版社 2006年5月
●1800円+税 4-7569-0974-4
 高度な仕事、難度の高い仕事をこなすためには、新しいノウハウが必要になってきている。新しい取り組みのカギとなるマネジメントに焦点をあて、マネジメントコンサルタントが持つ技法を紹介する。
 まず、必要になる技法とは「前進技法」「機能化技法」「立案技法」「解決技法」の4つがある。前進するための要素である実行、判断、決断の「前進技法」を中心に、実行のカギを握る「立案技法」、テーマや本質を見極める判断の「解決技法」があり、それを落とし込んでいくための「機能化技法」が3つの技法を支える位置関係にある。また、それぞれの技法には「進め方」と「考え方」の2つのカタがある(第1章)。
 4つの技法について解説した後、第6章では、マネージャと管理者の違いに言及する。マネージャと管理者は、その構成する要素(役割)は同じだが、その比重が異なる。管理者は「チェック&コントロール」の割合が、マネージャは「問題解決」の割合が多い。そして、マネージャは仕事の初期である計画段階、企画段階で活躍し、管理者は実行段階で活躍する、という。
 どうマネジメントしていくかを悩んでいるマネージャにとって、このようなカタがある方が仕事の効率が上がっていいかもしれない。(ライター・生井俊)
見える化──強い企業をつくる「見える」仕組み
●遠藤 功=著
●東洋経済新報社 2005年10月
●1600円+税 4-492-53201-3
 トヨタ自動車、キヤノン、花王に代表されるように現場が「見えている会社」は強い。しかし、企業活動において、あらゆるものを「見える」ようにするのは、決して簡単なことではない。本書では、「見える化」についての定義とその事例、「見える化」に取り組む際の留意点とアプローチ手法を紹介する。
 トヨタには、アンドン、稲妻チャート、星取表といった独自の見える化の仕掛けがある。こうした仕組み・仕掛けを考案し、導入すれば見える化が機能するかといえばそうではなく、「見せよう」とする意思と知恵の2つがなければ実現できない(第1章)。
 見える化を大きく分類すると、「問題」「状況」「顧客」「知恵」「経営」という5つのカテゴリから構成されていて、「問題の見える化」がその中核を占める。それぞれのカテゴリについて、ワタミの「気絶のアンケート」やエプソンの調達改革、シマノの「キャラバン隊」など、メーカーだけでなくさまざまな業種から34もの事例を示しながら解説する(第2章)。
 最後に、「よい見える化」は「見える」という刺激を通じて「気づき」「思考」「対話」「行動」の4要素をはぐくむこと、「見える化」という「組織の透明性」は、失敗に対する寛容性からもたらされるものだということがまとめられている。自社でどこまで「見える化」できているか確認したい経営者、マネージャ向け。(ライター・生井俊)
 
「儲かる仕組み」をつくりなさい──落ちこぼれ企業が「勝ち残る」ために
●小山昇=著
●河出書房新社 2005年8月
●1300円+税 4-309-24352-5
 IT化中小企業として有名な武蔵野。筆者の小山氏いわく、およそ30年間の社長生活の中で減収はわずか3回。その増益増収を達成するための仕組みを、人材育成、組織運営、IT活用の面から紹介する。
 「インプットはデジタルで、アウトプットはアナログで」を哲学にしている小山氏。PDAへ転送されたデータで社員の状況を把握し、褒める、教えるなどのアウトプットはフェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーションを重視する。それらは、社員のやる気を掘り起こす仕組みにもなっている。
 よく「人材がうまく育ってくれない」というが、それは失敗をさせないから。作為的に失敗を、痛い思いをさせることで人材を育てている。また、一般に社員は面倒を嫌い、新しいことをやることをおっくうがるが、勉強会への参加を賞与評価と直結させることで、事実上「強制」することに成功している。
 スケジュールは4週サイクルで考える。企業の業務は週単位で進んでいるため、月単位ではとっかかりもつかめず、スケジュールも立てにくくなる。また、1年間は52週で4で割れるため、パターンが決まれば翌年は日付だけ変えれば良い、という。
 仕組みとしてすぐ利用できる点はぜひまねて、人材や企業の活性化につなげてほしい。(ライター・生井俊)
 
本気論――フリーターから東証一部上場企業の社長になった男の成功法
●齋藤正勝=著
●かんき出版 2005年8月
●1400円+税 4-7612-6272-9
 美大出身で情シスを経て、現在カブドットコム証券社長の齋藤正勝氏。異色のキャリアの裏側には、本気でいることで、ピンチを乗り越え、逆にそれをチャンスにしてきたという自負がある。「前向きに仕事に取り組む」「他者を味方につける」「相手を唸らせる説得力を身につける」などの6章構成でその仕事術を紹介する。
 例えば、「遅刻」。遅刻は仕事の能力に直結していて、1回の遅刻で熱意と本気度が疑われる。「しめきり」でモチベーションを高めることや、本気をアピールするために「有言実行をクセにする」することが大切だという(第1章)。
 人脈を武器にするためには、人脈とビジネスとを融合するキーマンを見つけたい。キーマンを簡単に見つける方法はないが、これぞと思った人に熱意を持って説明していく中で、必ずキーマンにたどり着く。また、一時「伊藤忠商事以外のパートナーは不要」と思ったこともあるが、いまは連携し合いながら仕事をしていく時代だと説く(第3章)。 ほかに、「メールは4行以上書かない」「パソコンの中にデータは取り込まない」といったIT時代のノウハウも。成功したいと考えている20代、30代なら刺激的な内容だ。(ライター・生井俊)
 
可視経営──仕事が見えれば会社は変わる
●石橋博史=著
●日経BP企画 2005年8月
●1600円+税 4-86130-102-5
 「可視経営」とは、仕事を進めている業務プロセスを管理しやすい単位に構成して、実態の把握を目で見て分かる状態にすることだ。ホワイトカラーの現場へトヨタ生産方式の管理技術を導入し可視化することで、モノづくり並みに生産性が上げられると考える。
 日本ではピーク時に合わせ人材を投入しているとして、戦略的人材配置を推奨する。対策の基本はIT活用、アウトソーシング、人材の「多機能化」の3つだという。最も重要なのは人材の多機能化で、1人の社員が1業務だけでなく、複数の業務をこなせる能力を身につけることだ(第1章)。
 可視化でのポイントは、業務のプロセスを文書ではなく、目で見て分かる図で示すこと。いったん作成したマニュアルであっても、リアルタイムで更新できることが必要で、そのためには各業務をコード化し、コンピュータ管理できるようにする。また、業務を分類する中で、「これ以上分解したら業務の目的が失われる最小単位」を原単位ととらえる。つまり、「ワン業務」「ワンアウトプット」としてとらえ、そのプロセスをチャート化していくことが業務の可視化における最大のポイントだ、という(第3章)。
 後半は、業務情報のジャスト・イン・タイム実現を支援するツール「HIT」の紹介と、サンスター、ツムラなど5社のHIT活用事例をまとめる。ムダを省き、企業の競争力強化のためにも経営者に読んでほしい本だ。(ライター・生井俊)
 
二大博士から経営を学ぶ──デミングの知恵、ゴールドラットの理論
●ドミニコ・レポール、オデッド・コーエン=著/三本木亮=訳
●生産性出版 2005年6月
●1400円+税 4-8201-1799-8
 本書は、品質管理の父としてデミング博士と『ザ・ゴール』の著者・ゴールドラット博士の理論を組み合わせた「継続的改善の10ステップ」を紹介する。その基本になるのが、デミング博士の「深遠なる知識の理論」(TPK:Theory of Profound knowledge、日本ではこういう言い方はしないが)とゴールドラット博士の「制約条件の理論」(TOC:Theory of Constraints)だ。それぞれ単独では継続的改善に向けたガイドラインとして利用するのには十分でないが、相互に補完的な機能があり、2つの理論が合わさることでお互いに力を発揮する。
  第1章は10ステップのうち、「システムのゴール、評価単位、評価基準を設定する」「システムを理解する」「システムを安定させる」の3ステップを扱う。システム理解についてでは、プロセスが変更になる、新しいソリューションが導入されると聞くと、人はたいてい否定的に感じるものだという。こうした反応に対応するのがNBR(Negative Branch Reservation)と呼ばれる思考ツールだ。このツールを用いると、どうして人が否定的な結果につながると考えるのか、その思考ロジックを図示できる。
  第1章の導入を受け、第2章では制約条件を使ってシステムを管理する3ステップ、第3章ではシステムを成長させるための4ステップを解説している。なお、NBRについては第4章に、2大博士の業績については第5章に詳しくまとめられている。2大博士の理論の修得だけでなく、知識をベースに長期にわたる継続的改善が可能な組織作りのため、経営者やマネージャには特に参考になるだろう。(ライター・生井俊)
 
フューチャー・オブ・ワーク
●トマス・W・マローン=著、高橋則明=訳
●ランダムハウス講談社 2004年9月
●1900円+税 4-270-00036-8
 著者は30年以上前に「テクノロジの発達が速すぎて、社会が適合できない」時代の到来を指摘した。ITの進展により、われわれはその時代を迎えている。これはまだビジネスの世界における革命にすぎないが最終的には政治における民主主義革命と同じくらい重大なものになるかもしれない──そう本書は予測し、新しい仕事の在り方として「分散化」を提唱する。
 分散化という言葉から、従来型の組織の中で、より多くの権限を下の階層のマネージャに委譲することを想像するかもしれないが、本書では「問題にかかわる者を意思決定に参加させること」と定義する。ビジネスにおいて分散化がいっそう望ましいものになれば、マネジメントの考え方を従来の「命令と管理」から「調整と育成」へ変える必要があるという。
 マネージャの仕事が、組織の管理ではなく、調整にあると考えるようになれば、高度に集中化したものから高度に分散化したものまで幅広く見渡せるようになる。最終的には、自身の価値観を磨き、自分の内なる声に耳を傾けることが、信頼できる指針になるという。すべての答えは、あなたにかかっているのだ。(ライター・生井俊)
IT管理・知的財産マネジメント規定集
●荻原勝=著
●中央経済社 2004年8月
●3800円+税 4-502-37580-2
 顧客情報や技術情報の流出・漏えい、システムのダウンやウイルスの侵入といったITリスクをどう管理するか。それらの管理マニュアルとして、具体的な規定55例を収録したのが本書だ。
 規定は大きく分けて、「ITシステム」と「知的財産」の2つの観点から構成される。それぞれに、活用や情報管理などの項目があり、さらに細かな規定例を紹介している。
 まず、規定の趣旨があり、その規定に盛り込む内容を簡潔にまとめている。そして、項目の最後にはモデル規定があるため、若干の文言を修正することで、すぐに自社の規定集として使える。
 第3章「ITシステムのリスクマネジメント」ではITスタッフが持つべき倫理観についての規定があり、また第4章では「パソコンの私用防止対策」の規定を集めている。地味な内容ではあるが、規定を作るうえでの実用性が高い。
 いま知的財産への関心が高まっているが、今後もこの傾向は強まるだろう。本書を参考に現段階から褒賞金や啓発についての規定を準備しておきたいところだ。(ライター・生井俊)
IT資産管理のコツ
●アエルプランニング=編著
●セルバ出版 2004年7月
●2200円+税 4-901380-22-2
 本書はIT資産を全社的に統括し、効率よく管理するための考え方や手法をまとめている。
 IT資産とは、企業が利益向上や業務効率化などの手段として活用するITにかかわる資産のこと。大きく分けて「ハードウェア」「ソフトウェア」「ネットワーク」「データ」「人材」の5つから構成される。業務の効率化を図るためには、これらを総合的に管理し、最適に運用していくことが求められる。
 まず必要なのは、ハードウェア/ソフトウェアのライフサイクル管理だ。計画・導入・運用・廃棄のステップに基づき、使用状況の管理とコスト把握を適切に行う。また、人的な資産管理では、テクニカルな問題だけでなく、コンプライアンスの観点など各部門の専門知識も必要になるという。
 これらを導入し、適切に管理していくためには、基本計画書などの作成が必須だ。その作成方法や管理帳票・ソフトウェアについても詳しく記され、巻末には参考資料としてソフトウェア資産管理基準などを収録している。マネージャや情報システム担当者だけでなく、経理などの管理部門も含め一度目を通されてはいかがだろうか。(ライター・生井俊)
企業変革力
●ジョン・P・コッター=著、梅津祐良=訳
●日経BP社 2002年4月
●2000円+税 ISBN4-8222-4274-9
 企業変革での失敗事例を数多く挿入した読みやすい経営書で、経営者やプロジェクトマネージャに向けリーダーシップ論を展開している。
 変革を推進する上で「8つのプロセス」があると本書では説く。具体的には、1.危機意識を高める、2.変革のための連帯チームを築く、3.ビジョンと戦略を生み出す、4.変革のためのビジョンを周知徹底する、5.従業員の自発を促す、6.短期的成果を実現する、7.成果を活かして、さらなる変革を推進する、8.新しい方法を企業文化に定着させること、の8項目だ。これらは、順番にこなすだけでなく、複数が同時に進行する必要がある。
 新しいシステムを導入したり業務プロセスを変更することで、一時的に生産性が低下することがある。そのとき、問題に対して危機意識が低いと、なぜ新しいことを始めたのか、あるいはシステム導入の是非を問うといった議論が再燃することがある。結果、プロジェクトの撤退や見直しが起こり、従来型のやり方に戻ることになり、変革は失敗に終わる──。
 どの時代でも、変革には痛みが伴うものだ。これを推進するためには、人格者のリーダーが求められている。過去よりも、将来を重視するリーダーのいることが、企業にとって有益だという視点でまとめられている。(ライター:生井俊)
チェンジモンスター──なぜ改革は挫折してしまうのか?
●ジーニー・ダック=著、ボストン・コンサルティング・グループ=訳
●東洋経済新報社 2001年12月
●2200円+税 ISBN4-492-53131-9
 ITプロジェクトがそのまま、企業改革プロジェクトであることは少なくない。ITプロジェクトの失敗とされる例も、改革の失敗であることが多いのではないだろうか?
 本書は、企業改革を阻む人間的・感情的な障害要因を“チェンジモンスター”と呼び、これを乗り越えてチェンジマネジメントを実現する方法を述べている。この中では変革のプロセスを「停滞-準備-実行-決着-結実」からなる曲がりくねった道のり(チェンジカーブ)ととらえる。そして「停滞にありながら全社的にはそれに気付かない」「準備段階でプロジェクトを完了したと思ってしまう」「リーダーが孤立する」などのチェンジモンスターの退治の仕方を述べていく。
 内容は方法論や理論ではなく、実例集といったところで読みやすい。例えばITプロジェクトでの例として、システム部門とユーザー部門で愚痴を言い合う場を設けるといったやり方が紹介されている。
 プロジェクトの中で頑強な抵抗勢力に出会った経験がある方なら、手にとってみる価値があるだろう。
もう決断力しかない──意志決定の質を高める37の思考法
●スティーブン・P・ロビンズ=著、清川幸美=訳
●ソフトバンク パブリッシング 2004年3月
●1600円+税 ISBN4-7973-2431-7
 正しい時期に正しい選択をすることが、人生の質を高めることにつながる。このことは、学歴や才能や縁故とは無関係だ。その意志決定の本質ととらえ方をまとめたのが本書である。
 筆者は、意志決定は人生で最も重要なスキルであり、スキルである以上向上させることができると明言する。当然、コントロールできるのは意志決定の「過程」だけであり、「結果」を保証してくれるわけではない。
 すぐれた意志決定とは、合理性に基づいて行われたものであり、自分がいまいる地点から到達したい地点までを最短距離でいく「合理的意志決定プロセス」について説かれている。また、第2部ではどういう意志決定をしているかを分析する自己診断のチェック項目があり、あなたのリスク指向や先送り傾向についてなどが分かる。
 「計画を立てない」「自信過剰」「過去の経験に頼りすぎる」「過去から学ぶのが苦手」。そんなプロジェクトを作らないために、マネージャやSEが自己分析をし、意志決定のスキルを学ぶために参考になるだろう。(ライター:生井俊)
SEマネジャー心得ノート
●泉田浩二、竹野内勝次、中谷正明、久井信也=著
●日刊工業新聞社 2004年3月
●2100円+税 ISBN4-526-05262-0
 書名に「ノート」とあるが、システムインテグレータあるいは社内SEを抱える企業情報システム部門のマネージャの心得をまとめたもので、「教科書」や「チェックシート」として使える1冊。
 まえがきに、SEマネージャに必要なのは「人質(じんしつ)」だとある。本書は、知的にシステムを作る人材とはどういうものか、という大きなテーマを背景に、人材育成やプロジェクトを遂行するためのプロセスを紹介する。

 「SEスキルの人材育成基本計画表」やプロジェクトの「案件チェックリスト(受注時)」など、若干の修正を加えれば、実際のプロジェクトやマネジメントのシーンで活用できるフォームを多く掲載する。
 ユニークなのは第11章の「悩めるSEマネジャー・Q&A」。「優れたSEがいるが部下の育成には興味をもたない」「いわれたことしかしない部下にどう対処したらよいか」などの問いに、業界の流れやコミュニケーションといった観点から簡潔に答えている。
 本書はこれから部下を持つSEや、自分のマネジメントの方向性を確認したいマネージャに最適だ。(ライター:生井俊)
リーダーを育てる会社 つぶす会社──人材育成の方程式
●ラム・チャラン、ステファン・ドロッター、ジェームズ・ノエル=著、グロービス・マネジメント・インスティテュート=訳
●英治出版 2004年4月
●2200円+税 ISBN4-901234-47-1
 プロジェクトマネージャや事業部長(ビジネスマネージャ)クラスの人材育成を題材にした書籍は多いが、本書は係長クラスから経営トップまでを順番に経験し、徐々に成長していく形を前提に、戦略的な人材育成を論じる。
 有能なリーダーを育成するための1つの解が、GEなどが採用する「リーダーシップ・パイプライン・モデル」だ。これは、“リーダー”を一くくりでとらえるのではなく、係長と社長に求められるリーダーシップが異なるように、役職ごとに要求されるスキルや意識の持ち方などが異なることに着目したモデルだ。
 なぜリーダーが不足するのかから始まり、パイプライン・モデルの概要を紹介。それぞれの役職に昇格したとき(転換点)に、どういう立場に変わり、何をすべきなのかが明示されている。また、後半は、パイプラインの整備と後任の育成についてをまとめている。
 「リーダー不在」に嘆く経営者だけでなく、係長・課長・部長などそれぞれの立場で読めば、自分自身のポジションに対する理解が深まり、より仕事の質が向上することだろう。(ライター:生井俊)
新・管理者の判断力──ラショナル・マネジャー
●C.H.ケプナー、B.B.トリゴー=著 上野一郎=監訳
●産業能率大学出版部 1985年2月
●2600円+税 ISBN4-382-04851-6
 管理者が合理的な判断を行うための思考法であるKT法(ケプナー=トリゴー法)の解説書。筆者のチャールズ・H・ケプナー博士とベンジャミン・B・トリゴー博士はKT法の開発者──いわば原典にあたる。KT法は、優秀な管理・意思決定者には、情報の収集・分析・評価・判断のプロセスに共通性があることから、それを4つプロセス(ラショナル・プロセス)に体系化・ツール化したものだ。1970年代ごろから、論理的思考の共通言語として企業への導入が進められた。最近、プロジェクトマネジメントが重視されるにつれて再び、焦点があたってきているようだ。もしあなたが「優秀な意思決定者」なら、ある意味、当たり前のことが書いてあるが、自分の思考過程を客観的にとらえるみることに意味はあるはずだ。
NTTドコモ リアルタイム・マネジメントへの挑戦
●経営システム研究会=編
●日刊工業新聞社 2004年4月
●1400円(税別)+税 ISBN4-526-05202-7
 NTTドコモが導入したリアルタイム・マネジメントを実現するDREAMS(愛称)。サーバ410台、クライアントは約3万台で構成され、日次で5000万件のトランザクションを処理できるという世界最大規模のオープン系基幹情報システムだ。
 それ以前にも、顧客管理システムALADINを導入し、顧客サービスの向上、営業拠点の効率化などを図ってきた。さらに経営情報をリアルタイムに把握するため、業務の抜本的改革や管理会計の充実をコンセプトにDREAMSプロジェクトがスタートした。
 
DREAMSが目指すのは「業務・金・物の流れとデータの流れが完全に一致し、システムにより、現実の経営の姿がリアルタイムに把握できること」。このDREAMS導入により、あらゆる経営情報を日次単位で把握することが可能になり、週次を経営のPDCAサイクルに反映するなど、経営のスピード化が図れるという。
 第2章はそのプロジェクトの開発体制やレビュー(部内討論会)などを紹介。第3章はDREAMSで実現したメニューや改善されたワークフローなど、スクリーンショットを豊富に盛り込み解説する。プロジェクトマネージャやSEがすぐに活用できる実践的な内容を評価したい。(ライター:生井俊)

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