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■ITソリューション
 
エンタープライズ2.0――次世代ウェブがもたらす企業変革
●吉田 健一=著
●インプレスR&D 2007年8月
●1800円+税 978-4-8443-2449-2
 Web 2.0の手法を使い、企業に大きな変革をもたらす「エンタープライズ 2.0」。本書は、その本質的な変化や具体的なテクノロジとは何か、そしてワークスタイルや企業経営はどのように変わっていくかを解説する。
 エンタープライズ 2.0が解決する経営課題の1つが、集合知によりワークスタイルの変革だ。ナレッジマネジメントは、ナレッジ=データという「データ中心」なとらえ方により下火になったが、集合知の場合は「ユーザー参加型」という点に特徴がある。この「人中心」のアプローチは、これまでの「データ中心」のアプローチと異なり、集合知の考え方を取り込んだナレッジマネジメントによる真の経営課題の解決を実現する。
 急務になっている情報系システムのシステム間相互連携では、マッシュアップがシステム間の「相互運用性(インターオペラビリティ)」の課題を解決する。また、めまぐるしく変わる経営環境に合わせて、スピーディかつ低コストで新しいシステムを提供したいといった「柔軟性(フレキシビリティ)」や、既存システムの有効活用の点でも有効だ。「SaaS」などの社外サービスを必要に応じて使うほか、情報系システムを1つにまとめて表示する「マッシュアップポータル」や分散したシステムから必要な情報にアクセスする「エンタープライズサーチ」がシステム間相互連携の解となる、という。
 これまでの流れから今後どうなっていくかまでを具体例を挙げて説明するほか、Web 2.0を代表するサービスやエンタープライズ 2.0を担う技術についても詳しい。図表やキャプチャが多く、難解な言葉には解説が加えられているため情シス部門の人々だけでなく、経営者にもお奨めしたい。(ライター・生井俊)
 
SaaSはASPを超えた
●北原 佳郎=著
●ファーストプレス 2007年9月
●1500円+税 978-4-903241-62-3
 企業の要求に合わせてカスタマイズされたソフトウェアの機能を、ネットワーク経由で利用するサービス「SaaS」。ソフトウェアを所有するのではなく、利用するという流れの中でSaaSの力をどのように見極め、どう経営に生かすべきかを本書では紹介する。
 SaaSがユーザー企業の経営に与える最大のインパクトは、負荷の発生を抑えることが可能になることだ。負荷とは、ソフトウェアのインストールやバージョンアップ対応といったヒトという経営資源の消費、サーバや電源、インターネット回線といったモノの準備などのことで、SaaSであれば新たに発生する負荷がほとんどない。導入時のキャッシュアウトが不要で、変化に迅速に対応可能、固定資産とみなされず、導入期間が短いなどのメリットがある。
 ベンダがSaaSビジネスを成立させるための要素として、「マルチテナント」「カスタマイズ性」「ユーザーインターフェイス」の3つを挙げる。マルチテナントとは、1つの枠組みの中に複数組のビジネスルールを設定できる仕組みのこと。1つの枠組みに対し、1組のビジネスルールしか設定できないASPとはこの点が異なるとする。また、カスタマイズという言葉の定義がまちまちだが、先駆的なSaaSベンダは「機能」「時間」「保守性」の3条件をクリアしてきた、という。
 本書はソフトウェアの利用にとどまらず、これを使って業務プロセスを外部化するSaaS+BPOの形態にも触れる。専門用語がほとんどないため読みやすく、ITシステムの在り方を検討している経営者やマネージャにお奨めだ。(ライター・生井俊)
 
勝者のシステム 敗者のシステム──こうすればできるIT投資の適正化
●坂口 英弘=著
●ソフトバンク クリエイティブ 2006年2月
●2200円+税 4-7973-3457-6
 ITを積極的に活用し大きく業績を伸ばす企業がある一方で、多額のITコストを使いながらメリットが獲得できない企業、トラブルに悩まされる企業が増えている。それを分けるポイントが「システム構築のプロセスに対するノウハウの差」にあるという。本書では、システム構築を成功に導くための思考法と、その具体的な技術を紹介する。
 第一部マネジメント編では、なぜシステムは問題を抱えてしまうのか、ユーザー企業とSI企業の問題点を挙げ、ユーザー企業がとるべき改善方法を提示する。また、システムコストが増え続ける理由として、レガシーシステムから脱却できないこと、既存のシステムが複雑すぎて新たな要件定義を整理できないこと、SIベンダの移行見積コストが高額になりあきらめざるを得ないことなどを挙げ、それぞれについてアドバイスをまとめている。
 第二部テクノロジー編では、これからのビジネスニーズ、柔軟性や安定性などのシステム特性、ITコストの最適化の観点から分散システムが最も優れているといい、それを構成するためのポイントを解説する。また、システム設計手法として、オブジェクト指向とサービス指向アーキテクチャ(SOA)の概要と導入について簡単に触れる。
 マネジメントと技術に分かれている点、章の終わりにまとめがある点が好印象。より良いシステム導入を目指す情シス部門の担当者にお薦めしたい。(ライター・生井俊)
情報技術を活かす組織能力──ITケイパビリティの事例研究
●岸眞理子、相原憲一=編著
●中央経済社 2004年7月
●3200円+税 ISBN4-502-37460-1
 情報技術の組織的活用能力(=ITケイパビリティ)に着目し、その概念と分析フレームワークから、企業によるIT導入効果をまとめている。
 企業が競争優位を獲得するには、ヒト・モノ・カネの3資源に加え、情報、技術力、ブランド、専門能力、組織能力などを開発し、これらを組み合わせて企業のケイパビリティを生成することが重要だ。ITケイパビリティは、情報技術資産とそれを扱う人的資産、情報技術を活用する企業コンテクストにかかわる資源に分類できるという。
 ここに登場する7社は、長野県の別所温泉にある上松屋旅館、靴下の専門店を展開するダンなど、ほとんどが衰退業界とされる世界で勝負を挑む中小企業である。
 上松屋旅館は、料理長の采配次第でブレのあった食材の調達コストを、情報システムを導入することで低く抑えることに成功した。また、ダンは、小売店に設置したPOSシステムのデータを、自社だけでなく染工場などとも情報共有し、商品販売サイクルの短縮化と在庫規模の適正化を実現し、販売機会損失や値崩れを防いでいる。
 伝統産業や中小企業であっても、適切な規模のIT導入には大きな効果があることを証明している本書は、大企業に限らず中堅・中小企業の情報マネージャに目を通して欲しい。(ライター・生井俊)
SEのための顧客提案術──ITキーワードをわかりやすく説明するコツ
●小林秀雄=著
●日経BP社 2003年9月
●1400円+税 ISBN4-8222-1565-2
 ITベンダ側の提案型SEやセールス・エンジニア向けに、「IP電話」「ICタグ」「IPv6」「ERP」といった言葉とそれらのソリューションの使われ方、提案の仕方を解説した1冊。
 ITサービスベンダのSEと営業マンがユーザー企業の担当者に提案を行うシチュエーションの会話形式で書かれており、非常に読みやすい。ITキーワードの解説本としても分かりやすいので、IT用語に詳しくない方、提案を受ける側のユーザー企業・担当者にとっても、ちょうどよいガイドブックになるだろう。

各書評にあるボタンをクリックすると、オンライン書店で、その書籍を注文することができます。詳しくはクリックして表示されるページをご覧ください。

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