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■思考法、発想法、問題解決
 
ものつくり敗戦――「匠の呪縛」が日本を衰退させる
●木村 英紀=著
●日本経済新聞出版社 2009年3月
●850円+税 978-4-532-26036-1
ハードとソフトが、付加価値の能力でその順位が逆転したのは、今世紀の変わり目前後だろう。大量生産と大量消費を実現した技術が、同時に生み出した「複雑さ」と「不確かさ」に挑戦せざるを得なくなった。本書では、技術はなぜ普遍化を目指さなくてはいけないかを解明し、現代技術のメガトレンドやそれに対する処方箋(せん)をまとめる。
ものを作るための機器やプラント、システムで起こっている現象の本性を、技術者は必ずしもすべて分かっているとは限らない。われわれの知識は極めて不完全で、科学のように未知と既知の境界がはっきりしているわけではない。複雑さは未知を生む元凶であると同時に、未知を押さえ込むことを阻む。これが、まさにソフトウェアで起こっていることだ。
「理論」「システム」「ソフトウェア」で日本の力を強めるためには、これらの課題をのせて走れるような研究目標を設定することが必要だ。いずれも特定の技術分野に限定されない普遍的な概念であり共通的な技術といえる。また、他分野を横に結びつけるのは「知の統合」であり、それを目指すことで理論、システム、ソフトウェアの強化が展望できる、と説く。
日本型ものつくりの限界から、先端技術を生み出した科学革命、なぜシステム思考が日本で根付かないのかなどに触れ、技術の変遷と課題が分かる読み物に仕上がっている。(ライター・生井俊)
 
アーキテクトの審美眼
●萩原 正義=著
●翔泳社 2009年3月
●2400円+税 978-4-7981-1915-1
これまで、ソフトウェアアーキテクチャやアーキテクトの重要性についてについてたびたび論じられてきたが、どうしたら見通しの良い優れたソフトウェアアーキテクチャが構築できるかといった点で解説されることは少なかった。そこで本書では、アーキテクチャスタイル、ソフトウェア開発パラダイム、設計手法などの基本ソフトウェアの機能や機構を考慮しながら、アーキテクトの姿勢や思考の方向性を解説する。
ソフトウェアシステムのアーキテクチャを「縦と横」(縦は構造要素、横はサービスあるいはアプリケーション個別機能)という観点から掘り下げていくと、変更頻度や共通性の基準に自由度があるため、この2つを分離する境界はあいまいだと分かる。もちろん、2つに分離する必然性もないため、3つ以上に分離しても構わないが、分離しすぎると構成要素の位置付けが複雑になる。2つに分離することは、UMLクラス図が「箱」と「線」という2種類の記号で表現されることからも妥当性を持つ、と説く。
構造変更への対応という点では、オブジェクト指向という技術がコードの冗長性を減らし、再利用性を高めることを目指したものとして存在する。しかし、オブジェクト指向は、要求の変更に対して「散乱」と「もつれ合い」という2つの複雑な対応を強いられる。その欠点を克服するものとして、「アスペクト指向」と「サブジェクト指向」の2つの技術を考えていく。これらはオブジェクト指向に置き換わる技術ではない。オブジェクト指向とは別の分割単位を導入することで、その欠点を補完するものだ、と指摘する。
筆者が目指すのは、ソフトウェアを工学的に扱い、残りを工芸で扱うこと。工芸は絶対の真理ではないにしても、思想や哲学を高額に吹き込むアーキテクトの目指す目標になるという。「ソフトウェア工芸」への審美眼よりも、変化に対応する抜け漏れのない設計手法を模索した内容になっている。(ライター・生井俊)
 
SUBJECT TO CHANGE――予測不可能な世界で最高の製品とサービスを作る
●P・マーホールズ、B・シャウアー、T・ウィルケンズ、D・ヴァーバ=著/高橋 信夫=訳
●オライリー・ジャパン 2008年10月
●1800円+税 978-4-87311-385-2
未来を予測することが容易だったことはないが、いまほど難しい時代もない。見極めることがますます困難になる中で必要なのは、質の高い未来予測ではなく、急激な変化にも対応できる「道具箱」(アプローチ)だ。本書では、変化へ適応できる柔軟性を持つサービスや商品を作る道具箱を紹介する。
この世界は日を追うごとに不確実性が高まり、長い間とても役立っていた道具がもう使えない。テクノロジだけでは不十分で、機能追加だけでは客が呼べない時代で製品やサービスを送り出すためには、顧客とその能力、ニーズ、要求をうわべだけでなく真摯(しんし)に肝に銘じておくことだ。これができたとき、そして顧客に心から共感できたとき、顧客にとって「体験こそが、われわれが送り出すべき製品」だと気付く。
開発プロセスを通して体験への集中を促進、維持する方法がいくつかある。1つはスティーブ・ジョブズを連れてくること。だが、ジョブズは多忙なため、どんな仕事のオファーも受けそうにない。そこで、自力で組織として成功するための鍵になるのは「体験戦略」(Experience Strategy)を採用することにある。体験戦略とは、明確に示された基準で、技術・機能・インターフェイスのいずれの決断にも影響を与えるものだ。「航海を導く星」の役目を果たす体験戦略により、企業が外から内へ、つまりこれから届ける製品やサービスを使う人たちの視点に立ってデザインするように仕向けることができる、と説く。
体験戦略はさまざまな形態をとるが、中心になるのはやはり「ビジョン」。複雑さをとらえながら共感を生む手法や、デザイン論なども本質をついていて有益だろう。(ライター・生井俊)
 
ザ・チョイス――複雑さに惑わされるな!
●エリヤフ・ゴールドラット=著/岸良 裕司=監訳/三本木 亮=訳
●ダイヤモンド社 2008年11月
●1600円+税 978-4-478-00665-8
今日の企業は、高度に複雑化している。だが、複雑なシステムの中で、本当に重要なことはいくつもない。本書では、アパレル業界のパフォーマンス向上をテーマに、『ザ・ゴール』著者のゴールドラット博士と娘エフラットの会話を通して、複雑化したものごとをシンプルに見ていくアプローチを紹介する。
障害が複雑に見えれば見えるほど、実は状況はシンプルだ。その障害の原因は、人がものごとを複雑に考えていることにある。現実は複雑と信じ込むことで、複雑な説明やソリューションを求めたがる。そして、ものごとは複雑であればあるほど凄いことだとほとんどの人は思い込んでいる。科学者のように考えるためには、もっと簡単に考えることがカギになる。
また、現実は複雑だという概念だけでなく、対立は当たり前だと考えてしまう傾向により、明晰(めいせき)な思考を邪魔している。それに加え、自然が調和を保っていることを深く理解することも、障害を克服することに役立つ。人は多くの人とかかわり合っているのに、なぜ関係は必ずしも良好で調和のとれた関係にならないかというと、人は問題を相手のせいにしたがるからだ、と説く。
『ザ・ゴール』シリーズ最新作の内容だが、これまでどおりに小説のような展開の中に素晴らしいエッセンスが詰め込まれている。それは、ビジネスやシステムを考えるだけでなく、自分と向き合うためにも役立ちそうだ。2009年を本書からスタートしてみてはいかがだろうか。(ライター・生井俊)
 
プロSEが教える! 自分のアタマの中を伝える技術
●岩田 宗之=著
●日本実業出版社 2008年11月
●1400円+税 978-4-534-04463-1
 パソコンやインターネットの普及・発達により、誰でも簡単に紙/デジタルの資料を作成できる時代になった。そのために、「話す」ことに比べずっと難しい、「書く」ことが必須の技術になってきている。本書では、話すこと、書くことをひっくるめて「伝える」技術をテーマに、頭の中のイメージを形にする方法を紹介する。
そもそも話が通じないのはなぜだろうか。話を聞く側の問題点は、そのまま話す側の問題点でもある。そして、一概にどちらが悪いといえない問題だ。話し手は「相手の理解力がない」と考え、聞き手は「話し方が悪い」と思いがちになるが、ここで必要なのは「話は伝わらないことが当たり前」と考えることだ、という。。
自分の考えを表現するのに、王道はない。表現することは考えることであり、それをノウハウとテクニックでマニュアル化してしまうのは危険だ。また、うまく書けない、何を書いたらいいのか分からないのは、文章のテクニックがないからではない。どうしても要領を得ない文章になるのは、自分でもそのことがよく分かっていないからだ。書くことよりも、まずは話すことから始めると考えが深まる効果が期待できる、とも説く。
効率的な説明手順や言葉の意味の説明方法、階層構造の順序、図やグラフを使った表現方法など、内容は多岐にわたる。著者が「王道なし」というように、伝えるための“1つの気付き”として利用してはいかがだろうか。(ライター・生井俊)
 
全体最適の問題解決入門――「木を見て森も見る」最強の思考プロセス
●岸良 裕司=著
●ダイヤモンド社 2008年7月
●1600円+税 978-4-478-00600-9
 TOC(制約理論)の「思考プロセス(TP)」は、極めてパワフルな「考える力」を鍛える道具だ。一般の問題解決手法が経営現場で使われるのに対して、この思考プロセスは日常の身近な問題にも気軽に使えるものだ。本書では、なお進化を遂げるTOCの最新手法を実践的に分かりやすく解説する。
自分だけのことしか考えていない現場を「たこつぼ現場」と呼ぶ。しばしばそれを「部分最適」と批判し、「全体最適」を推し進めようとする。しかし、どこをもって全体かということを考えると、領域を設定してしまうこと自体が部分に過ぎなくなってしまう。その悩みに対して、みんなが助け合って「和」の心でいつも活動できるようにすることが大切だ。
TOCには2つの重要な考え方がある。その1つが問題をシンプルに扱うこと。問題をバラバラに挙げても、どこから手をつけてよいかが分からない。それを構造化し、一見複雑に見える現象の数々も、つなげることによってシンプルに、分かりやすく理解することができる。問題の構造が分かれば、アプローチ方法も見えてくるため、根本問題から手をつけていくことができ、最もスピーディーで効果的な問題解決の突破口になる、と説く。
「変える」といった途端に大きな抵抗に遭うが、それを「何を変えるか」「何に変えるか」「どうやって変えるか」をたどって変革することで、抵抗も変化させることができるというだけあり、示唆に富んだ金言の宝庫になっている。オススメ。(ライター・生井俊)
 
マインドセット――ものを考える力
●ジョン・ネスビッツ=著/本田 直之=監訳/門田 美鈴=訳
●ダイヤモンド社 2008年5月
●1600円+税 978-4-478-76106-9
 なぜ著者には未来が予測でき、多くの人には予測できないのか――。全世界で900万部売れた『メガトレンド』の著者ジョン・ネスビッツが、未来を読み解くものの考え方(マインドセット)を解説する。
ネスビッツが示すマインドセットは「変わらないものの方が多い」「未来は現在に組み込まれている」「ゲームのスコアに注目せよ」など、11から構成される。その考え方のうち、最も重要なのは「正しくある必要はないということを理解する」こと。「正しくあらねばならない」と考えることは、自分自身をがんじがらめにすることにすぎない。いったん正しくある必要はないと分かれば、広い野原を自由に歩き回っているように感じるはずだ。
2番目に重要な考え方は「パレードの先を行きすぎるな」。これは明らかなようだが、適切な距離を保つのは容易ではない。指導者も、ツアーガイド同様、パレードの視野の内にとどまらねばならない。ビジネスでも政治でも、カギとなるのはリーダーシップの基礎的なスキルのみならず、先導したい人々の視野の内にとどまることだ、と説く。
11のマインドセットのほか、第2部では「未来図」として文化、経済、中国、ヨーロッパ、そして現代の課題を描き、予測する。ものを見る視点を増やしたり、見方を変えるきっかけとして一読されてはいかがだろうか。(ライター・生井俊)
 
システム開発を見える化するマインドマップ――6つのケーススタディから学ぶ応用例
●シンプル・ビジョン=監修/渡邉安夫=著
●オーム社 2008年4月
●1900円+税 978-4-274-06719-8
 システムエンジニアにとって、顧客のあいまいな要求を理解するプロセスとそれを視覚化する技術は重要なスキルである。本書では、人々を目的地に導く地図のような、概念の見える化ツールである「マインドマップ」に着目、ケーススタディを用いながらその応用例を紹介する。
マインドマップは本来、手描きを基本としているが、PCでマインドマップが描けるツールが多数存在する。それを活用するメリットは、知的生産性と創造性のバランスが実現できること、編集・更新が素早く行えること、手描きと違いチームで情報共有ができること、情報活用スキルが高まることが挙げられる。
この見える化アプローチの最も大きな利点は、顧客に対して分かっていることと分からない部分を明確に示すことができること。分からないことを知れば、質問が生まれる。この分からないことを早期に知ること=質問力はSEにとって重要なスキルだ。不明な点や掘り下げたい箇所が明確に示せることで、システム化の対象範囲や位置付けなどがより鮮明に見えてくる、と説く。
最後の章では、マッピングツールとして「MindManager」を紹介。基本テクニックから応用テクニックまで、システム開発の見える化に役立つヒントを盛り込んでいる。(ライター・生井俊)
 
イノベーションの神話
●スコット・バークン=著/村上 雅章=訳
●オライリー・ジャパン 2007年10月
●1800円+税 978-4-87311-345-6
 社会に大きな影響を与えるイノベーション。その過程で、さまざまな神話や伝説が生み出されている。これらの多くは、イノベーションの本質を誤解させる原因となり、結果的にイノベーターの足を引っ張る可能性がある。本書では、そういった神話を解体、真実という観点からそれを探求し、教訓とすることを目指している。
 ニュートンが重力を発見することになったリンゴの逸話が伝わっている。神話は事実よりも満足感を与えることが多いため、ニュートンが実際に経験したプロセスは2世紀以上経過した現在、忘れ去られてしまっている。このように神話は、教育効果より宣伝効果が勝っているため、イノベーションを生み出そうとする人は、より優れた情報源を探し出さなければならない。
 また、キーボード、携帯電話、GPSナビゲーションなどの素晴らしいアイデアは、独立したものではなく、すべて無数の小さな既存のアイデアから成り立っている。同じことがイノベーションにも当てはまる。イノベーションは、数々の障壁をさまざまな洞察によって乗り越えていくことで生み出されるものであり、数多くの小さな洞察がまとまってこそ大きなアイデアが花開く、と説く。
 ほかに「イノベーションを生み出す方法が存在する」「優れたアイデアは見つけづらい」といった神話を、有名なエピソードを例に挙げ紐解いていく。ウイットに富んだ本文は読みやすいだけでなく、本質や真実はなにかを追求するヒントが数多くあり、もの作りに携わる人に一読をオススメしたい。(ライター・生井俊)
 
転ばぬ先の経済学
●デイヴィッド・R・ヘンダーソン、チャールズ・L・フーパー=著/高橋 由紀子=訳
●オープンナレッジ 2006年11月
●1800円+税 4-902444-42-9
 ITプロジェクトに限らず、ビジネスは意志決定の連続である。ビジネスだけではない。人生では小さな判断から大きな決断まで、さまざまな決断に満ちている。本書は邦題には「経済学」とあるが、“明確な思考に基づく意志決定”に関するものである。
 具体的なエピソード(ほとんど失敗談!)を中心に、ものごとを“考える”ときにどのようなアプローチであるべきかを紹介している。登場する失敗談はどれも「そんなバカなことがあるか」といいたくなるようなものばかりだが、実話ばかりだ(日本の東海村JCO臨界事故も登場する)。「バカな」と思う前に、それが起こり得ることであり、その原因──多くは思い込みや思い違い、そして何も考えていなかった!──を知ることが肝要だろう。
 読むうえで、経済学や意志決定理論に関する専門知識は不要。「ディシジョンツリー」「機会コスト」「サンクコスト」など専門用語も出てくるが、それがどんなものであるかを1から説明してあるので、それらに詳しくない方々にこそお勧めである。
 
メディチ・インパクト
●フランス・ヨハンソン=著/幾島 幸子=訳
●ランダムハウス講談社 2005年11月
●2200円+税 4-270-00075-9
 頭のなかには、異なる文化、領域、学問が1カ所に収れんする場所があり、基本の概念とぶつかり合い、融合して、最終的にいくつもの画期的なアイデアを生み出す。その場所を筆者は「交差点」、目を見張るような革新が次々と生まれることを──イタリアでルネッサンスを花開かせたメディチ家になぞらえ──「メディチ・エフェクト」と呼ぶ。
 メディチ・エフェクトを生み出すために、思い込みといった「連想のバリア」を壊すことから始まる。異なる概念がぶつかり合ったときに創造的なアイデアが生まれるが、それは「空を走る閃光」のように突然見つかるか、「心の準備」をしておくことで訪れるという。創造性は偶発的なものでコントロールできないが、それが起きるチャンスを増やすことは可能だという。
 その方法には、「職の多様化」「多様な構成のグループ」「交差点ハンティング」の3つがある。「職の多様化」とは専門以外の異なる分野の間を行き来すること、「交差点ハンティング」とは「アリと通信の関連性」のように、普通では考えられないような概念の組み合わせを意図的に見出そうとすることを指す。そして、メディチ・エフェクトを起こすためには、量が必要で、それが質を生み出すことになると解説する。
 本書がユニークなのは、誰もがメディチ・エフェクトを起こすことができ、個人、組織、チームとしてその恩恵に浴することができると論を展開している点。プロジェクトのブレーンストーミングに活用すると即効性がありそうだ。(ライター・生井俊)
 
ザ・マインドマップ──脳の力を強化する思考技術
●トニー・ブザン/バリー・ブザン=著、神田昌典=訳
●ダイヤモンド社 2005年11月
●2200円+税 4-478-76099-3
 マインドマップを発明したブザン兄弟による解説書の新訳。思考を発達させるコンセプトである「放射思考」と、それを利用するためのツールの「マインドマップ」を紹介する。
 マインドマップとは放射思考を外面化したもので、脳の自然な働きを表したものだ。脳の巨大な力を使いこなすためには、思考やマインドマップを、階層と分類を使って組み立てる必要がある。多くのコンセプトを統括するキーコンセプトをBOI(Basic Ordering Idea)といい、連想の創造的プロセスを形成し、方向付ける鍵となる。
 マインドマップは損得を明らかにし、意志決定を行うのにとりわけ有効なツールだ。多くの選択肢がある場合、二者択一に比べBOIが多く、階層が複雑になる。このような多分類マインドマップでは、平均的な脳が短期記憶として7つ以上の情報を持つことができないため、BOIを平均3本から7本で考えるとよい、と説明する。
 マインドマップを作成することでグループ力を上げる手法やスケジュール管理、プレゼンテーション、会議術などにも言及する。また、ピカソ、ダ・ヴィンチ、アインシュタインら天才たちのユニークなノートを収録している。マインドマップは、ビジネスシーンでも利活用できるので、一度試しに書いてみてはいかがだろうか。(ライター・生井俊)
参考記事:マインド・マップとUMLを使った要求分析支援
 
図解 創造的仕事の技術
●忰田 進一=著
●ソフトバンク パブリッシング 2004年8月
●1600円+税 4-7973-2753-7
 創造的な仕事をするためのテクニックをまとめた一冊。発想の転換をし、思い切って自分を出して仕事をすることが本書のコンセプト。そのために「会社」「ホンネとタテマエ」「仕事」「発想・思考」「クリエイティブ」をテーマに、論理的な仕事術を紹介する。
 例えば、約束にはいくつか種類があり、「してない約束」というのがある。お店で美味しいものを提供する、お客様を平等に扱う、遅刻しない、などはいちいち約束しない約束だ。これらのことを「約束している」と思っていないと、無防備に過ごすことになってしまう、と気付かないことの危険性を指摘する。
 また、「思い込みは自分の首をしめる」「考えてから動け」など、分かりやすい見出しが並び、なぜそうなのか、実際に行動を起こすためにどうしたら良いのかが端的にまとめられている。随所にそれらのテクニックを整理し、図示したものが盛り込まれているため、視覚的にとらえることができる。
 ヒアリングのときに質問が出てこないSEや、プレゼンで何を伝えるべきか分からないマネージャなど、自分の仕事術を客観的に見つめ直したい人向け。(ライター・生井俊)
解決学 15の道具――ソリューション 考えるツール
●飯久保廣嗣=著
●日本経済新聞社 2004年6月
●1500円+税 4-532-31148-9
 問題解決を正確にかつ効率的に進めるためにはどうすればよいか。本書では、解決のための技法や考え方を15の「道具」としてとらえる。
 問題とは「あるべき(期待する)状態からの逸脱」のことで、この定義にしたがえば理想と現実のギャップが認識できる。問題に対し、仕事の鬼で、中途半端な知恵者は、すぐに答えを見つけだし、即座にアクションにつなげる。また、「声が大きい」ことが多い。周りからは「彼の仕事はスピーディだ」「問題解決能力が高い」などと評価されることもあるが、それはプロセス無視の短絡思考で、概して間違いだという。
 どうやって問題解決を図るかとなると、大工道具のように、問題解決のための「思考の道具」を、実行していくプロセスに合わせて使っていくことが大切だ。人間が問題に直面したときの思考は、「数々の問題を把握すべき状況」「原因を究明すべき状況」「選択や決定をすべき状況」「リスク対応が求められる状況」の4つの領域に属する。それを細かい段階まで分解したのが15の道具である。本書の後半では、事例を紹介し、その道具の活用法をまとめている。
 論理的な思考に弱かったり、声が大きくなりがちなマネージャには、自分の課題把握と問題解決のために読んでもらいたい。
(ライター・生井俊)
もう決断力しかない──意志決定の質を高める37の思考法
●スティーブン・P・ロビンズ=著、清川幸美=訳
●ソフトバンク パブリッシング 2004年3月
●1600円+税 ISBN4-7973-2431-7
 正しい時期に正しい選択をすることが、人生の質を高めることにつながる。このことは、学歴や才能や縁故とは無関係だ。その意志決定の本質ととらえ方をまとめたのが本書である。
 筆者は、意志決定は人生で最も重要なスキルであり、スキルである以上向上させることができると明言する。当然、コントロールできるのは意志決定の「過程」だけであり、「結果」を保証してくれるわけではない。
 すぐれた意志決定とは、合理性に基づいて行われたものであり、自分がいまいる地点から到達したい地点までを最短距離でいく「合理的意志決定プロセス」について説かれている。また、第2部ではどういう意志決定をしているかを分析する自己診断のチェック項目があり、あなたのリスク指向や先送り傾向についてなどが分かる。
 「計画を立てない」「自信過剰」「過去の経験に頼りすぎる」「過去から学ぶのが苦手」。そんなプロジェクトを作らないために、マネージャやSEが自己分析をし、意志決定のスキルを学ぶために参考になるだろう。(ライター:生井俊)
新・管理者の判断力──ラショナル・マネジャー
●C.H.ケプナー、B.B.トリゴー=著 上野一郎=監訳
●産業能率大学出版部 1985年2月
●2600円+税 ISBN4-382-04851-6
 管理者が合理的な判断を行うための思考法であるKT法(ケプナー=トリゴー法)の解説書。筆者のチャールズ・H・ケプナー博士とベンジャミン・B・トリゴー博士はKT法の開発者──いわば原典にあたる。KT法は、優秀な管理・意思決定者には、情報の収集・分析・評価・判断のプロセスに共通性があることから、それを4つプロセス(ラショナル・プロセス)に体系化・ツール化したものだ。1970年代ごろから、論理的思考の共通言語として企業への導入が進められた。最近、プロジェクトマネジメントが重視されるにつれて再び、焦点があたってきているようだ。もしあなたが「優秀な意思決定者」なら、ある意味、当たり前のことが書いてあるが、自分の思考過程を客観的にとらえるみることに意味はあるはずだ。

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