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マイナビ×@IT自分戦略研究所 キャリアアップ 転職体験談

「転職には興味があるが、自分のスキルの生かし方が分からない」「自分にはどんなキャリアチェンジの可能性があるのだろうか?」――読者の悩みに応えるべく、さまざまな業種・職種への転職を成功させたITエンジニアたちにインタビューを行った。あなた自身のキャリアプラニングに、ぜひ役立ててほしい。

第2回 受託開発の限界を感じ、SIerからユーザー企業へ

  今回のテーマ:「システム内製」でビジネスを進化させるため、
ユーザー企業の情報システム部門へ

●転職者プロフィール

湯本堅隆さん

有限会社エフ・ケーコーポレーション
システム開発部 部長

湯本堅隆さん(30歳/転職2年目)

【仕事内容】
小売・流通系システムの受託開発
→ 自社業務システムの開発・新規事業開発
 

 リーマンショック以降、情報システムの「内製化」に注力するユーザー企業が増えている。アウトソースによる社外流出コストの削減や、開発の効率化・迅速化など、さまざまなメリットが期待されているからだ。ただし、その実現のためにはまず、情報システム部の役割の見直しや体制強化が命題となる。

 今回紹介する湯本堅隆さん(30歳)は、ホームウェア・生活雑貨・インテリアなどの卸・小売事業を展開する『有限会社エフ・ケーコーポレーション』で、情報システム部を1人で担っているITエンジニア。大手ユーザー系システムインテグレータ(SIer)に6年間勤務していたが、受託開発の限界や内製化の必要性を感じて、2009年、情報システム部での新たなキャリアをスタートさせた。SIerからユーザー企業への転職――その決断に至るまでの経緯と、現在の業務内容や仕事のやりがいについて話を聞いた。

  大手SIerで下流から上流までの幅広い業務を経験
ユーザー企業の情報システム部の仕組みに疑問を感じた

 2003年、大手ユーザー系SIerに新卒入社した湯本さんは、主に小売・流通業界のシステム開発を担当した。Javaプログラマとして4年間活躍した後は、開発リーダー、プロジェクトマネージャ、コンサルタントと着実にキャリアアップを重ねた。退職までの半年間はコンサルタントとしてクライアント企業の内部統制にもかかわるなど、仕事の幅を順調に広げていた。しかし、このころから、クライアント企業内における情報システム部とエンドユーザーとの乖離(かいり)に疑問を抱くようになったという。

 「窓口となる情報システム部と、実際にシステムを使うエンドユーザーとのコミュニケーションが取れていないと感じました。使う言葉が違うし、何より情シス側はエンドユーザーの業務をすべて理解しているわけではありませんでした。情シスのスタッフは自分たちでシステムを運用していながら、『なぜ、このシステムが業務に必要なのか』というところまで、説明できていないことが多かったんです」

 エンドユーザー側の要望と、情報システム部側の仕様との乖離は、必然的に受託側にも影響を及ぼす。この構造がPDCAサイクルの妨げとなっているのでは――湯本さんはそう考えるようになった。同時に受託側、いわば業者として開発していく、という自分自身の立場にも限界を感じるようになっていた。

 「業者はシステムを開発し、納めてしまえばそれで終わりです。納めたものが、結果としてその会社にどういう利益をもたらすのか、将来までを見ることはできません。自分の開発したシステムをビジネスに生かして利益を生むにはどうしたらいいのか、ということを考えるようになりました」

  「内製」の必要性を実感し、転職を決意
新たな職場は、中小企業の情報システム部に

 受託型プロジェクトに対する疑問を解決するために、湯本さんは転職を考えるようになる。そこで希望したのは、自分の手掛けたシステムが、エンドユーザーや会社の経営にどんな影響を与えたのかを肌で感じられる立場、つまりユーザー企業の「内製」の立場への転職だった。

 「自分でシステムを作り、会社の業務を回すような立場に立ちたいと思いました。新たな環境への挑戦だとは思いましたが、チャレンジするなら30歳手前の今だと思いました」

 ちょうどそのころ、叔父の経営する会社からの依頼でコーポレートサイトを作成した。これがきっかけとなり、「うちに来ないか」という誘いを受けた。いつかは自分も会社を立ち上げたいという目標を持っていた湯本さんは、社長の近くで経営を学べるかもしれないと考え、悩んだ末に転職を決断した。

 入社した『エフ・ケーコーポレーション』は、ホームウェアや生活雑貨などの卸・小売を営む企業。当時、伝票を発行するシステムはあったものの、受発注などはまだ紙とFAXで対応していた。まずはそこで発生する時間や人的リソースのロスを軽減するためのシステムを開発し、最終的には、受注から在庫確認、仕入、出荷、請求書発行といった一連の業務を、トータルに管理できるシステムを作りたいと期待に胸を膨らませていた。

 「システムを導入することで、業務を回す上での人的リソースやコストを最小限に抑え、浮いた分の余力を顧客の方に回せるのではないかと感じていました。しかし、入社後すぐに、思わぬ壁にぶつかりました」

  エンドユーザーの視点に立つ重要性を実感
情報システム部のあるべき姿を学ぶ

 新たな職場での仕事は、まず経営陣から困っていることをヒアリングし、それを解決するためのシステムを湯本さんが開発して、実際の現場で使用してもらうという流れだった。しかし、そもそもシステムを使う理由を現場の社員(エンドユーザー)に理解してもらえなかったり、ときには現場のニーズから外れたものを作ってしまったりと、システムを導入する上で、さまざまな壁にぶつかった。

湯本堅隆さん
情報システム部門に求められるものを語る湯本さん

 「経営陣と現場との認識の違いに原因がありました。まずはエンドユーザーの立場に立ち、業務の中で何を考え、どんな判断を下して行動しているのかというところまで踏み込まないとダメだったんです」

 そこで湯本さんが取った行動は、注文や伝票起こしといった実際の業務を自ら体験してみるということだった。そこで初めて、自分の開発したシステムが「使えない」ことに気付いたという。

 「前職でも流通・小売業界のシステムに携わっていましたが、業務の全体を把握していたわけではなかったため、その知識は非常に断片的でした。それに、会社によって求められるシステムが異なる、ということに気付かされました。今の会社では、仕入れた商品の出荷するタイミングや量が季節によって大きく変わったり、単価が営業トークで変動したりするので、フレキシブルに対応できるシステムが求められていたのです」

 「自らエンドユーザーになってみる」という行動は特効薬になった、と湯本さんは語る。そのときの視点を反映して開発し、現在試験的に導入している在庫管理システムは、現場からの評価も高いという。通年の商品の動きを把握できるため、社内だけでなく、各メーカーへのフィードバックも可能なシステムだそうだ。

 「受託のときは“What(何を作るか)”と“How(どうやって作るか)”だけを考えていればいいのですが、情報システム部では“Why(なぜ作るのか)”と“For What(なんのために作るのか)”を考えなければなりません。お手本がなく、生みの苦しみはありますが、常にユーザーからのフィードバックがありますし、システムが会社を動かしている、ということを肌で感じられます」

 情シスへの転職というキャリアチェンジは、自分自身に新たな成長をもたらしてくれた、と湯本さんは語る。自分がベストだと思ったことであれば、言語や業務内容にとらわれず、トライしてみるしかない。自由度は高いが、責任もまた大きい。

 「情シスの仕事というと、管理業務のイメージが強く、あまりプロダクティブなイメージはありませんよね。たしかにそういう側面もありますが、ユーザー・経営陣・ベンダの中心となり、“自分たちの手でシステムを進化させていく”ことこそ、本当に求められる仕事なのだとわたしは思います」

 今後は数字・成果に直結する、営業のフロントで使えるようなシステムを開発したい、と語る湯本さん。情報システム部へと転職し、「内製化」への道を歩み始めた湯本さんの挑戦は、まだ始まったばかりだ。

●有限会社エフ・ケーコーポレーションの人事に聞いた、湯本さんの評価ポイント

 前職で着実にキャリアを積んできた経験と、今後のキャリアビジョンが明確になっている点を評価しました。また、技術スキルについても、オープン系全般の経験を当社での開発に役立ててほしいという期待が持てました。

 自分から積極的に学んでいく成長意欲、業務への理解も高いことから、ITマネジメント全般を任せられると感じ、採用にいたりました。

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提供:マイナビ転職
企画:アイティメディア営業企画
制作:@IT自分戦略研究所 編集部
掲載内容有効期限:2010年4月30日

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