アナリストの報告:PDA導入は石橋を叩いてから

2000/7/13
(07/10/00, 8:55 p.m ET) By Rebecca Smith Hurd, TechWeb News

 7月10日に、市場調査会社であるGiga Information Groupのアナリストが語ったところによると、標準のPDA導入を検討している法人のITマネジャーは、今のうちに計画を立てて広範な導入は後回しにすべきだという。

 このアナリストによると、大企業が1つのPDA技術を社内全体で標準として採用するには今はまだ時期尚早だという。

 仕事で移動することの非常に多い専門職にこれらのデバイスを提供すればメリットを享受できるが、使用頻度の低いユーザーをサポートする高コストを簡単に正当化できる企業は少ない。

 同社のディレクター、Carl Zetie氏は、「サプライチェーンに必要なものを供給する人や、直接カスタマーとコンタクトを取る人など、今日でも導入を正当化できる作業に従事する集団は存在する。だが、社員全員が顧客リストを自分のデスクトップとシンクロさせたがっているからといって、それにIT部門が対応すべきではない」と話している。

 Zetie氏と、同僚のLaura DiDio氏およびKenneth Smiley氏は、ここ最近の技術の進歩にもかかわらず、企業全体でのPDA統合でデータをシンクロさせるには、依然としてサードパーティー製品の利用が必須になっているという。これによって新たなコスト、管理、そして「ネットワークの細かいチューニング」のニーズが発生する。

 たとえば、Outlook Exchangeのパーソナルフォルダファイルを運用するWindows NT 4.0およびWindows 2000サーバとPalmベースデバイスとを統合するのに必要なソフトウェアライセンスは、PDA 1台あたりで約15〜70ドルとなっている。

 アナリストたちは、「Palmデバイスは非常にファッショナブルで、ますます人気や信頼性が高まりつつあるが、ネットワーク化されたサーバのオペレーティングシステム環境で接続されるアプライアンスとしては依然として発展途上にある。現在のところ、大半の主流企業にとっては時代の先を行きすぎている」との結論を下している。

 だが、カリフォルニア州マウンテンビューでPalm OSベースのVisorデバイスを製造するHandspring Technologiesの幹部は、このような評価に異論を唱える。

 Palm Computingの元フェローで、1カ月前にHandspringに移ってきたJoe Sipher氏は、「おかしな意見だ。PalmとHandspringはもうすでに2年近く、PalmおよびHandspringのすべてのデバイスに(Microsoft)Exchangeネイティブのシンクロ製品を添付して出荷している。今ではこれが標準の機能となっており、インストレーションプログラムの一部になっている」と話している。

 カリフォルニア州サンタクララのPalmで企業官公庁担当副社長を務めるChuck Yort氏によると、Gigaの調査は「われわれの見たものと矛盾している」という。同氏によると、今日販売されている同社製品の80%以上は仕事のために利用されており、約40%は直接もしくは償還プログラムを通じて企業がコストを捻出しているという。

 Gigaのアナリストは、(Palmの「HotSync Server」、Chapuraの「PocketMirror」、およびPUMATECHの「Intellisync」をはじめとする)サーバのシンクロに利用されるサードパーティー製ユーティリティは機能的に制限があり、シームレスな統合を実現しないと感じている。

 アナリストは、「この製品(HotSync)とライバル製品は、どれもシステム管理者が最終的に必要とする豊富で完全な機能を提供しているとは言い難い」と書いている。

 Gigaの予測によると、PDAが企業ネットワークの主流クライアントになるにはまだ12〜18カ月かかるだろうという。

 Gigaは用意した声明の中で、「今はPDAの広範な採用計画を立て始める時期であることを企業は認識すべきだ。在庫管理やデバイス管理の作業を一元化しなければ、企業におけるPDAのコストやメリットがほとんど分からないだろう」と述べている。

 Yort氏は「採用曲線」の存在を認めており、多くの企業では標準のPIM機能以外の目的でもパームトップ機を導入している、と話している。同氏は例として、発送部でPalmデバイスを使って毎日の配送をトラッキングしているジョージア州アトランタのJournal Constitutionを挙げた。

 PalmではIT部門向けに、エンタープライズアプリケーションを購入する際にITカスタマーが期待する典型的な形態だとYort氏が指摘する、ソフトウェアとサポートのパッケージとして、HotSync Serverを別売している。Palmは先日、ヘルプデスク向けトレーニング、ホットスワップ機能対応ユニット、および各種支援を含む企業向けサービス/サポートプログラムを立ち上げている。同氏によると、このプログラムはIBM Global Servicesの支援を得て6カ月以内に世界中に提供されるという。

 専門職は職場のさまざまなPDA技術に依存しているが、GigaではPalm、Windows CE、およびEPOC 32の各オペレーティングシステムをベースにするデバイスが世界市場を独占しているという。Gigaの予想では、1999年にはPalmベースデバイスが60%のマーケットシェアを占め、Windows CEが25%、そしてEPOC32が15%で続いているという。

 Zetie氏によると、大半の企業は長期的にサポートするデバイスを既に決めているというが、彼らは近いうちにどれをサポートするか判断しなければならない。

 「年間2回ほどトレードショーに行き、出先から時々電話をするような社員は今サポートする必要はない。だが先々のことまで考え、仕事や人によって異なってくるだろうが、モーバイル/ワイヤレス技術が机から解放される魅力をますます多くの社員に感じさせてくれることを理解する必要がある」(Zetie氏)

[英文記事]
Analysts To IT: Look Before Leaping Into PDAs

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