ワークステーション分野でAGPに対抗するPCI-X

2000/7/20
(07/18/00, 11:17 a.m ET) By Mark Hachman, TechWeb News

 Intelが設計したAGP標準を再考するよう、ある業界団体が、ワークステーションやグラフィックスチップのメーカーに対するロビー活動を静かに始めている。

 この業界団体PCI Special Interest Group(PCI SIG)は、パフォーマンスと使いやすさの点を考えた場合、事実上すべてのデスクトップコンピューティングデバイスに採用されているPCIバスの次世代の後継者である「PCI-X」が、AGPに取って代わるべきだと考えている。

 PCI-XとInfiniband(新規格のバスを策定するためにCompaq, Dell, Hewlett-Packard, IBM, Intel, Microsoft,Sun Microsystemsが参加する団体)の両団体の代表者は、それぞれのI/O標準を奨励していくことになる。6カ月前と同じように、両グループは一緒にそれぞれの技術の詳細を提示し、多くの場合において、自分たちの製品は競合するものではなく、連携もしくは少なくとも補完し合うものであることを、チップのデザインベンダーやOEM各社に伝えていく。

 PCI SIGでは、業界のベンダー各社に対し、Intelのものではなく、自分たちの業界全体の技術の採用を遠回しに求めていく予定だ。PCI SIG会長のRoger Tipley氏がTechWeb Newsとのインタビューの中で語ったところによると、両団体の会長がそれぞれの技術について協議すべきだとの考えであることから、7月18日の話し合いでワークステーション用グラフィックスバスとしてのPCI-Xを協議することはないという。

 だが、Tipley氏とPCI SIGは、Sun MicrosystemsやApple ComputerなどのOEM各社に対しては各社のマザーボードデザインからAGPバスを排除するよう求め、グラフィックスチップメーカー各社に対してはPCIの互換性を完全なPCI-Xレベルにアップグレードするよう求める静かに号令をかけるものとみられている。一方、Intelの代表者は、AGPバスは固定された標準ではなく、将来に向けた改良が進行中であることを指摘している。

 PCI SIGの主張では、AGPバスとPCI-Xバスのパフォーマンスはほぼ同じ約1Gバイト/秒だと仮定している。最も高速なインプリメンテーションでは133 MHz動作の64ビットPCI-Xバスが1066Mバイト/秒と、4倍速(1056Mバイト/秒)動作のAGPバスの帯域幅をやや上回る転送量となる。

 Compaq Computerの社員でありながらCompaqの職務とは別にPCI SIGの見解を示すTipley氏は、「プロフェッショナルグラフィックス分野だとAGPではあまり多くの作業ができない」と話している。

 さらに同SIGでは、複数のPCI-Xスロットならば複数のグラフィックスカードを並列動作させることができるが、AGPスロット単独ではそれができない、と結論づけている。最終的に、PCI SIGとPCI-Xバスの独立性は、SunやAppleなど、AGP対応のグラフィックスカードを自社のシステムに採用しながら非Intel製マイクロプロセッサやチップセットを採用するメーカーの共鳴を得られるものと思われる。

 しかしTipley氏によると、同SIGはカスタマーに「AGPを完全に捨てる」ようには求めず、ワークステーションで道理にかなう部分について採用を見合わせることだけを求めていく。同グループは一方で、チップメーカー各社に対してPCIインタフェースをPCI-Xにアップグレードするよう求めていく。PCでは、一般的にはグラフィックスカードがPCIとAGPの両バージョンで製造されている。

 あるアナリストによると、PCI SIGはかなり以前からこのような主張を繰り返していたという。

 カリフォルニア州ティブロンにあるJon Peddie Associatesの会長、Jon Peddie氏は、「賛否両論がある」と話している。

 Peddie氏によると、帯域幅の議論は、Intelがデザインした(Intelが支配する)仕様を採用することの単純な利害と一緒にはかりにかける必要があるという。

 「AGP接続のほうが優れていると信じていないかぎり、ライセンスに関する作業を正当化することは難しい」(Peddie氏)

 Intelの関係者は慎重な態度を見せており、AGP仕様は絶対的なものではない、と指摘している。また、8倍速仕様の策定を進めているものと思われるBeyond AGP 4Xグループも設置されているが、Intelのワークステーションプラットフォームのマーケティング幹部で、先日IA-32のマーケティングチームに参加したKevin Shearman氏は同グループの作業についてコメントを控えている。

 「われわれにはビジョンがあり、4倍速が最後ではない」(Shearman氏)

 さらに同氏によると、ハイエンドのグラフィックスカードは一般的に電力消費量もかなり多く(その仕様によっては最大110ワット)なるが、PCI-X仕様と違ってAGP Pro仕様はこれを活用するようデザインされているという。同氏はさらに、AGPのライセンスは使用料がかからないが、PCI SIGでは、ボリュームディスカウントを適用しても1ライセンスあたり25ドルを徴収するとしている。

 Tipley氏は業界からの熱心な反応を予測したが、入稿時にチップメーカーやOEMからフィードバックを得ることはできなかった。NvidiaとSunの幹部からは企業の見解をすぐに得ることはできず、Appleの幹部には連絡が取れなかった。

[英文記事]
PCI-X Challenges Intel's AGP In Workstations

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