サーバ用に最適化された新VMware

2000/12/12

 ネットワールドは12月11日に都内で発表会を開き、サーバ版VMwareの「VMware GSX Server」(以下GSX Server)および「VMware ESX Server」(以下ESX Server)を発表した。

 VMwareは、LinuxあるいはWindows NT 4.0/2000(ホストOSと呼ぶ)上に仮想的なx86 PC環境(バーチャルマシン)を構築するPCエミュレーションソフトである。バーチャルマシンは通常のPC/AT互換機として振る舞い、WindowsやLinux、BeOSなどのx86用OSをインストールできる。つまり、ホストOSのウィンドウ内でさらに他のOS(ゲストOS)を実行するのである。

 スタンフォード大学で行われていたサーバOSの研究をベースにした製品で、1999年5月にLinux版が発売された。その後Windows NT/2000版が追加され、現在では世界100か国以上で50万の登録ユーザーを獲得したという。VMwareの国内総代理店であるネットワールドによると、現時点ではWindows NT/2000版が過半数を占めている。

Webブラウザからバーチャルマシンの状態を見たり起動や中断を制御できる

 今回発表されたGSX Serverは、複数のバーチャルマシンを同時に実行することを前提としており(従来製品でも同時実行は可能)、バーチャルマシンをリモート管理するWebベースのインターフェイスが追加されている。Webブラウザで各バーチャルマシンを起動、終了、サスペンドできるほか、CPU負荷などの状態監視が可能。なお、機能上の制限はないが、同時に実行するOSは1CPUにつき4つまでを推奨するとしている。

 また、サーバ上で稼働しているバーチャルマシンの画面をほかのマシンに表示させ、バーチャルマシンで稼働しているゲストOSをリモートで直接操作できる。UNIXのXサーバ、Windows NT/2000のTerminal Server/Serviceに近い機能といえる。ただし、Terminal Server/Serviceなどとは異なり、画面データは圧縮せずにそのまま転送するので広帯域ネットワーク上である必要がある。

サーバ上で稼働しているゲストOSをクライアントPCで表示しているところ

 管理タスク用APIを装備し、Perlでスクリプト制御できる点もサーバ版のみの機能。スクリプトでバーチャルマシンの生成や起動/停止、設定変更やホストOSおよびバーチャルマシンのモニタリングなどが可能。さらに、仮想ディスクの最大容量は64GBに拡張されている(従来製品は2GBまで)。

 ESX Serverも管理機能などに関してはGSX Serverと同様だが、ホストOSを必要とせず、ゲストOSがハードウェアのネイティブパフォーマンスを享受できる。現行のVMwareおよびGSX ServerはホストOS用のアプリケーションソフトであるのに対し、ESX Serverは「VMwareカーネル」を持ち、ハードウェアに直接インストールする。つまり、アプリケーションソフトではなく、OSに相当する機能をVMware自体が備えているということだ。ただし、VMware社のCEOであるダイアン・グリーン氏によると、ESX Serverは「OSではない」としている。

 GSX Serverは、基本価格が36万4000円でアカデミック価格が14万6000円。2001年1月下旬にLinux版が出荷される予定。Windows NT/2000版も予定されており、出荷時期は2001年第2四半期。

 ESX Serverは、米国では使用量課金制のライセンス方式(1か月あたり2万ドル)が採用されているが、日本では通常のライセンス方式での販売となる。価格は搭載CPU数に依存し、1CPUあたりGSX Serverの1.6倍と設定されている。また、有償サポートサービスの購入が必須となる。また、米国と同様の使用量課金制ライセンスをGSX ServerおよびESX Serverで提供する予定としている。

 ちなみに、TurboLinux Workstationにバンドルされていた「VMware Express」の単体発売も発表された。同製品はVMwareのサブセット版で、ホストOSはLinux、ゲストOSはWindows 95あるいは98のみに限定したもの。またサスペンド機能やSCSI仮想ディスク機能も省略されている。

 価格はパッケージ版が1万9000円(ダウンロード版は未定)で、12月11日より出荷が開始されている。

[関連リンク]
ネットワールドのVMwareページ
VMware Inc.

 

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