半導体ディスクで性能を倍にする製品が日本HPから

2001/1/27

「Excellerator 800 Ultra」

 日本ヒューレット・パッカードは、ファイル・キャッシュ製品ベンダーである米ソリッド・データ・システムズの半導体ディスクの販売を開始する。米HPとソリッド社は、2000年10月に世界規模での再販・サポート契約を結んでおり、日本HPの発表は同契約を日本国内で展開するもの。

 今回日本HPが取り扱いを開始するのは、サーバのパフォーマンスを増大する半導体ディスク「Excellerator」シリーズ。増加の一途をたどるトランザクションに対しパフォーマンスを向上させるために、これまでサーバを追加したり、I/Oバスの拡張といった手法が多く取られてきたが、ソリッド社は、ファイル・キャッシュとなるこの半導体ディスクをサーバの後ろに設置する手法をとる。

 「トランザクションのボトルネックになっているのはI/O(出入力)処理の部分。弊社では、メールサーバならメッセージ・キューのようなアクセスの多いファイル(=ホットファイル)を探し出し、半導体ディスクに格納する。これによりサーバ複数台に匹敵するパフォーマンスが期待できる」と来日したソリッド・データの副社長デューク・ランバート(Duke Lambert)氏。データ全体の5%に満たないホットファイルには、50%以上のアクセスがあるという。

ソリッド・データ・システムズ副社長 デューク・ランバート氏

 ディスクドライブの平均アクセスタイムが数ミリ秒であるのに対し、同社の半導体ディスクは0.014ミリ秒と短いため、時間あたりのI/O回数が増加するという。既存のシステムやアプリケーションには透過的に扱われるため、手を加える必要は一切ない。

 日本HPによれば、「Oracle 8i」と組み合わせて行ったベンチマークテストで80%以上の性能改善と報告している。「飛躍的な性能向上と高信頼性」を特徴の1つに挙げる日本HPコンプリメンタリプロダクト事業部ビジネス開発西日本担当マネージャの久保耕平氏は、「専門家のいない環境でも、システム価格の10〜20%の小額の投資で、50〜100%の性能改善が期待できる」という。同社の製品はこれが日本市場初登場ではない。1999年、ロジカ・ジャパン社を通じて約150台採用という稼働実績を持ち、大手移動通信業者の4社中3社がソリッド社の製品を用いているという。

 キャッシュといえば、インクトゥミが提供するようなキャッシュ・サーバが連想されるが、ランバート氏によれば「製品設計のアプローチがまったく逆」という。「キャッシュ・サーバはトラフィックを減らす設計であるのに対し、ファイル・キャッシュ法ではトラフィックを増やす設計」(ランバート氏)。そのため、キャッシュ・サーバではデータの更新は不可能だが、ファイル・キャッシュではキャッシュの上でデータの更新が実現する。同氏によれば、通信系など、アクセスが予測不可能な事業者では、キャッシュ・サーバとファイル・キャッシュを併せて用いる例もあるという。

 日本ではまず、1〜10Gbytes、SCSI対応製品「Excellerator e-100 Ultra」「Excellerator 800 Ultra」を投入。日本HPでは、24時間対応のサポートディスクなどを用意し、販売・サポート活動を展開する。価格は「Excellerator e-100 Ultra」が292万円〜、同800 Ultraが552万円〜。

(編集局 末岡洋子)

[関連リンク]
日本HPの発表資料
米ソリッド・データ・システムズ(英文)

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