.NETとJavaに対応が特徴、HPのECプラットフォーム

2001/3/2

 2月13日、米ヒューレット・パッカードは同社のEC関連のソフトウェア戦略を強化していくと発表した(2月16日付け記事参照)。新ソフトウェア体系は「HP OpenView」「HP Netaction」の2つのコンポーネントから構成されるという。

 1998年以来、「E-Services」という言葉を用いてEC関連のソフトウェアで展開を図ってきた同社だが、今回の新戦略発表で特筆すべきは、同社がミドルウェア――アプリケーション・サーバ技術を新たに手に入れたことだ。

 この分野に関して、HPではこれまで、米BEAシステムズと全世界的パートナーシップを結び、BEAの「WebLogic」アプリケーション・サーバを提供してきた。同社がアプリケーション・サーバのベンダー、米Bluestone社を買収したのが2000年10月、これにより、ミドルウェアの技術の自社内へのとり込みを図った。これにより、IBM(WebSphere)やBEA(WebLogic)、サン・マイクロシステムズ(iPlanet)などがひしめくアプリケーション・サーバ市場に参入することになる。

Rob Nishi氏 Bluestone社では社長を務めていた

 Bluestoneの技術や製品は「HP Netaction」として提供される。「顧客を引きとめるという課題は堅牢なインフラが解決する」と来日したHP Bluestone事業部マーケティング副社長 Rob Nishi氏は語る。Nishi氏は、Bluestoneの特徴について、100% Pure Java、J2EE完全対応、全OSのサポート、サーバを停止させずにアプリケーションの更新ができる「Hot Versioning」などを挙げる。また、デバイスを問わずにコミュニケーションを可能にする独自技術「Universal Listener Framework(ULF)」では、XSLTなどのスタイルシートとXMLサーバを利用して、PDAなどからのメッセージの認識・変換、さらには応答が行えるという(同社はXMLサーバを市場に投入した最初のベンダーでもある)。HPでは、Bluestoneのアプリケーション・サーバを土台に、XML技術、「e-speak」や「process manager」などを統合し、インターネット運用環境として提供する。

 一方の「OpenView」では顧客の使い勝手、“カスタマー・エクスペアリエンス”にフォーカスを当て、ストレージ管理、トランザクション管理など6つのシステム管理に関するコンポーネントで構成されるソリューションとなる。

Patty Azzarello氏

 「Javaと.NETの両方に対応する点と、短期間で稼働できる点で差別化を図って行く」と同社OpenView事業部副社長兼ゼネラル・マネージャ Patty Azzarello氏。同氏によれば、『OpenView』事業は年40%で伸びており、引き続きソフトウェア関連事業に積極的に投資を行っていくという。ソフトウェア事業規模で見ると同社は現在15位。カーリー・フィオリーナ(Carly Fiorina)CEO兼社長の指揮の元で推進されてきた、ハードウェア中心からの体質変換はまだまだ過程にあるといえそうだ。

 現在、アプリケーション・サーバ市場でのBluestoneの世界でのシェアは5%。HPでは同社の世界規模のカスタマー層を軸に、シェア拡大を図るものと思われる。一方で、販売も含めBEA製品のサポートも引き続き続けて行くとしている。また、コミュニティを構築するなどして開発者のサポートにも取り組むことを明らかにした。

 日本での新ソフトウェア体系のプログラム化は2001年の夏に完成する予定。

(編集局 末岡洋子)

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