PtoPプラットフォームは不毛の時期こそ効果的?

2001/4/21
(04/17/01, 7:29 p.m. ET) By Mary Mosquera , InternetWeek

 経済的に難しい状況下、ピア・ツー・ピア(PtoP)ネットワークが企業の効率化を助けてくれるかもしれない。

 PtoPは、音楽ファイル交換サイトのNapsterによって悪評を買ってしまったかもしれない。しかし、大企業向けにファイル共有プラットフォームを提供するベンダー、NextPageでは、PtoPは現在の経済状況と分散コンピューティングの時代にマッチするビジネスモデルだと考えている。それは米国政府に聞けばすぐに分かる。

 米国政府では、Next PageのPtoPエンタープライズコンテンツプラットフォームを利用して、fedstats.netサイトを運営している。同サイトは、70の機関の持つ人口調査データや経済報告などの統計に国民がアクセスできるポイントとなっているサイトだ。

 NextPageのマーケティング担当副社長、Bruce Law氏によると、「米国政府は、中央のサーバに格納する包括的なデータベースを構築する代わり、NextPageのPtoP検索技術を採用して、データがどこからでも取り出せるようにしている」という。

 また、EPA(米環境保護庁)のコンピュータ科学者でFedStats Interagency Task ForceのメンバーでもあるBrand Niemann氏によれば、fedstats.netではPtoP技術の利用により効率化が向上したそうだ。

 「これは、市民がファイルの場所を知ることなく、ナビゲートするだけで必要な情報にアクセスできることを可能にする特筆すべき前進だ」(Niemann氏)

 「NXT 3」e-コンテンツプラットフォームは容易に組織の中に統合できる。Law氏によると、「企業が何かを大々的に変える必要はない」し、情報を更新してfedstats.netに公開する期間を短縮できるという。

 企業が投資を回収可能であることを示すことが求められる時代において、PtoPコンテンツネットワークの導入により、ユーザーは社内のコンテンツを最も効率的な方法で探し出せるようになるのだ。

 Gartner Consultingが先日公表したレポートでも「PtoPコンテンツネットワークを導入する企業は競争上の新たな優位性を獲得するだろう」と、同じような見解を示している。Gartnerのリサーチディレクター、Joe Sweeney氏は、「コンテンツディストリビューションに関して、この新しいモデルが成熟すれば、各組織はPtoPソリューションの柔軟性がさらなる効率化を実現してくれることに気付くだろう」と語った。

 Gartnerのレポートでは、とりわけ、地理的に離れたスタッフがリアルタイムに情報共有する必要が高い企業では、「PtoPコンテンツネットワークソリューションから即座にメリットを得ると思われる」という。

 NextPageのLaw氏によれば、Next Pageの技術は企業のネットワーク上にあるコンピュータの中に隠れてしまったコンテンツの開放を目指すという。これはサイトのタイム・ツー・マーケット(製品化に要する時間)の短縮を実現し、導入期間も数カ月や数年から数週間にまで縮まる。価格は250ユーザーの場合、平均で約8万5000ドル程度だという。

 統計情報がどこに格納されていても取り出してくれる。「複数のサーバからではなく、1カ所から情報を探しているように感じるようになる」(Law氏)

 同じように政府の主要データへのアクセスを簡略化を試みているほかのサイトでは、情報をそのサイトのサーバに格納し、さらなるデータを求めて各機関にリンクを張っているのだという。この場合、サイトは一元管理されたインデックスは持っているが拡張性に欠けるとNextPageのCTO、Tom Ngo氏は言う。「NextPageのようなPtoPプラットフォームは束縛を受けることなく成長できる」(Ngo氏)

 もう1つの例に法律事務所のBaker & McKenzieがある。同事務所では、NextPageの製品を使って、世界中にあるコンピュータに格納された情報を探し出す時間の削減に成功しているという。

 Law氏によれば、サーバベースのコンテンツプラットフォームでの場合、コンテンツ管理、Verityのような検索エンジン、そしてこれらをバックエンドでまとめるデータベースが必要だという。「これらを揃えるだけで数百万ドルの支出を余儀なくされる」と同氏。NextPageのPtoPバージョンならば概算で25万〜50万ドルだという。

 「われわれは、小グループのユーザーを接続するだけでなく、大規模な部署の相互接続も実現し、現場の管理や分散処理を活用している」(Ngo氏)。さらには、企業のコンテンツは、企業の壁を越えてビジネスパートナーやベンダー各社などの他社にも公開することができるという。

 製品はセキュリティと認証にも対処しており、所有者が自分のコンテンツをコントロールできるようにしている。

 Law氏は政府との契約が同社のプロフィールを強化してくれると期待している。NextPageはすでに、Ernst & Young、KPMG、ABN AMRO Bank、および医療関連企業のHCAなどのカスタマーを持つ。

[英文記事]
P-To-P Can Be Efficient Solution For Lean Times

[関連記事]
初の企業向けPtoPソフトを発表、Groove Networks (@ITNews)
PtoPを利用したセキュリティASPサービス開始 (@ITNews)
PtoPベンダーの課題は価値の証明 (TechWeb/@ITNews)
サンのPtoPは「JXTA」、ビル・ジョイが発表 (@ITNews)

Copyright(c) 2000 CMP Media LLC. All rights reserved

情報をお寄せください:



@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)