松下、本体とディスプレイをワイヤレス接続するPCを発売

2001/6/27

左側が液晶ディスプレイ部「AirLC」、右側がPC本体部

 松下電器産業は、6月26日、PC本体と液晶ディスプレイ間をワイヤレスで接続する「PRONOTE AirFG」を発表した。主に企業向けを想定しており、6月27日から受注を開始し、10月ごろの出荷を予定している。価格はオープンプライス。また、個人ユーザー向けには、松下ネットワークマーケティングが運営するオンラインショッピングサイト「パナセンス」でのみ受注を受け付ける。価格は34万5000円で、納期は10月中旬以降となる。

 PRONOTE AirFGは、PC本体と800×600ドット表示に対応した8.4インチタッチパネル式微透過型液晶ディスプレイ「AirLC」とで構成される。ディスプレイとPC間のワイヤレス接続にはIEEE 802.11bを採用している。通信速度は11Mbpsで、有効距離は最大50mとなる。また、PC本体のビデオ出力の変化した部分を検出し、データを圧縮して転送することで、ワイヤレス高速転送を実現(1画面をフル転送しても2秒以下)した。

 直射日光下での視認性を高めるために微透過型液晶を採用し、AR処理により写り込みを低減している。さらにバックライトも搭載しているので、暗いところでの作業でも問題はない。AirLCは、スクリーンキャプチャ機能を備えており、AirLC側に最大100画面を保存できる。AirLCは8MBのSDRAMを搭載している。

 本体部は超低電圧版Pentium III 300MHzを採用し、メモリは64MB(最大192MB)、HDDは1.8インチで容量5GB。チップセットはIntel 815EMで、PCカードスロットはType 2×1。リチウムイオンバッテリを2つ装備しており、電源を切らずにバッテリの交換が可能。OSはWindows 98 Second Editionを採用した。

 高さ1.2mからの落下にも耐え得る堅牢設計で、本体筐体にはアルミニウム合金を使用し、HDDは衝撃吸収剤で保護。液晶ディスプレイ部分は、筐体にマグネシウム合金を採用するほか、衝撃吸収両面スポンジ、破損防止インターナルダンパーで保護している。これにより、米国国防総省の軍事品に採用する性能試験であるMIL規格の1つであるMIL-STD-810E 516.4-I-3.1.4や、防滴試験(IEC 529 IPX4/JIS C0920)に耐えられるようになっている。

白バイ警官にふんしたモデルによる利用デモ。タンク部分にAirLCを装着し、スタイラスで操作する

 サイズは、AirLCが222×162×12.5〜29.5mm、重量は698g。バッテリ駆動時間は約5時間(バックライトOFF時)、約2.5時間(バックライトON時)。PC本体部は200×91.6×52mm、重量は920g。バッテリ駆動時間は4時間。

 同社では、これまでPCの利用が難しかったバイクや自転車などへの車載用途、工場や屋外での点検・保守市場を新たに開拓し、GPSのオプションのなどの提供により、さまざまなニーズに応えていく。従来ビジネス向けのPCは北米先行でスタートし、日本市場へと拡大していたが、今回は日米欧同時発表となった。国内では年間5000台、北米では1万5000〜2万台、欧州では1万台の出荷を予定している。

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