企業システムと統合可能なASP型CRM、セールスフォース

2002/4/13

 セールスフォース・ドットコムは4月12日、2月1日よりオンラインサービスを開始している同社の「salesforce.com Enterprise Edition」に関連するサービスと機能を順次リリースすると発表した。

 「Enterprise Edition」は、1000ユーザー規模の企業を対象にしたオンラインCRMサービスで、「Professional Edition」の上位版。このバージョンでは、ERPなどのユーザー企業の既存社内システムやPDAなどのモバイル機器と接続、連携するための“XML API”が用意されている。

米セールスフォース・ドットコムのマーク・ベニオフ会長・社長兼CEO

 今回同社はまず、このEnterprise EditionのXML APIを呼び出し、企業システムと各種データをやり取りするプログラムを作成する、「Webサービスインテグレーションキット」を4月15日よりリリースを開始すると発表した。

 また、Enterprise Editionがターゲットとする大企業ユーザーでは、salesforce.comを導入する場合、自社システムなどとのインテグレーションやコンサルティングのニーズが高いことから、システム・インテグレータと業務提携を促進し、有償のテクニカルサポートを行うことも発表した。

 これとは別に、外出先や移動中でもsalesforce.comの使用を可能にする「Offline Edition」のサービス開始もアナウンスされた。これはオフラインのPC(Microsoft Internet Explorer 5.5以上で動作)で、salesforce.comと同じ使い勝手のインターフェイスを利用して、顧客情報や商談情報の参照・更新などを行うことができるソフトウェア。オフィスやホテルからインターネットに接続することで、サーバ上のsalesforce.comのデータと同期を取り、情報の更新が行える。Offline Editionは、Enterprise Editionでは標準サービスとして提供され、Professional Editionでは1ユーザー月額2500円の追加料金が必要となる。リリースは2002年7月の予定。

 さらに、salesforce.comのマーケティング機能を拡張する「Campaign Management」機能、顧客へのサポートサービスを提供する「Self-Service機能」も発表された。

 「Campaign Management」は、マーケティング活動の計画・立案・実行・効果測定を管理し、効果的なマーケティングオートメーションを可能にする製品。「Self-Service機能」は、顧客の問い合わせなどにより企業のサポート部門などに蓄積されているナレッジを、ほかの顧客が自分自身でWebページなどから利用できるようにする製品。双方ともEnterprise Editionでは基本機能として含まれており、リリースは2002年5月後半の予定だ。

セールスフォース・ドットコム 北村彰代表取締役社長

 セールスフォース・ドットコムの北村彰代表取締役社長は、「当初ASPは中小企業向けと考えていたが、大企業でもアレルギーはない。しかし、大企業への導入はシステム・インテグレーションが必要であり、またCRMという文化を導入するのが難しいことからコンサルティングが必要だ。そのため、システム・インテグレータとの業務提携を広く推進し、顧客企業をサポートしていく」と述べた。

 米セールスフォース・ドットコムのマーク・ベニオフ(Marc Benioff)会長・社長兼CEOは、「従来のクライアント/サーバ型の企業システムはコストとリスクが高すぎる。新しいエンタープライズ方式が必要であり、われわれは真の顧客中心のインフォーメーションユーティリティを提供できる」と、ASPモデルの今後の成長に自信を見せた。

 なお、米セールスフォース・ドットコムのマーケティング上級副社長、キャリー・フルブライト氏は、Enterprise Editionにバックオフィスアプリケーションの機能を盛り込んだ「E-Business Suite」を年末に発表できると語っている。価格は1ユーザー月額195ドル。

■今回業務提携を発表したパートナー
日本電気
NECソフト
日立製作所
日立ソフトウェアエンジニアリング
東芝

■有償テクニカルサポートプログラム
システムインテグレータ向け XML APIテクニカルサポート:年間250万円

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セールスフォース・ドットコム

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