[Interview]
我々のメッセージング・システムは、セキュアで簡単な管理環境を提供する

2002/6/25

 メールなどのメッセージング・サービスは、もはや企業の基幹システムとして重要になったといっても過言ではない。そこに求められるものは、添付ファイルの巨大化や件数の増加に対応できるスケーラビリティや信頼性、それにウイルス/スパム対策といった各種フィルタリング機能など、多岐にわたる。

 ミラポイントは、そのように大規模化/複雑化するメッセージング分野において各種機能をまとめ、アプライアンス機器として提供を行っているメッセージング・アプライアンス専業ベンダである。今回は、米ミラポイント 社長兼CEOのサティシュ・ラマチャンドラン(Satish Ramachandran)氏と、日本法人であるミラポイント ジャパン 代表取締役社長の山口一郎氏に、メッセージング市場の現状と将来の展望、そして同社の戦略について話を聞いた。


――いま、メッセージングの市場で何が起きているのでしょうか?

米ミラポイント 社長兼CEOのサティシュ・ラマチャンドラン氏

ラマチャンドラン氏 例えば、我々の顧客であるxSPなどの事業者に注目してみましょう。現在、彼らが抱える大きなチャレンジというのは、彼らのユーザーや提供すべきサービスの種類がどんどん増えているのに対し、そこに割くべき予算や努力はどんどん削減されてしまっていること。つまり、少ない力でより大きなことをしなければならないことなのです。またメッセージング・サービス自体も、これまで利用料フリーだったメール・サービスの特定項目については課金したり、ウイルス対策を行ったり、ジャンクやSPAMメールなどのフィルタリングを行う必要があったりと、より複雑化してきているのが現状です。つまり、これらすべてのサービスを提供するために、マルチ・サービス対応のメッセージング・プラットフォームが求められているわけです。

――現状のシステムに何か問題があるのでしょうか?

ラマチャンドラン氏 プラットフォームというのは、1つの確立されたシステムであるべきです。システムであるとは、航空会社で座席を買うのと同じく、ユーザーが「ビジネス・クラスかエコノミー・クラスかを選択するだけでいい」という、完成された商品であることです。残念ながら現在のシステムでは、ユーザーはシートやタイヤなどの部品を買い集めて、自分で組み立てなければなりません。ミラポイントでは、すでに離陸の準備ができた飛行機を提供して、後はどのようなサービスを自身のユーザーに展開していくかを考えればいいだけです。

――アプライアンス機器ならではのメリットですね。そのほかに特徴はあるのでしょうか?

ラマチャンドラン氏 “メッセージング”は、今日のネットワーク環境において最も重要で最大のアプリケーションだといえるでしょう。そこに求められるのは、基幹アプリケーションのような“Continuum(継続的)”なスムーズさです。我々の製品では、メッセージング環境を段階的に、しかもスムーズに、機器の追加で小さな環境から大きな環境へと拡張していくことが可能です。また、「この人数ならこの負荷がかかるから、このようにシステムを構築していこう」という事前予測がきちんとできるのも強みです。ほかの製品にはできないメリットでしょう。

――現在日本では、iモードが人気を集めていたり、3Gの携帯電話サービスが開始されたりと、携帯電話によるメール送受信が当たり前になってきています。米国の状況を含め、この分野について、どのように考えていますか?

ラマチャンドラン氏 米国の携帯電話分野の現状は、日本やヨーロッパに比べて大変遅れています。ですが、もうしばらくすれば、iモードのようなサービスがやってくることでしょう。ここでPDAや携帯電話などのワイヤレス機器について重要なポイントが2つあります。1つは、フィルタリングの必要性。昔はショート・メッセージをやりとりする単純なものでしたが、現在では重い写真データやウイルス、SPAMといったものに対して対策を講じなければなりません。これら付加サービスは、当然提供されるべきものです。もう1つが、将来的なメッセージのマルチメディア化です。メッセージング・システムには、これからの爆発的トラフィックに耐えるだけのスケーラビリティが求められることになります。

――先日、ミラポイント製品向けのiモード対応エクステンションの提供を開始しましたが、これからも世界の地域ごとに、こういった独自の追加オプションを提供していくのでしょうか?

ラマチャンドラン氏 携帯電話規格のターゲットとしているのは、いまのところiモードと欧州圏のMMS(Multimedia Message Service)の2つだけです。日本には、ほかにもJ-PHONEなどがありますが、こちらは親会社が(欧州にある)ボーダフォンですので、MMSに対応することになるでしょう。この2つの規格さえカバーすれば、全世界の80〜90%の端末に対応できることになります。また、地域ごとのビジネス展開についてですが、こちらは特に市場ごとに戦略を変えるつもりはありません。もちろん、ローカライズといった作業は必要ですが。

――日本市場での導入実績や今後数年間の戦略についてお話ください

ラマチャンドラン氏 現在、ミラポイント ジャパンで実績のある企業規模は、ミッドレンジからハイエンドの位置付けです。ミラポイントの強みは、ローエンドからハイエンドまですべての領域をカバーできることですから、今後はパートナーやOEMを強化して、ローエンドにあたる企業に積極的にアプローチしていくつもりです。

ミラポイント ジャパン 代表取締役社長の山口一郎氏

山口氏 ミラポイントが現在ターゲット・セグメントとしているのは、大学、企業、政府、xSPなどです。大学については、地方の情報化のオピニオン・リーダーの役割を担っていることが多いですから、ここで認められて実績を持つことは重要です。また企業などのエンタープライズ分野は、いまでこそ状況が厳しいものの、これから企業統合や売却といった場面でシステムの見直しに入る可能性が高く、ここが狙い目といえます。xSPについては、ウイルス除去といった付加サービスの部分がポイントです

――大学の分野がいちばん導入実績が高いのですか?

山口氏 そうです。ある国立大学に導入した事例では、それまでUNIXベースで管理していたメール・システムをミラポイントのシステムに移行しました。ここでは、約3000人のユーザーを0.5人で管理していると聞きます。大学など入れ替わりの激しいところですから、ユーザー管理のために割く工数も大変です。このあたりをまとめて簡単に管理できるのもミラポイントの強みです。これは普通の企業でもいえることで、セキュリティ・ホールが発覚するたびに管理者がこまめにパッチをあてたり、人員の異動や退職で管理者がいなくなってしまって、後任の方が管理について途方に暮れる、といったことは多いはずです。セキュアで簡単な管理環境を提供するのが、我々の製品です。

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