[SODEC開催]
ソフトウェアの重要性が増す中でUMLに大きな関心が

2002/6/29

.NET構想の行方を左右する「VisualStudio .NET」をこの3月に販売開始したマイクロソフトは、巨大なブースを構え開発者にアピール。ブースの片隅には.NET移行支援センターを設け、既存VBユーザからJavaユーザまでをターゲットに、各種サービスを紹介していた

 6月28日まで開催された「ソフトウェア開発環境展」(通称:SODEC、(主催はリードエグジビジョン ジャパン)、11回目を迎える今年は、これまで以上の盛り上がりとなった。出展社数は130社で過去最大の数。これは、銀行システムの障害が与えた社会的影響に代弁されるように、企業のビジネスに情報システムやアプリケーションが占める割合が大きくなり、動くシステムを短期間に構築するニーズがこれまでになく高まっていることが背景にあるといえよう。

 同イベントは、ソフトウェアの開発から保守や運用を行う製品や技術を集め、「プロジェクト管理」「帳票作成ツール/電子帳票システム」「受託開発・コンサルティング」の3ゾーン構成で展示が行われた。その中から目立ったブースを紹介する。

「ILOG JRules」を用いてセルフサービス型CRMを構築した例 (クリックで拡大)

 ルールエンジン「ILOG JRules」を展示していたのはアイログ。ビジネスロジックとアプリケーションコードを分離することにより、ビジネスルールベースでのアプリケーションが展開できる。パーソナライズはアプリケーションの機能として不可欠なものだが、ルールエンジンは属性などの条件を定義することにより、最適な商品やサービスの提供を可能にしてくれる。

 例として、自動車保険自動見積もりサービスのシステムを想定してみる(左写真)。ルールエンジンを導入すると、申込者の自動車の種類や年齢などに応じ、保険の見積もりが瞬時に行えるようになる。また、ルールの変更などの編集作業もオンラインで行える(下写真)。

 この分野の市場は日本ではまだ成熟していないが、インターネット上で動画配信サービスを展開しているパサタは、同社のルールエンジンを用いてCMの選別を行い、視聴者の特性に応じたCM配信を行っているのだそうだ。説明を行った同社 アカウントエグゼクティブ 吉田千達氏によると、「CRMの進んだ金融でのポートフォリオサービスなどを想定している」と言う。

条件文を入力し、ルールを作成する (クリックで拡大)

 今回の主役はUMLといってもいいだろう。UMLの認知が進みつつあるが、同イベントでは、UMLを取り入れたツールを展示している企業が多く、どこも盛況だった。日本ラショナルソフトウェアのブースでは、UMLツールRational Roseを搭載した統合開発環境「Rational Suite」などの製品を展示していた。

この秋発売予定の「Rational XDE Professional v2002」。画面はIBMの「WebSphere Studio Application Developer」と統合した画面例 (クリックで拡大)

 注目は、日本では2月にプレス発表され、この9月に発売を予定している新製品「Rational XDE Professional v2002」。IBMの「WebSphere Studio Application Developer」やマイクロソフトの「VisualStudio .Net」などの開発環境とシームレスに統合されており、ユーザーはソフトウェアの設計とコード記述が同一環境で行える(右写真)。

 UML機能を盛り込んだ開発ツールは増えつつあるが、同社では、細かな利便性よりも一貫した開発工程のサポートを最大の強みとしている。

(編集局 末岡洋子)

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