携帯Javaへの苦しい戦いを続けるクアルコムのBREW

2002/8/31

 携帯電話関連の最新技術を紹介する「MCF モバイル・デベロッパー・コンファレンス 2002」が、8月29日と30日の2日間、東京の青山ダイヤモンドホールで開催された。携帯電話上のアプリケーション実行プラットフォームとしてはJavaが広く利用されているが、カンファレンスではJavaに取って代わろうとする各プラットフォームの紹介が相次いだ。ここでは、その中からクアルコムの取り組みを紹介する。

BREWを紹介するクアルコム ジャパンの常務(執行役員)事業戦略部長 山田純氏。BREWが世界で広く使われていることを強調した

 クアルコム ジャパンの常務(執行役員)事業戦略部長 山田純氏は、「BREWが創る新しいモバイル・インターネット世界」と題して、同社の携帯電話向けの実行プラットフォーム「BREW」の現状などを紹介した。BREWは「Binary Runtime Environment for Wireless」の略で、携帯電話上でC、C++のアプリケーションを実行させることができるプラットフォーム。Javaと比較して、チップと直接データをやりとりすることが可能なため、高速実行を実現できるという。

 山田氏によると、BREWで作成したアプリケーションは最初から携帯電話に組み込まれている電卓などと同程度のスピードで起動でき、「アプリケーションの起動にかかる時間は1秒、実行速度もJavaの数倍のスピード」と、その優位性をアピールした。

 BREWはすでに世界16の携帯電話キャリアが採用。米国、韓国などではすでに商用サービスが始まっている。日本でもKDDIが今年3月にBREWのアプリケーションを組み込んだ携帯電話を発売。来年の第1四半期にはBREWのアプリケーションをネットからダウンロードできる機能を持つ携帯電話を発売する予定だ。

 BREWは、PCのツールと変わらない機能を持つアプリケーションを携帯電話上で実行でき、課金システムなども標準で備えているため、サービス提供会社は比較的簡単にサービスを提供できる。

 しかし、課題もある。BREWはクアルコムのCDMAチップ上でないと実行することはできない。日本では同チップをKDDI以外のキャリアが採用しておらず、対応携帯電話は非常に少ないため、ユーザー数が少なく、コンテンツプロバイダがアプリケーション開発をためらうことが考えられる。

 今後、日本でBREWを普及させたいのであれば、BREWの優位点を訴えるだけではなく、課題となる対応端末やユーザー数の少なさをどう補うのか。その点にかかっているといえそうだ。

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MCFモバイル・デベロッパー・コンファレンス 2002

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