インテルは通信プロセッサでも巨人になるか?

2002/9/5

出荷が開始されたインテルの「低電圧版 インテル Xeon アプリケーション/サービス・プロセッサ」

 インテルは9月4日、2種類の通信分野向けプロセッサを発表した。ブレード・サーバ用に消費電力を従来の半分程度に抑えた「低電圧版 インテル Xeon アプリケーション/サービス・プロセッサ」と、XScaleテクノロジを採用したインテル初のコントロール・プレーン・プロセッサ「インテル IXC1100 コントロール・プレーン・プロセッサ」。インテルは通信システム全般のコンポーネントを対象に広い範囲でプロセッサを提供していく方針で、今回の2製品の発表でロードマップが充実するという。

 低電圧版 インテル Xeon アプリケーション/サービス・プロセッサの特徴は省電力。従来のXeonプロセッサが60W程度で動作するのに対して、30W未満となっている。動作速度は1.6GHz。処理速度と消費電力のバランスを取ることで、ブレード・サーバでの使用に最適になるようチューニングしたという。また、デュアル・プロセッサにも対応している。

インテルの通信営業本部 EIDマーケティング部長 加藤隆弘氏は低電圧版 インテル Xeon アプリケーション/サービス・プロセッサについて、「通信分野に加えてストレージ系のデバイスでも利用が期待できる」という

 想定しているサービスやアプリケーションは、通信分野のルータなどのほか、ストレージ、画像処理、音声処理、セキュリティなどの分野だという。インテルの通信営業本部 EIDマーケティング部長 加藤隆弘氏は、「通信分野のブレード・サーバがターゲットの製品。来年にはこの製品を搭載したブレード・サーバが登場する」と述べた。製品は9月4日から出荷を開始した。

 インテル IXC1100 コントロール・プレーン・プロセッサは、インテルが推奨している組み込み用プロセッサのアーキテクチャであるXScaleテクノロジを採用した。XScaleコアは266、400、533MHz。消費電力は533MHzで2.4Wと省電力設計になっている。パケットの入出力などコア部分を担当するネットワークプロセッサに対して、コントロール・プレーン・プロセッサはIPルーティングや通信プロトコルの制御を行う。ネットワーク・プロセッサをパケットの処理に集中させることで、システム全体の処理速度を高速化させる。

 利用を想定している通信機器はマルチサービス・スイッチや携帯電話基地局、IP電話に利用するVoP(Voice over Packet)ゲートウェイなど。現在サンプル出荷中で10月に正式出荷する予定だ。

 PC、サーバ向けプロセッサの印象が強いインテルだが通信分野でも世界的メーカーだ。インテルによると100社以上がインテルの通信分野向け製品を採用しており、今回発表した2製品もすでに「メーカーから話が来ている」(加藤氏)という。PC向けプロセッサで市場を席巻したように、通信市場向けのプロセッサでもシェアを伸ばし、巨人となれるだろうか。

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インテルの発表資料

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