「統合でIBMに匹敵するITベンダに」、自信満々の新生HP

2002/10/4

新生HPの社長に就任することが決まっているコンパック代表取締役社長の高柳肇氏。「ライバル社のソフトを宣伝するのは違和感がある」と語りながらも、OpenViewのメリットを強調した

 コンパックコンピュータ代表取締役社長で、11月1日に統合する日本ヒューレット・パッカードの新社長に就任する高柳肇氏は、10月3日に開かれたHPのイベント「hp OpenView Universe Tokyo 2002」で、新生HPのソフトウェア事業について、「部門を格上げし、専門部隊化する」と述べ、ソフトウェア事業を中心とするソリューションビジネスを加速させる考えを示した。

 高柳氏はHPのネットワーク、ソリューション管理ソフト「OpenView」について「いまのコンパックから見ると垂ぜんの的だ。統合して販売できるということに興奮する」と高く評価。「新生HPのソリューションの中核はOpenViewになる」と指摘したうえで、「これまで、競合会社の社長としてOpenViewを持っているにもかかわらず、どうしてHPのハードウェアが売れないのか疑問に思っていた。統合後は旧コンパックの総力を挙げてOpenViewを売る」と決意を見せた。また、「ソフト事業ではマルチベンダ環境に大きく投資する」と語り、同社が持つソフトウェアをさまざまなハードウェア、プラットフォームに積極的に対応させていく考えを示した。

 高柳氏は、HPとコンパックの統合作業について「両社はすでに一体となり、営業活動を行っている。統合の準備は着々と進んでいる」と述べ、順調な進捗状況を強調。さらに新生HPについて「UNIXサーバやIAサーバ、ストレージ、PCと、どの切り口でもHPは世界ナンバー1のシェア」だと語り、「統合でIBMに匹敵するITベンダになる。顧客に高い付加価値を提供できる」と統合の意義を説明した。

 hp OpenView Universe Tokyo 2002ではOpenViewのソリューションを説明する講演、セミナーが多数行われた。25社以上の企業が展示を行い、OpenViewの活用法を紹介した。

米HPのOpenView Business Unit General Manager ジム・グラント氏は「日本はサービスマネジメントの分野で世界のリーダーとして実績がある」と述べ、「OpenViewの利用が必要」と訴えた

 その中で、米HPのOpenView Business Unit General Manager ジム・グラント(Jim Grant)氏は、「HP OpenView:サービス管理の実現とビジネス価値の拡大に向けたビジョンと戦略」と題して基調講演を行った。グラント氏はOpenViewの位置づけを、「HP全体の戦略の中で重要な役割を果たす」と説明。OpenViewを利用することで「ネットワークを構築し、Webサーバやアプリケーションサーバ、iDC、ストレージなどを利用する企業に対して、これらを横断的に管理できるようになる」とメリットを挙げ、「OpenViewはネットワークのサービス管理を提供する。このようなソフトは他社にもない」と自信を見せた。

 グラント氏は日本市場についても言及。「OpenViewの全世界の売り上げのうち、日本での売り上げは10%を占める。日本はとても重要な市場だ」と、日本市場を積極的に攻略する姿勢を強調した。

 新生HPについては統合作業のため営業活動が停滞し、今年第2四半期のIAサーバ市場で、HP、コンパックを合わせたシェアが大きく落ち込んだ。スケールメリットを疑問視する声もあるが、新経営陣は組織の改変をきっかけに統合効果を発揮させ、積極的な“攻めの経営”を行う考えのようだ。

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