「N1」は混とんを秩序に変えられるか

2002/11/6

理事、製品・サービス事業統括本部 本部長
ジェームズ・ホワイトモア(James Whitemore)氏

 サンマイクロシステムズは11月1日、次世代データセンター・アーキテクチャ「N1」の記者説明会を開催した。N1については、すでに9月19日(米国時間)、サンのプライベート・イベント「Sun Network Conference」で概要が明らかにされている。各IT専門メディアでも取り上げられている。アットマーク・アイティでもN1に関する分析記事をすでに掲載している(「Sunの新たな戦略:N1とは何か?」を参照)。しかし、IT専門記者の多くは、N1の詳細を把握していないと同社ではみているようだ。

 同社理事、製品・サービス事業統括本部 本部長 ジェームズ・ホワイトモア(James Whitemore)氏は、N1の概念を次のように説明する。「企業システムは異常なほどの複雑さをみせている。まさに無秩序と言っていい。N1はこのような異常なほどに複雑化してしまったシステムを最適化する。ソフトやハードにとらわれず、真にオープンな環境で複雑なシステムを管理できる体系、それがN1だ」。

 N1におけるサンの役割は、テクノロジの開発である。ホワイトモア氏の説明を聞くと、「ではインテグレーションはどうするのか?」という疑問が浮かんでくる。サーバやストレージ、ネットワーク、ソフトウェアなどN1システムを構成する個々のコンポーネントももちろんサンは開発し、提供している。そして、N1の中核であるコンポーネントを統合する技術もサンが開発する。しかし、インテグレーションについて、サンは一切手を出さない。「ここがIBMと最も違う点と言える」とホワイトモア氏は述べた。「インテグレーションを手がけない。さらに言えば、独立したシステム・インテグレータをコントロールさえしないことが逆にサンの強みとなっている」とも言う。

 N1と競合するIBMの次世代システムの概念に「Autonomic Computing(自律型コンピューティング)」がある。サンの言葉を借りると「すべてがIBMの製品によって構成され、インテグレータもIBMの管理を受ける立場にある。それで真にオープンな環境が訪れるのは難しい」。もちろん、サンの認識をそのまま真に受けるわけにはいかないかもしれない。

 N1の中核テクノロジにはどのようなものがあるのか? 例えば「Jini」の応用が考えられる。家電製品をはじめとしたさまざまなデバイスをネットワークに接続する技術として現れたJiniだが、一時期の評判の後、その姿が表舞台に現れることはなかった。しかし、その本領を発揮するのは、N1での使用にあると同社では考えを改めたようだ。

 あるネットワークに接続されたコンポーネントがどのようなOSを搭載し、そのようなスペックなのか、一元的に自動管理するのは非常に困難である。だが、「Jiniのテクノロジには、デバイスのスペックを特定する機能がある。Javaを利用したストレージ管理技術『Jiro』もN1の中核技術の1つとなる」(ホワイトモア氏)という。

(編集局 谷古宇浩司)

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