HPの新ストレージ戦略の要はハードはコンパック、ソフトはHP

2002/11/19

米HPのシニアバイスプレジデント&ゼネラルマネージャ ハワード D. エライアス氏

 日本ヒューレット・パッカードはコンパックコンピュータと統合後のストレージの新戦略「hp Enterprise Network Storage Architecture extended」(ENSAextended)を発表した。コンパック製品を含めて異機種混在環境でのストレージの管理性を高めるOpenViewの新製品を中心に、今後12カ月から18カ月以内にENSAextendedに対応するハードやソフトを相次ぎ出荷する予定。米HPのシニアバイスプレジデント&ゼネラルマネージャ ハワード D. エライアス(Howard D. Elias)氏は、「顧客は最新の機種ではなく、ROI(投資対効果)を向上させる完全なソリューションを望んでいる」と述べ、OpenView製品を強化する考えを示した。

 新戦略のENSAextendedは、コンパックが1998年に発表したストレージアーキテクチャ戦略「ENSA」の「新しいフェイズ」(エライアス氏)に当たり、もともとHPが持っていたストレージ製品と統合した。ENSAextendedは「ビジネスの視点から顧客がストレージをコントロールできる」(エライアス氏)を基本コンセプトに開発。ストレージ対する集中管理を簡単にしたり、自動復元、自己調整、拡張性を提供する。

 ENSAextendedで提供される機能の中心となるのが、「アクティブ インテリジェント マネジメント」。ユーザーが設定した運用ポリシーに基づいて、ストレージ・リソースやデータの管理を自動化して、ユーザー自身によるコントロールを容易にする。アクティブ インテリジェント マネジメントに対応した製品を使うことで、あらかじめ設定したサービスレベルを維持することができ、エンジニアによるメンテナンス作業などをできるだけ避け、コストの削減を図ることができる。

 米HPはENSAextendedを採用した製品としてアプリケーションやユーザーに対するストレージ・リソースの割り当てを自動化するOpenViewの新製品「Storage Provisioner」を、11月19日に発表する予定。日本HPも同21日に発表する。HPは、前述したとおり、今後12カ月から18カ月以内にENSAextendedを実現するOpenViewの新製品を相次ぎ出荷する予定だ。

 日本HPの代表取締役会長に就任した寺澤正雄氏はストレージ市場について、「記憶容量当たりの価格は1年で半額になっている。このように、価格競争は厳しいが、コストパフォーマンスをさらに追求する必要がある」と述べ、価格面も重要な他社との競争の要素になるとの考えを示し、「ストレージはゼロサムゲーム」と市場の厳しさを指摘した。

 エライアス氏はストレージ市場でのライバルとして「オンラインストレージではEMC、ソフトではEMCとベリタス」を挙げつつも、「あらゆるところで競合しているのがIBM」と述べた。そのうえで「HPが勝利できる単純な理由がある。完全なソリューションを提供できることと、他社よりもオープン化を進めていることだ」とENSAextendedの展開に自信を示した。コンパック製品を統合して、運用管理ソフトにOpenViewを採用したHPの新ストレージ。エライアス氏は「旧HP製品、旧コンパック製品の区別はすでにない」という。ENSAextendedを完全に生かすことができれば、大きな合併効果が期待できる。今後登場するOpenViewの新製品に注目が集まりそうだ。

(垣内郁栄)

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日本ヒューレット・パッカードの発表資料

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