Notes/Dominoの限界を訴え、移行を迫るベンダの主張
2002/11/26
日本IBMのグループウェア「Notes/Domino」から別のグループウェアへの移行を迫るソフトベンダやシステム・インテグレータ（SI）の営業活動が活発化しているようだ。このきっかけとなったのは、国内で広く利用されているNotes/Domino R4.6のサポートが、来年1月末をもって終了すること。これまでNotes/Dominoを利用してきた企業の多くは、そのままバージョンアップを行うか、ほかのグループウェアに切り替えるかの選択を迫られているのだ。
伊藤忠テクノサイエンス（CTC）は11月25日、Notes/Dominoユーザー向けにNTTデータイントラマートが開発したグループウェア「イントラマート」を紹介するセミナーを開催した。CTCのe-ビジネス推進本部 e.com営業推進部 リーダ 永田孝哉氏は、Notes/Domino R4.6を使っている企業が、国内で約3500社あると説明。現在のNotes/Dominを利用するユーザーが気になることとして、「パフォーマンスが良くないこと、Notesアプリケーションが肥大化して整理統合が困難なこと、ほかのシステムとの連携が難しいこと」などを挙げた。
企業が今後のシステム構築で目指す主な方向性として永田氏は、「社内外のシステム連携や企業ポータルの構築、ドキュメント管理と高速検索などを重要視している」と述べて、「ERPなど社内の基幹システムとグループウェアを連携させたいという顧客企業が特に多い」と、企業側のニーズがNotes/Domino以外のグループウェアを必要としていると説明した。
CTCがサン・マイクロシステムズや日立製作所グループなどと企業への導入を勧めているグループウェアは、イントラマート。イントラマートはJavaで作られ、ほかのアプリケーションとの連携や基幹システムとのデータ連携が容易だという。OSに依存することなく、マルチベンダ環境で動作するなどの特徴がある。価格は「ほかのグループウェアに比べるとかなり安い」（永田氏）という80万円から。すでに1000社以上が導入しているという。
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| NTTデータイントラマートの代表取締役社長 中山義人氏 |
NTTデータイントラマートの代表取締役社長 中山義人氏は、「グループウェアは今後、全社的な大規模クライアントや24時間連続稼働、基幹システム連携の強化など“ラージスケール”への対応が必須」と述べ、「Notes/Dominoのこれ以上の拡張は限界がある」と指摘した。
イントラマートはJavaで構築されたWebベースのグループウェア。グループウェアで必要とされる機能をモジュール化して、カスタマイズを簡単にしている。ERPなどと連携した企業ポータルの構築や、携帯電話、PDA向けの情報配信にも対応している。J2EEのフレームワークを採用し、ソースコードを公開することで顧客企業のビジネスに合わせたカスタマイズを容易にしている。中山氏は「求められているのは、将来性のあるオープンな新しいシステム構築基盤だ」と述べて、Notes/Dominoからイントラマートへの移行を呼びかけた。
Notes/Dominoからの移行を促しているのは、CTCだけではない。マイクロソフトは9月にNotes/Dominoのディレクトリ情報を「Microsoft Active Directory」に移行できるツール「Active Directory Converter for Lotus Notes」を発表。Notes/Domino R4.6を利用している企業を中心に、マイクロソフト環境にスムーズに移行できることを訴えている。
対する日本IBMは10月に最新版の「Notes/Domino 6」の出荷を開始。国内企業で長く使われてきたNotes/Dominoが企業の文化となっていることや、セキュリティの強固さをアピールして、顧客企業の流出を全力で防ぐ考えだ。
（垣内郁栄）
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