[eWEEK] eWEEKによる「JBuilder 8」の徹底機能分析

2003/1/7
by Peter Coffee

 ボーランドソフトウェアの「JBuilder 8」は、マイクロソフトの.NETプラットフォームという一枚岩に立ち向かいながら、Java開発コミュニティの競合の厳しさをもくぐり抜ける稀有(けう)な存在だ。とはいえ、eWEEKラボが6月にレビューを行い、11月にリリースされたJBuilder 8には、バージョン7から大幅に改善されていたものの、前回のアップデートほど、強い興味を持つことができなかったのも事実である。

 ボーランドでは、オープンなJavaコミュニティの成果を、JBuilderのフレームワークに吸収して欲しいとする顧客のニーズにフォーカスしてきている。そのおかげか、未加工コードやVisual CafeからJBuilderプロジェクトを生成するといった(煩雑な)作業の合理化を達成している。一方、バージョン8は利便性の向上にも取り組んだが、その代償としてリソースに対する要求が大幅に高まってしまった。256Mバイトものメモリを搭載していても息切れを感じさせるツールは同製品が初めてである。

 Smalltalk開発システムの高い統合性に甘やかされてきた人でも、あるメソッドや、クラスのインスタンス中にあるデータフィールドのコンテンツに対する参照など、JBuilderの優れたアクセス性には気分が良くなることだろう。開発ツールがこのような情報を大量に提供するようになると、関連するものを検索によってを探し出さなければならない対象が急激に膨れあがるものだが、JBuilder 8は一貫してツリー構造を採用しているため、使い方を容易に習得できるようになっているのである。

 Smalltalkといえば、このカテゴリ定義型オブジェクト指向言語を一度でも使ったことのある人ならば、JBuilder 8でオンザフライの修正作業、リコンパイル、インタープリタ環境のような継続デバッグ実現に向け採用された「Java Development Kit 1.4 Hot Swap」技術を称賛することになるだろう。Smalltalkと同じように、これは結果として自分に対する脳外科手術と同じ威力とリスクを伴うが、あって損のないオプションだ。

 Smalltalkユーザーならば、インタラクティブアプリケーション用のMVC(モデル・ビュー・コントローラ)デザインパターンにも見覚えがあるはずだ。JBuilder 8ではApache Jakarta ProjectのMVCフレームワーク「Struts」をベースにした各種Borlandツールを提供している。

 JBuilder 8は、われわれが見てきたツールセットの中で、ハードウェア要件として512MバイトのRAM(最低でも256Mバイト)を推奨する初めての製品だ。デベロッパなら、これだけのリソースのほとんどが利用されるという事実に気付くはずだし、ハードウェアの構成にお金をかけないと、ある程度以上のプロジェクトに大きな遅れが出ることは必至である。

 JBuilder 8の生産性向上機能だが、テストでの実際の動きは大々的に宣伝されているほどではなかった。例えば、ソースコードエディタのカスタマイズ対応再フォーマット機能は、改行などの規定スタイルを統一してくれるとのふれこみだったが、バラバラで荒れ放題のコードを判読可能なものに変換してくれるのでは、とのわれわれの期待に応えることはできなかった。潜在的に魅力的なこの機能には、改善の余地がかなり残されている。

 各種Webサービスツールは、JBuilder 7を導入するデベロッパに対して、ダウンロードツールキットの形で個々に提供されていたが、バージョン8ではこれがパッケージに含まれるようになっている。JBuilder 8では「Borland Enterprise Server」、BEAシステムズの「WebLogic Server」、IBMの「WebSphere」、サン・マイクロシステムズの「Sun Open Net Environment」、そしてサイベースの「Enterprise Application Server」を全般的にサポートしており、同社のデベロッパ・ネットワークサイトではアプリケーションサーバのサポートコードの追加も約束している。

 簡素化されたWebアプリケーションウィザードは、ApacheのCocoon XMLパブリッシングフレームワークとStrutsで自動アシスタントを提供している。だが、使用するフレームワークにかかわらず、バージョン7で絶賛したUMLとの素晴らしい統合は、JBuilder 8で取り組むことになるであろう一段と複雑なプロジェクトの進行時にもデベロッパを支援してくれる。

【エグゼクティブサマリ】

 JBuilder 8は、マルチベンダJava市場への対応を実現しながら、マイクロソフトの.NETのようにアプリケーション開発に対して明確な経路を示すという難易度が高い課題に取り組んでいる。その結果、登場したのがハードウェア要件として512MバイトのRAM搭載を推奨するといった、リソースに対する史上最も高い要求である。だが、そのポテンシャルを完全に発揮するには、これだけのリソースが必要なことは、われわれのテストでも十分証明されている。適切なリソースがあれば、デベロッパはJBuilder 8が、Javaベースの多くのフレームワーク用にうまく統合されたツールであり、全体的に優れた使いやすさを併せ持つ開発環境だと感じるだろう。

【コスト分析】

 399ドルの「Standard Edition」からエンタープライズ向けである3999ドルの「Performance Bundle」までのパッケージをそろえたJBuilder 8は、無償Javaツールから乗り換える対象として有力な製品だ。ほかのプロバイダ各社と同等のハイエンド統合機能も提供している。バージョン8で非常に重要なのが、ほかのツールセットからの移行を促すことに重点が置かれている点で、担当者のコスト削減分はBorlandツールの購入価格を基本的に相殺し、その後の生産性は純粋な利益へとつながっていくだろう。

 プラス要因として、Javaコミュニティによるパワフルなアプリケーションフレームワークの作成と歩調を合わせ、能率的な自動支援機能を提供し、チームの生産性とコミュニティ標準への準拠に重点を置いている点が挙げられる。一方、マイナス要因としては、ハードウェアに対する要求が高く、機能を詰め過ぎた点かもしれない。エンタープライズレベルの作業負荷ではデモほどうまく機能しないかもしれない。

[英文記事]
JBuilder Doesn't Revolutionize:But latest version strengthens java-based management features.

[関連リンク]
ボーランド

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