国際化ドメイン名、あなたは日本語を使いますか?

2003/1/17

会見場で餅つきの図。意図は不明。一番左が米ベリサイン バイスプレジデントのグレイディー・ニール・エドワーズ(Grady Neil Edwards)氏
  現在、世界のインターネット・ユーザーは約6億6500万人、そのうち63.5%は英語を話せない(もちろん書けないし、読めないも含まれる)といわれている。しかし、インターネットの標準的な表記は英語だ。ホームページや電子メールのドメイン名は英語で表記されている。せめてドメイン名くらい母国語で表記できないものか、と悩むインターネット・ユーザーは多いかもしれない。ベリサインがそのニーズにこたえるサービスを国内で本格的に展開する。

 ベリサインは1月16日、英語圏以外のインターネット・ユーザーが望みの言語でWebブラウジングと電子メールの送受信を可能にするサービスを国内で本格的に開始したと発表した。現段階で、世界40社以上のドメイン名登録機関が、同社の国際化ドメイン名(IDN/英語以外の文字を使ったドメイン名)を販売している。国内では、日本ベリサインを窓口にするほか、グルーバルメディアオンライン(GMO)、国際調達情報(PSIジャパン)ともパートナーシップを結んだ。
 
 このサービスは、Webブラウザのプラグインソフト「i-Nav」を活用したWebベースのナビゲーション・サービスを通じて、日本語によるドメイン指定のサービスを展開するもの。日本国内においては、例えば、「http://○○○.com」の○○○(ドメイン名)に日本語を指定することが可能(もちろんほかの言語でも構わない)だ。登録したドメイン名は、ベリサインが世界13カ所に設置したDNSサーバ拠点にインストールされ、各国の言語で.comおよび.netドメインを登録したユーザーをナビゲートすることが可能になる。ただし、英語以外のドメインを指定するには、「i-Nav」プラグインをインストールする必要がある。ちなみに、「i-Nav」は現在、.com、.netなどの国際的なドメインだけではなく、.krや.jpといったトップレベルドメインをサポートしており、2003年中には、ccTLD(Country Code Top Level Domains)やgTLD(generic Top Level Domains)もサポートする予定である。

 つまり、株式会社アットマーク・アイティが@ITのドメイン名に「アットマーク・アイティ」と登録した場合、「i-Nav」をインストールしたWebブラウザで「http://アットマーク・アイティ.com」とURLを入力すれば、@ITのトップページにたどりつくことができる。しかし、そもそもIDNを活用するメリットはどこにあるのだろうか。米ベリサイン バイスプレジデントのグレイディー・ニール・エドワーズ(Grady Neil Edwards)氏は「企業(あるいは個人)が、.comと.netを母国語のドメイン名で登録することで、母国語でのブランド保護が可能になるだろう。国際化ドメイン名は英語以外のほぼすべての言語スクリプト(約350)に対応している」と説明する。また、「法人のブランディング戦略において、IDNの活用は注目されつつある。3年後には1000万ドメインにまで登録数が拡大する」とエドワーズ氏は見込んでいる。

 ところで、IDN=国際化ドメイン名については、これまでさまざまなメディアで報じられてきた。国内における問題の焦点は、日本語JPドメイン名をASCII互換文字列に変換するアルゴリズムの標準化で、IETF(Internet Engineering Task Force)が標準化作業を進めているが、その歩みは非常に遅い。エドワーズ氏によると「来月あたりには仕様の完全な承認が行われる見込み」らしいが、「(標準化作業の)ほぼ95%は終わった」とする声は2002年初旬から聞かれている。この標準化作業遅延の“副産物”として、いち早く変換アルゴリズムを開発した米RealNamesのインターネットキーワード事業が、フォーバルテレコムによって国内展開していたが、2002年6月29日にはサービスを停止、「日本語JPドメイン名」をインターネットキーワードに対応させていた日本レジストリサービス(JPRS)も、2002年5月末に日本語JPドメイン名のWebサイトにInternet Explorerでアクセスできるサービスを停止している。これらの報道により、日本語ドメイン名に対する不信感が一時期、メディアを騒がせたという背景がある。

(編集局 谷古宇浩司)

[関連リンク]
日本ベリサイン
グローバルメディアオンライン(GMO)
国際調達情報(PSIジャパン)
日本レジストリサービス
日本語ドメイン協会

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