「法人は大きな市場になる」、KDDIがBREW開発でIBMと提携

2003/1/30

 KDDIは携帯電話でダウンロードしたアプリケーションを動作させることができるプラットフォーム「BREW」(Binary Runtime Environment for Wireless)に対応した国内初の携帯電話機「A5304T」を、2月下旬に発売すると発表した。KDDIはBREWを活用した法人向けソリューションの開発で日本IBMと提携。現在、全ユーザーの5〜10%という法人ユーザーを倍増させることを目指す。

BREW対応携帯電話「A5304T」

 BREWは米クアルコムが開発した技術。携帯電話内で直接バイナリ・プログラムが実行できるのが特徴。KDDIのezplusや、NTTドコモのiアプリなどJavaを利用したアプリケーションに比べて、BREWはバイナリ・プログラムが利用できるために高速で、高機能のアプリケーションが利用できる。携帯電話の電話帳データへのアクセスや、電源の管理など携帯電話のコアに近い部分までコントロールできる。

 KDDIとIBMは、IBMのWebアプリケーションサーバ「WebSphere Everyplace Access」を利用し、BREW対応携帯電話を使って企業で利用しているグループウェアにアクセスし、基幹システムの情報が参照できるミドルウェア「BREW Business Profile」を開発する。BREW Business Profileでは、携帯電話でデータベースのデータをダウンロードして、後で閲覧できるオフラインブラウジング機能や、入力データをまとめて基幹システムにアップロードできるオフライン入力機能、サーバから携帯電話のアプリケーションを起動させる機能などがある。企業の利用にあわせて、サービスの内容は自由にカスタマイズできる。KDDIでは外回りが多いセールスマンに持たせたり、物流の運行、集配管理に利用するなどさまざまな使い方があるとしている。両社は今春にサービスを開始する予定。

 日本IBMの常務取締役 ソフトウェア開発研究所長 内永ゆか子氏はKDDIとの提携について、「ITの利用形態を変えることができる。携帯電話で企業の基幹システムにアクセスできるようにするにはセキュリティやパフォーマンスの確保が重要。その分野をKDDIと共同で開発したい」と述べた。

 KDDIはA5304Tの提供にあわせて、ゲームやインスタントメッセージ、地図などのアプリケーションを用意する。KDDIでは今後発売する携帯電話機の大半をBREW対応にする予定で、年間700万台の販売を目標にしている。

KDDIの代表取締役社長 小野寺正氏

 KDDIはBREW対応の携帯電話やサービスをすでに提供している韓国のKTFや中国の中国聯合通信、開発元のクアルコムと共同でBREWの普及促進を行う「BREW Operator Working Group」を設立。BREW仕様の統一や、BREWアプリケーションの相互提供などを行う。

 KDDIの代表取締役社長 小野寺正氏はBREW対応携帯電話の法人展開について、「携帯電話の法人マーケットは大きな市場になると考えている。KDDIは90%以上が個人ユーザーで、法人開拓の余地は大きい」と説明。「今秋には高速データ通信サービス、CDMA2000 1x EV-DOの提供を予定している。システム・インテグレータなどと提携して、今後法人向けのソリューションを拡充させたい」と述べた。

 法人向け市場は携帯電話事業者各社が開拓を進めているが、音声通話やデータ通信以外の強力なソリューションが出てきていないのが現状。KDDIがIBMと組むことで、「モバイルビジネスのシナリオを実現できる」(内永氏)か、今後が注目される。

(垣内郁栄)

[関連リンク]
KDDIの発表資料

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