プラグインがいらないJavaベースの3DCGオーサリングソフト登場

2003/2/1

ヤッパ代表取締役 伊藤正裕氏

 2月1日、プラグイン不要のWeb3Dオーサリングツールが380万円で利用可能になる。
 
 これまでWeb上で3D画像を表示するには、特定のプラグインがどうしても必要だった。デファクト・スタンダードと認識されているマクロメディアのFlashでさえも、Flash Playerをインストールしなければ華麗に動く2Dアニメーションの恩恵を受けることができなかった。

 ヤッパが開発した「YAPPA 3D STUDIO -Professional Edition-」(1CPU当たり380万円)はチップ上の描画能力に依存しない独自の3D描画エンジンを搭載している。エンドユーザーがWebブラウザ上のボタンを押すだけで自在に3D映像をインタラクティブに操作できるコンテンツの制作が可能である。100%Javaのみで開発されていることも、プラグイン不要の大きな要因となっている。

「YAPPA 3D STUDIO -Professional Edition-」のインターフェイス(クリックすると拡大)

 そもそも、この「YAPPA 3D STUDIO」は同社が企業の依頼を受けてWeb上で自在に動く3Dコンテンツを制作するためのツールとして開発されたものだ。今回、ヤッパはコンテンツ制作の最大の強みでもあった独自開発のツールを一般企業向けに改良し、販売することになった。価格は380万円だが、この値付けは果たして高いのか、低いのか? 「YAPPA 3D STUDIO -Professional Edition-」で制作したコンテンツのライセンスは無制限で使用可能という“オプション”がつくことによって、380万円という値付けは実は思い切った戦略価格となのである。その理由は、コンテンツ制作の“常識的な”フローを見ればわかる。
 
 顧客がデータを提供し、制作会社がコンテンツを制作、成果物を顧客に渡し、顧客側は自社のWebページでコンテンツを使用する。この際、コンテンツの使用料がコンテンツ・ライセンス料として課金されるのである(もちろん買い取りの場合もある)。ヤッパでも、制作したコンテンツのライセンス料を得ていたケースがあるだろうが、今回「YAPPA 3D STUDIO -Professional Edition-」を市場に開放しながら、同ツールを使用した成果物のライセンス料は一切フリーにしてしまったことはかなり思い切った戦略だ。

 同社代表取締役の伊藤正裕氏は「(YAPPA 3D STUDIOは)PC環境だけではなく、携帯電話やPDAなどさまざまなプラットフォームで応用可能となるだろう。またJavaに限らず、.NET環境にも対応するバージョンを開発していきたい」とし、同ツールの改良版を開発していくことで、Web3D描画市場でのデファクト・スタンダードを狙っている。
 
 応用できる業種は実際、多岐にわたる。同社のクライアントである伊藤ハムでは、eラーニングシステムの教材として3DCGを活用しているほか、ソニースタイルでは、新商品のプレゼンテーションに3DCGを活用している。

 「YAPPA 3D STUDIO」の基礎技術の一端は、イスラエルのソフト会社3Diが開発したJavaベースのプラグイン不要Web3DCG描画技術である。2002年6月にヤッパが同社を完全に買収し、全知的所有権、特許権および株式を取得した。伊藤氏によると「YAPPA 3D STUDIO」は、「ヤッパの技術と3Diの技術が融合したツールであり、どちらかの技術が完全に勝っているというわけではない」と話す。なお、3Dデータの入力形式はWRL(VRML97)に対応しており、出力形式はY3D(独自フォーマット)で出力される。もちろん、HTMLへの書き出しはクリック1回で終わる。

(編集局 谷古宇浩司)

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