「R/3と同じインパクト」、SAPが統合プラットフォーム発表

2003/3/7

SAPジャパンの代表取締役社長 藤井清孝氏

 SAPジャパンは、今後出荷されるすべてのSAP製品の技術基盤になるというWebサービス対応の統合アプリケーション・プラットフォーム「SAP NetWeaver」を発表した。SAPジャパンの代表取締役社長 藤井清孝氏はSAP NetWeaverについて「人、情報、プロセスを統合するプラットフォーム」と説明。「SAPにとってはR/3発表と同じくらいのインパクトがある」と述べた。

 SAPは1972年の設立時から、さまざなプラットフォーム上にアプリケーションを構築してきた。設立時にはメインフレームをベースにしたプラットフォーム、「ABAP」を採用。その後も「R/3 Basis」や「mySAPテクノロジ」などとプラットフォームを進化させてきた。

 SAPジャパンのバイスプレジデント マーケティング本部長兼ソリューション本部長の玉木一郎氏は、プラットフォーム進化の延長線上として、「Webサービスを今後の基盤にと考えた」と説明した。SAP NetWeaverは「エンタープライズ・サービス・アーキテクチャ」(ESA)と呼ばれる技術を基にしている。

 SAP NetWeaverはデータだけでなく、企業の業務プロセスを統合するのが特徴。藤井氏が「人、情報、プロセスを統合する」と説明するように、SAP製品や他社のシステムを統合してユーザーのIT利用環境を改善する。今後SAPが出荷するソリューションは、すべてSAP NetWeaver上に構築される。玉木氏は「どんなサービスが前提であれ、その上に統合のレイヤーを作ることができる」と説明した。
 
 具体的にはSAP NetWeaverは、主に2つのサービスで企業の業務プロセスを統合する。「複合アプリケーション・フレームワーク」は、SAP NetWeaverが提供するツールやサービスを活用して、異機種混在環境で、業務プロセスを横断する形のアプリケーションを開発することができる。もう1つの「マスタデータ・マネジメント」は複数システムのデータを統合するサービス。データの一元的な管理を可能にし、情報の完全性を確保するという。マスタデータ・マネジメントは、SAPが今年中に製品としてリリースする予定だ。

 SAP NetWeaverはほかにポータル構築やビジネス・インテリジェンス、コラボレーション、ビジネスプロセス管理、ライフサイクル・マネジメントなどのサービスを包含していて、企業のニーズによって組み合わせることができる。mySAP Business Suiteや、SAPが出荷を予定しているリソースとプログラムの管理ツール「SAP xApps」もSAP NetWeaver上に開発される。SAP NetWeaverは、IBMのWebSphereやマイクロソフトの.NET製品との相互運用性を確保していて、システムやプラットフォームをまたがる柔軟な運用が可能だという。

(垣内郁栄)

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SAPジャパンの発表資料

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