セントリーノ正式発表、PC市場活性化の切り札に

2003/3/13

米インテルの社長兼COO ポール・S・オッテリーニ氏

 インテルはCPUとチップセット、ワイヤレス機能からなるモバイル向けのプラットフォーム「Centrino(セントリーノ)モバイル・テクノロジ」を正式発表した。PCベンダ各社は同時にセントリーノ搭載PCを発表。モバイルPentium 4よりもパフォーマンスが上で、消費電力が少ないというセントリーノは、モバイルコンピューティングシーンを変えることができるだろうか。

 米インテルの社長兼COO ポール・S・オッテリーニ(Paul S. Otellini)氏は、「インテルが提唱している“コンピューティングと通信の融合”の最初の例がセントリーノだ」と説明。セントリーノに搭載される無線LAN機能で、「ユーザーはワイヤレスを超えた自由を手にすることができる。これから10年はワイヤレスがコンピューティングを解放することになるだろう」と述べた。

 アーキテクチャをモバイル向けに1から開発したセントリーノは、CPUの「Pentium Mプロセッサ・ファミリ」と「855チップセット・ファミリ」、無線LAN機能の「PRO/Wireless 2100 ネットワーク・コネクション」で構成される。Pentium Mプロセッサは0.13μmプロセスで開発され、7700万個のトランジスタを集積。必要なシステムバスにだけ電力を供給する機能などがあり、バッテリ消費を節約する。インテルがモバイルPC向けのベンチマークソフトでPentium Mプロセッサを測定した結果では、最大5時間以上のバッテリ時間を達成し、モバイルPentium 3プロセッサ、モバイルPentium 4プロセッサを上回ったという。

タレントのKONISHIKIさんはセントリーノ搭載PCの小さなサイズにびっくり

 Pentium MプロセッサはパフォーマンスでもモバイルPentium 3プロセッサに比べて41%、モバイルPentium 4プロセッサに比べて15%の性能向上を果たしたという。Pentium Mは1.3GHz、1.4GHz、1.5GHz、1.6GHzと、1.1GHzの低電圧版、900MHzの超低電圧版がある。CPU価格は最も低価格の1.3GHz版で2万5590円(1000個発注時の単価)などとなっている。NECや日本IBM、デルコンピュータなどはセントリーノ発表に合わせて、セントリーノ搭載ノートPCを発表した。

 セントリーノは3月12日に世界同時発表。日本は時差の関係で世界で一番早いタイミングでの発表になった。会見にはオッテリーニ氏のほかにPCベンダのトップやタレントのKONISHIKIさんなどが出席。セントリーノ搭載ノートPCの活用事例の紹介などを行った。インテルは、特にセントリーノのワイヤレス機能を強調し、オッテリーニ氏は「ビジネスにおいて、ワイヤレスの導入は生産性の向上とコスト削減を同時に実現する」と述べた。

 会見場は都内のライブハウス。デモに多くのエキストラを使ったり、セントリーノが体験できるブースを設けるなど派手な内容で、セントリーノ拡大にかけるインテルの意気込みが感じられた。国内PC市場は2年連続のマイナス成長で冷え切っている状態。セントリーノが刺激となって市場が活性化されるか、PC業界の期待は大きい。

(垣内郁栄)

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インテルの発表資料

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