「IBMより上をいくEDS」、NTTコムと提携

2003/3/18

NTTコミュニケーションズ代表取締役社長 鈴木正誠氏(左)、EDSのバイス・プレジデント ダグラス・フレデリック(Douglas Frederick)氏(中央)、EDSジャパン 代表取締役社長佐伯達之氏(右)

 日本アイ・ビー・エム副社長を務め、その後ナスダック・ジャパンCEOだった佐伯達之氏が久々にスポットライトを浴びる瞬間だった。NTTコミュニケーションズとEDS(Electoronic Data Systems)との業務提携に関する記者会見の席上である。EDSのバイス・プレジデント ダグラス・フレデリック(Douglas Frederick)氏のスピーチに続いて登壇した佐伯氏は、最初こそ若干緊張をしていたようだったが、1分もすると“いつものペース”を取り戻した。

 「はっきりいってEDSの日本での知名度は低い。しかし、欧米での驚くべき実績とスタッフの優秀さはぜひとも日本市場で活用すべきだと思った」と、佐伯氏は熱を込めて語る。EDSのビジネスモデルは、大ざっぱにとらえれば、広範囲な市場をターゲットとし、かつ大規模企業をメインに据えたアウトソーシングビジネスである。そのノウハウはおよそ40年間の蓄積の賜物(たまもの)であり、「アウトソーシングビジネスという観点からみるならば、EDSはIBMを上回る実績を持っている」(佐伯氏)。

 今回米EDSがNTTコミュニケーションズと結んだ提携の内容は、日本国内におけるiDC、コロケーション、ホスティングなどの通信サービスを含む包括的なアウトソーシングビジネスの展開を含む。つまり、EDSが顧客に対して提供するトータルソリューションパッケージに、NTTコミュニケーションズおよびグループ会社がグローバルコミュニケーションサービス面でサポートする業務形態あるいは、NTTコミュニケーションズの新組織「ITマネージメントサービス部」がデスクトップ管理からヘルプデスク、データセンターオペレーションに至るITリソースマネジメントサービスを提供する際に、EDSが子会社であるA.T.カーニー(A.T.Kearney)社と協力してオペレーション、プロセス改善およびコスト削減についてのコンサルティングサービスを提供していく予定だ。

 つまり、NTTコミュニケーションズ側にしてみれば、長距離固定電話事業中心のビジネス構造を見直し、IPのインフラをベースとしたソリューションカンパニーへの脱皮を目指すうえで、EDSは最適なパートナーの1社だった。NTTコミュニケーションズ代表取締役社長 鈴木正誠氏は「1から自分たちで始めるよりもノウハウを持つ強力なパートナーを手を組む方が得策」とし、急激な事業構造の改革を目指すその胸の内を少しだけさらした。

 佐伯氏にとっては、2002年7月に正式にEDSジャパンの代表取締役社長に就任して以来の“手土産”が今回のNTTコミュニケーションズとの提携であり、また“佐伯EDSジャパン”の始まりともいえる。

(編集局 谷古宇浩司)

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