.NET Compact Frameworkが握るMSのモバイル戦略

2003/4/29

 マイクロソフトのニューメディア&デジタルデバイス本部 シニアマネージャーの倉石英典氏は、4月25日に行われたマイクロソフトのイベント「Mobility Day 2003」で講演し、「Pocket PCは2001年から2002年にかけて出荷数が2倍になった」と述べて、モバイル事業が好調に推移していることを強調した。

 倉石氏によると、Windows CEを含むマイクロソフトのモバイル系OSの国内シェアは2002年に49%、Pocket PC単体でも31%になった。2001年は18%だったので、昨年1年間で大きくシェアを伸ばしたことになる。

 マイクロソフトがモバイル市場で特に強化したいのは企業向けソリューションだ。PDAなどモバイルデバイスはコンシューマ市場が最初に発展した。企業では社員が個別にモバイルデバイスを使うことはあっても、それを企業システムと結びつけて利用するソリューションはなかなか生まれてこなかった。

マイクロソフトの.NETマーケティング部 シニアマネージャー 熊谷恒治氏

 マイクロソフトの.NETマーケティング部 シニアマネージャー 熊谷恒治氏は、企業システムとモバイルデバイスを結びつけるソリューションが生まれてこない原因として、「PCをはじめ、PDAや携帯電話などそれぞれのデバイスはレディになっているのに、デバイス間で分断され、つながりがなかった」と指摘。その分断をつなげるには、「モバイルデバイスの多様なインターフェイスに対して効果的なサービスを提供する必要がある。多様性があり、統合されたプラットフォーム、開発環境が必要だ」と述べた。

 マイクロソフトのモバイル戦略の中核となるのが、「.NET Framework」であり、そのサブセットが「.NET Compact Framework」だ。.NET Compact Frameworkは、「リソースが限られるデバイスに対して、リッチなアプリケーションを構築するためのフレームワーク」(熊谷氏)で、Visul Stuido .NETの統一されたアプリケーション環境が利用できる。

 もっともマイクロソフトのこの戦略が奏功するためには、モバイルデバイスのベンダが、.NET Compact Frameworkをデバイスに組み込んで出荷する必要がある。顧客自らがデバイスに.NET Compact Frameworkを組み込むこともできるが、それでは大規模なシステムを構築する場合のコスト増になりかねない。マイクロソフトは、.NET Compact Frameworkを利用するうえでの生産性向上をアピールして、パートナーや開発者の賛同を得たいところだろう。

(垣内郁栄)

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