Office文書を自由自在にできる、Acrobat新バージョン

2003/5/16

 アドビ システムズは電子文書の作成・管理ツール「Adobe Acrobat 6.0」を7月4日に発売すると発表した。今回のバージョンから新たに3つのエディションを設定。また、閲覧だけができる「Adobe Acrobat Reader」は名称を「Adobe Reader」と変更した。6月中旬にダウンロードが開始される予定。

 Adobe Acrobat 6.0は利用ユーザー別に3つのエディションを用意。「Professional」はドキュメント作成を専門にするプロフェッショナル向き製品。「Standard」は一般のビジネスユーザー向き。ライセンスでのみ5月16日から販売される「Elements」は企業の全スタッフに配布するPDF作成の専門ツール。

 Adobe Acrobat 6.0の特徴は、Microsoft Officeとの連携を強化したこと。デスクトップやフォルダのOffice文書(Word、Excel、PowerPoint)を右クリックでPDFに変換可能にした。WordやExcel、Outlookのインターフェイス内にPDF作成のボタンを配置し、作成中の文書をすぐにPDFに変換する機能がある。Internet Explorerで表示しているWebサイトをボタン1つでPDFに変換することも可能。Professionalは、さらにAutodesk AutoCAD、Microsoft Visio、Microsoft Projectの文書もPDFに変換できる。

米アドビ システムズの社長兼CEO ブルース チゼン氏

 複数のOffice文書やAutoCADの文書を結合して、1つのPDF文書にする機能がある。1つにまとめたファイルにヘッダを付けたり、通しのページ番号を付けることも可能。さまざまな形式の文書が必要になるプロジェクトで利用できる便利な機能だ。文書のレビュー機能も強化。Adobe Acrobat 6.0から直接、PDF文書をプロジェクトのメンバーに送信して校正やチェックを依頼できる。Adobe Acrobat 6.0では、テキストやイメージだけでなく、FlashムービーやQuickTime、MP3、WMF(Windows Meta File)を文書に埋め込むことができる。もちろん再生も可能だ。

 価格は、Professionalが5万4800円(アップグレード版は1万9500円)、Standardが3万4800円(同、1万2500円)、Elementsはアドビのパートナー企業によるライセンス販売のみ。米国では28ドル程度で販売されているという。

 無償配布される閲覧ツールは、「Adobe Reader 6.0」と名称が変更。Adobe Acrobat 6.0で作成されたFlashやQuickTimeが埋め込まれたPDF文書を表示、再生できる。アドビが先日発表したサーバ製品「Document Server for Reader Extensions」で作成された電子署名や記入データの送信、注釈ツールに対応したPDF文書を編集する機能もある。

 米アドビ システムズの社長兼CEO ブルース チゼン(Bruce Chizen)氏は「企業の基幹システムと文書システムの間に入って、人々が効率的に行動できるようにするのがAcrobatだ」と説明。「企業、官庁がターゲットに入っている」と述べて、販売拡大を強調した。

(垣内郁栄)

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アドビ システムズの発表資料

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